海外送金のWiseは銀行よりも安全?安全性を守る法規制を解説
「海外送金だとWise(旧Transferwise)が安いと聞いたけど本当に安全なの?」と思っている方もいるかもしれません。結論として、Wiseは各国で法規制を遵守しておりかなり安全なサービスです。Wiseを利用した海外送金の安全性や信頼性について以下で詳しく見てみましょう。
ポイント
Wiseは要件を満たした事業者しか取得できないライセンスを日本や米国をはじめ世界中で取得。
Wiseはセキュリティやコンプライアンスに対して多くの取り組みを実施。
Wiseは日本では送金途中の資金を100%保全。万が一破綻しても資金は返ってくる。
日本の銀行がWiseの技術・ネットワークを活用する事例も登場。
Wiseは安全?信頼できる?
結論から言えば、Wise(ワイズ)は極めて安全です。少なくとも法規制や仕組み上ではユーザーの資金は確実に守られます。
その理由は、Wiseは各国で定められているライセンスのもと運営されているからです。ユーザーの大事な資金を扱う事業者は日本を含む多くの国で法規制の対象となっており、要件を満たした事業者のみに事業運営が認められています。Wiseは複数の国・地域でこの要件を満たした上でライセンスを取得しています。
Wiseの基本情報
設立:2011年(TransferWiseとして)
グループ本社:イギリス・ロンドン
利用者数:世界で1600万人以上
1ヶ月あたりの送金額:90億ポンド(2023年11月現在のレートで約1兆7000億円)
Wiseは安全のために様々な取り組みを実施
また、Wiseは2段階認証を導入しており、不正アクセスを受けにくいサービスと言えます。2段階認証を設定しておけば、万が一第三者にパスワードを知られた際にアカウントへの不正アクセス防ぐことができます。
2段階認証の方法にはテキストメッセージ、電話、モバイルアプリ、認証アプリと多様な方法が用意されており、自分に合った方法が利用可能です。2段階認証には海外にいたり、SIMを交換したりして登録した番号でSMSが受け取れない場合でも機能するWiseのアプリまたは認証アプリの利用がおすすめです。
Wiseはセキュリティやコンプライアンスに対して多くの労力を割いており、この点もWiseをさらに安全なサービスにしていると言えるでしょう。
Wiseはどんな規制を受けている?
続いて、Wiseがどのように各国の金融当局や法律によって規制されているのか見ていきましょう。
日本では資金移動業者として認可
Wiseの日本法人であるワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社は関東財務局により第二種資金移動業者(第00040号)として認可されています。日本国内において銀行以外の事業者が送金をはじめとした為替取引をビジネスとする場合、資金決済法により資金移動業者としての登録が必要です。日本に住んでいる皆さんが使い慣れているQR決済アプリ(Line PayやPayPayなど)も資金移動業者として登録されています。
資金移動業者は、送金途中にあり滞留している資金の100%以上の額を「履行保証金」として供託して保全しなければならないと定められています。つまり、万が一資金移動業者が破綻したとしても、事業者がルールに従っている限りはユーザーが送金中のお金については別に保全されているので、海外送金のためにWiseに預けた資金がなくなる心配はありません。
資金移動業者は金融庁やその地方出先機関である財務局から厳しい監督を受けています。例えば、関東財務局は(日本では資金移動業者としてサービスを展開している)Revolutに対して2022年9月に行政処分をしています。(2023年11月にはこの業務改善命令は解除されたとRevolutの日本法人が発表しています。)これは問題があれば、日本の金融当局は海外本社の資金移動業者に対しても厳しく対処することの表れと言えるでしょう。Wiseの日本法人はこの行政処分を一度も受けていません。
ちなみに日本においては銀行と異なり資金移動業者は基本的には1回の送金あたり100万円以下相当額しか扱うことができません。そのため、Wiseにおいても日本に居住するユーザーは100万円までしか送金できず、原則としてアカウント内に100万円以上を保有することはできません。
海外ではWiseはどんな規制を受けている?
他の国・地域ではWiseはどんな規制・監督を受けているのでしょうか。Wiseの特徴は同じサービスでかなり多くの国・地域でライセンスを取得しており、そのことでユーザーにグローバルで使いやすいサービスを提供していることです。
例えば、Wiseの米国法人であるWise US Inc.は全ての州で送金事業者として登録されています(米国では州ごとに送金事業者の登録が必要です)。例えばカルフォルニアではMoney Transmission Actという州法にしたがってCalifornia Department of Financial Protection and Innovationに対して送金事業者として登録されており、規制当局の監督を受けています。
英国ではワイズ・ペイメント・リミテッドは電子マネー機関(Electronic Money Institution)として認可されています。英国での電子マネー機関への規制は、日本での規制と一部類似しており、英国の電子マネー機関では利用者の資金を分離された銀行口座で保全しなければならないと定められています。
その他シンガポール、フィリピン、イスラエルなど多くの国々で送金事業の運営を認可されており、規制当局の監督のもと、法規制に従ってユーザーの大事な資金を保護しています。
Wiseで海外にお金を送るのは安全?
