日本にいながら海外口座開設は可能?対応国・銀行や必要手順を解説

高橋 美穂
石井 美南海
Last updated
2024年9月30日

海外長期滞在を控えている方はもちろん、日本にいながら海外の銀行口座を持ちたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?海外とのビジネスのやり取りにおける報酬の受け取り口座や、海外投資、資産リスクの分散としてなど、海外に口座を持つことで得られるメリットは多くあります。

そこで今回は、日本にいながら海外口座を開設できる国や銀行、必要になる手順について解説します。海外赴任や移住予定の方には特に便利に使える10種類の海外口座情報をオンラインで取得できるWise(ワイズ)のサービスについてもご紹介します。

Wiseのマルチカレンシー口座を開設💡

日本にいながら海外口座開設はできるのか?

結論としては、その国の「非居住者」であっても開設できる海外口座は存在します。

「非居住者」について、参考までに日本の所得税法の見解は以下の通りとなっています。

居住者:国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人

非居住者:「居住者」以外の個人

住所:「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」

居所:その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所

日本の居住者でも海外の口座を開設できるかどうかは、当該の国や銀行によって条件が異なるため、口座開設条件をよく確認する必要があります。

日本にいながら海外口座開設をする方法は?

日本にいながら海外の口座開設をするには、次の4つの方法があります。

  1. 日本国内にある海外銀行の支店で開設する
  2. 外国銀行代理銀行の取り次ぎサービスを利用して開設する
  3. インターネットで開設する
  4. Wiseのマルチカレンシー口座を開設する

一つずつ解説していきます。

日本国内にある海外銀行の支店で開設する

日本国内に拠点を置く海外銀行の支店で口座開設するのも一つの方法です。

ただし、海外銀行の日本支店では個人口座開設の業務を取り扱って行っていないことがほとんどです。また、個人口座を開設できた場合でも、日本の預金保険対象ではないケースも見受けらるため、注意が必要です。

インターネットで開設する

非常に稀ですが、日本に住みながらオンラインで海外の銀行口座を開設できるものもあります。

ただし、非居住者でも口座開設は可能であるものの、渡航予定が決まっていてビザの取得者に限定されていたり、最低預金金額が定められていたりなど、口座開設においてはハードルが高い傾向があります。

外国銀行代理銀行の取り次ぎサービスを利用して開設する

日本国内の一部銀行では、海外の銀行の預金口座開設の取り次ぎサービスが利用できます。例えば、三菱UFJ銀行ではアメリカのU.S. Bankとタイのアユタヤ銀行口座「クルンシィタイ ベネフィットパッケージ」の開設をサポートしています。

ただし、口座開設には一定の条件を満たしている必要があります。この次の章で詳しく解説します。

Wiseのマルチカレンシー口座を利用する

海外の銀行以外にも、オンラインサービスで海外の口座情報を取得するという新たな選択肢もあります。

海外送金サービスで知られるWiseは銀行ではありませんが、マルチカレンシー(多通貨)口座と呼ばれる海外の口座情報をオンラインで簡単に取得することができます。米ドルやユーロ、英ポンドといった主要通貨を含む計10通貨の口座情報を取得が可能です。

海外赴任や移住時などの渡航前から、現地ですぐに使える口座情報を取得でき、外貨両替や海外送金、現地通貨の受け取りや口座自動振替(ダイレクトデビット)の設定など新生活に欠かせない資金管理をまとめて行うことができます。*(1)

さらにマルチカレンシー口座では、アカウント内に保有する資金に紐づく物理的デビットカードやバーチャルカードも発行でき、日々の買い物やATMでの現金引き出しにも利用可能。ユーザーにとって不利のない、公平な為替レートや透明性が高くリーズナブルな手数料が魅力で、常に安く、便利に利用できるサービスです。

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*(1)海外への引越しは、Wiseの登録住所を引越し後の住所に変更する必要あり

日本においながら海外口座開設をする際の必要書類は?

海外現地に住んでいない外国人が海外口座を開設するために必要な書類は、国や銀行によって異なります。

三菱UFJ銀行が取り次ぎ業務を行っているアメリカのU.S. Bankでの必要書類を例に挙げてみましょう。

必須書類

パスポート

A:顔写真付き選択書類(有効期限内)

  1. 日本の運転免許証
  2. マイナンバーカード
  3. 住民基本台帳カード(写真付き)
  4. 在留カードまたは特別永住者証明書

B: 選択書類

  1. 健康保険証
  2. クレジットカード
  3. デビットカード
  4. 運転経歴証明書
  • パスポートを持っている場合:パスポート + Aのうち1点
  • パスポートを持っていない場合:Aから2点、またはAから1点 + Bから1点 

上記の通り、必要書類の提出が必要になります。詳細は、三菱UFJ銀行の「海外口座ご紹介サービス 《U.S. Bankへのお取り次ぎ》」ページをご確認ください。

日本にいながら海外口座開設が可能な銀行は?