日本では資金移動業者は、送金途中にあり滞留している資金の100%以上の額を「履行保証金」として供託して保全しなければならないと定められており、先述の通りWiseも日本においてはそれに従っています。全ての国・地域で日本のように送金途中の資金の供託が義務付けられているわけではありませんが、顧客の資金は各国の規制に従ってリスクの低く流動性が高い方法で運用・保管されています。
Wiseの顧客資金のおよそ6割は、イギリスやアメリカのような破綻する可能性が極めて低い先進国の国債、マネー・マーケット・ファンド(MMF)などのリスクの低い流動資産に投資されています(2023年3月13日現在)。Wiseが保有している債券は短期債が中心であるため、リスクが低く、金利上昇による影響も少なくなっています。Wiseが保有する債券の平均デュレーション(元本の平均回収期間)は現在6か月未満で、大半の債券の残存期間は3か月以下です。顧客の資金の残りの4割はリスクが非常に低い銀行預金として保管されており、顧客の資金は守られています。
Wiseは銀行と同様に安全?
Wiseが規制当局の監督を受けていて安全な金融サービスだとわかっても、結局は銀行の方が安全なのではないかと思うかもしれません。しかし、少なくとも日本の規制の枠組み上は銀行とWiseの間での安全性は大きく変わりません。
それは銀行であっても(Wiseのような)資金移動業者であっても利用者の資金は保護されるように制度設計されているからです。日本の銀行が破綻した場合、預金保険制度によって1,000万円までの預金は保護されます。資金移動業者が万一破綻した場合には、利用者は供託によって保全されている資産から自らのお金を取り返すことができます。このように利用者保護のあり方は違っても、利用者の資金が保護されることには変わりありません。
安全性は同じでも、Wiseでは多くの銀行よりもはるかに安いコストと便利で簡単な手続きで海外送金が可能です。安全性、コスト、利便性全てにおいて海外送金ならWiseがおすすめです。
Wiseの法人向けサービスは安全?
Wiseの法人向けサービスは個人向けサービスと同様の法規制や技術のもとに置かれており、同様に安全です。
最近では日本でもWiseを使った法人向けの海外送金サービスを銀行が提供する事例も出ています。これまで法人向けに海外送金を提供していなかったGMOあおぞらネット銀行は、Wiseの送金プラットフォームである「Wise Platform」を採用。2023年5月からスピーディーで安価な法人向け海外送金サービスを提供開始し、米国・英国・中国など28ヵ国・地域に対して8通貨での海外送金に対応しています。Wiseの技術やネットワークは、銀行が使うほどまでに安全なものとなっているのです。
Wiseの法人アカウントについて詳しく知りたい方は「Wise法人アカウントを徹底解説」をご覧ください。
結論
Wiseはセキュリティやコンプライアンスに対して多くの取り組みを実施しており、要件を満たした事業者しか取得できないライセンスを日本や米国をはじめ世界中で取得している安全サービスです。また、送金途中の資金を100%保全しています。
このように安全性を保ちながらも、銀行よりも簡単かつ低コストで海外送金ができるのがWiseの特徴です。ぜひ他のサービスや金融機関とも比較して、Wiseを活用してみてください。
Wiseの使い方や仕組みなどについての解説は「Wiseを徹底解説」をご覧ください。
出典(Wiseサイト外のみ):
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/shikin_idou.pdf
https://www.s-kessai.jp/businesses/funds_transfer_overview.html
https://www.fca.org.uk/firms/emi-payment-institutions-safeguarding-requirements
https://www.dic.go.jp/yokinsha/page_000105.html
よくある質問
Wiseは要件を満たした事業者しか取得できないライセンスを日本や米国をはじめ世界中で取得しており、法規制や仕組みによってユーザーの資金は確実に守られるようになっています。Wiseの技術やネットワークは高く評価され、日本ではGMOあおぞらネット銀行の法人向け海外送金がWiseの送金プラットフォームである「Wise Platform」を採用しています。
Wiseは世界各国の法規制を遵守し、日本をはじめ世界各国でライセンスを取得しています。Wiseの日本法人であるワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社は関東財務局により資金移動業者として認可されており、金融庁やその地方出先機関である財務局から厳しい監督を受けています。