その国の非居住者として海外に口座を開設することは、基本的には難しいケースがほとんどです。

しかし、日本にいながら海外口座を開設することは不可能というわけではありません。ただし、一定の条件を設けているケースが多いため、最新情報や詳細は各銀行のウェブサイトを必ずご確認ください。

アメリカ: U.S. Bank

三菱UFJ銀行ではU.S. Bank「グローバル・トランジション・ソリューションズ」の預金口座開設の取り次ぎを行っています。口座開設ができる対象者は米国ビザを取得している原則90日以内に米国へ居住予定者のみとなっており、移住者向けのサービス提供となっています。

アメリカ
口座開設条件
  • 日本国内の三菱UFJ銀行に口座を保有している満18歳以上の日本居住者および個人

  • 米国ビザを取得し、原則90日以内に米国に居住予定であること(米国籍の場合はビザ取得不要)

口座開設条件

郵送およびインターネットで手続き可能

三菱UFJ銀行への提出書類が承認後、U.S. Bankとの預金口座開設の申込み手続き(本人確認のためのビデオ面接含む)および30日以内の資金送金

定期預金 最低預金額不明(変動あり)
普通預金 最低預金額最低25米ドル
開設時の必要書類

【必須書類】

パスポート


A:顔写真付き選択書類(有効期限内)

  • 日本の運転免許証

  • マイナンバーカード

  • 住民基本台帳カード(写真付き)

  • 在留カードまたは特別永住者証明書


B: 選択書類

  • 健康保険証

  • クレジットカード

  • デビットカード

  • 運転経歴証明書


パスポートを持っている場合:パスポート + Aのうち1点

パスポートを持っていない場合:Aから2点、またはAから1点 + Bから1点 

日本語対応(言語)日本語コールセンターあり
デビットカード・ブランドVISA
日本での入出金について情報なし
対応通貨米ドル
開設までの必要時間1~2カ月

(2024年9月29日現在)

U.S. Bankの口座開設方法

  1. 取次依頼書を印刷して記入する
  2. 取次依頼書・所定の本人確認書類を三菱UFJ銀行へ郵送する
  3. U.S. Bankからメールが届くので、案内に沿ってU.S. Bank預金口座開設を申込みする

タイ:アユタヤ銀行 (Bank of Ayudhya PCL / Krungsri)

三菱UFJ銀行ではタイのアユタヤ銀行の口座開設の取り次ぎ業務も行っています。アユタヤ銀行は現地で「Krungsri(クルンシィ)」の愛称で多くの人に親しまれる大手銀行の一つです。三菱UFJ銀行が提供する「クルンシィタイ ベネフィットパッケージ」ではタイでの生活に欠かせない金融サービスパッケージを申し込むことができます。

日本にいる間に口座の申し込み(仮口座開設)ができ、タイの日本人が多い支店では日本語でのサービスを受けることが可能です。

三菱UFJ銀行を介しての口座開設においては、日本国内の三菱UFJ銀行に口座を保有する満20歳以上の日本居住者で、タイ在住予定の個人であることが条件となります。

タイ
口座開設条件
  • タイ在住予定の個人

  • 日本国内の三菱UFJ銀行に口座を保有している満20歳以上の日本居住者

口座開設条件仮口座開設から90日以内にタイ現地にあるアユタヤ銀行の取引店にて、必要書類を提出のうえ、所定手続きが必要
普通預金 最低預金額500バーツ
開設時の必要書類

【三菱UFJ銀行への提出書類】

  • 三菱UFJ銀行宛の「取次依頼書」

  • アユタヤ銀行宛の「クルンシィタイ ベネフィットパッケージ申込書」

  • パスポートコピー

  • 選択書類(以下のうち1点のコピー)

日本の運転免許証または運転経歴証明書

住民基本台帳カード(写真付き)

在留カードまたは特別永住者証明書(外国籍の場合は必須)

個人番号カード(マイナンバーカード)

健康保険証


【現地アユタヤ銀行での提出書類】

  • パスポート

  • ノンイミグラントビザ

  • 滞在目的別書類

日本語対応(言語)日本語対応可
デビットカード・ブランドVISA
日本での入出金について「VISA」または「PLUS」マーク表示のあるATMで引き出し可能
対応通貨タイバーツ
開設までの必要時間申込書提出から通常3~4週間程度

(2024年9月28日時点)

アユタヤ銀行の口座開設方法

  1. PDF版「申込書」に記入、本人確認書類を同封のうえ、指定の郵送先へ郵送する
  2. 三菱UFJ銀行が申込書類をアユタヤ銀行へ取り次ぎする
  3. 通常、3~4週間で「口座番号設定の連絡」が三菱UFJ銀行から送られる
  4. タイ到着後90日以内に、取引店にて所定の手続きを行う

フィリピン:BDO Unibank

フィリピン最大の銀行であるBDO Unibank。BDO Unibankでは非居住者でも個人口座・法人口座を開設でき、フィリピン・ペソはもちろん、米ドルや日本円の普通口座に対応しています。日本人顧客向けにジャパンデスクも設けており、英語でのコミュニケーションに不安がある方にとっては非常に利便性が高いと言えるでしょう。

ただし、口座開設にあたっては一ヶ月以上の滞在(予定)を証明できることも条件の一つとして挙げられており、この点がハードルとなり得るかもしれません。口座維持にはATMキャッシュカードのみの口座の場合は 2,000 ペソ、通帳とATMキャッシュカードの口座の場合は10,000ペソ、米ドルの場合は500ドル、日本円の場合は50,000円の預金が必要になります。

フィリピン
口座開設条件
  • 必要ID 2 点の原本を用意できること

  • 口座開設の申込書を自身で記入できること

  • 口座の資金源がはっきり証明できること

  • 一ヶ月以上の滞在(予定)を証明できること

口座開設条件来店要
定期預金 最低預金額定期預金サービスなし
普通預金 最低預金額

最低開設時に必要な預金額

  • ATMカードのみの口座:2,000ペソ

  • 通帳と ATMカードの口座:5,000ペソ

クレジットカード・ブランドJCB, Union Pay, Diners Club
開設時の必要書類
  • パスポート(原本およびコピー)

  • 国際運転免許証(原本およびコピー)

  • 記入済みのお申込書(担当者よりメールで送付)

  • 追加書類が別途必要になることもあり

日本語対応(言語)日本語対応可
日本での入出金について不明
対応通貨フィリピン・ペソ、米ドル、日本円
開設までの必要時間手続き後すぐに開設可能(ATMキャッシュカードは24時間後から使用可能)

(2024年9月27日現在)

BDO Unibankの口座開設方法

  1. 口座開設を希望する支店を決める
  2. 来店日時を決め、ジャパンデスクへ連絡する
  3. ジャパンデスクから支店へ、来店日が伝達される
  4. ジャパンデスクより当日の担当者名の連絡が入る
  5. 当日、支店へ来店し、担当者を呼ぶ

フィリピン:フィリピン・ナショナル・バンク (PNB)

フィリピン・ナショナル・バンクは1916年に国立銀行として設立。日本では、東京支店と名古屋出張所を開設しています。PNBフィリピン国内での普通預金口座の開設は可能ではありますが、日本国籍やフィリピン国籍を持たない人の場合には、開設目的を証明する書類が事前承認されることが前提となります。

フィリピン
口座開設条件
  • 開設目的を証明する書類が事前承認されること

  • 日本国内の支店、もしくは出張所への来店

  • フィリピンへの送金予定が既にあること

口座開設条件メールにて必要書類の送付(事前審査)+日本支店への来店
定期預金 最低預金額
  • ペソ定期預金(フィリピン国籍者のみ):初期預入10万円以上

  • 米ドル定期預金:初期預入20万円以上(日本国籍およびフィリピン国籍をお持ちでない場合、初期預入100万円以上)

普通預金 最低預金額初期預入 10,000 ペソ相当の日本円
デビットカード・ブランドMastercard
開設時の必要書類
  1. 本人確認書類(現住所が記載され且つ有効期間内の原本。現住所が記載されていない場合、3カ月以内に発行された個人番号付きの住民票)


【日本国籍の場合】

  • マイナンバーカードまたは個人番号通知カード

  • パスポート

  • 運転免許証または健康保険証


【外国籍の場合】

  • マイナンバーカードまたは個人番号通知カード

  • パスポート

  • 在留カード


  1. 年収を証明する書類(日本国籍およびフィリピン国籍を持たない場合):確定申告書もしくは源泉徴収票

  2. 手数料

  3. 初期預入金額

日本語対応(言語)日本語対応可
日本での入出金について不明
対応通貨フィリピン・ペソ
開設までの必要時間2カ月

(2024年9月28日現在)

フィリピン・ナショナル・バンク (PNB)の口座開設方法

  1. 事前審査:必要書類一式を指定のメールアドレスへ送付する
  2. 来店予約のうえ、必要書類を持参して日本国内の支店へ来店する

海外口座開設をするメリット・デメリット

今までは金融資産を日本円でしか持たなかった方も、歴史的な円安の影響で資産運用を検討し始めている方は少なくないでしょう。

日本にいながら、非居住者として海外に口座を開設するメリットやデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

メリットデメリット

✅資産のリスク分散

✅銀行によっては日本よりも高金利で預金可能

✅海外渡航時に銀行のデビットカードで外貨のまま決済が可能

✅銀行によっては預金補償がある

❌言語のハードルがある

❌口座開設条件が年々厳しくなっている

❌銀行によっては口座維持手数料がかかる

❌実店舗での手続きが必要な場合がある

前章でもお伝えしたように、非居住者でも海外口座開設は不可能ではないものの、口座開設の条件は年々厳しくなっている傾向があります。

海外口座開設をする際の注意点は?

近年では、海外口座開設におけるサポート会社も存在しています。

ただし、金融庁の注意喚起では、詐欺目的で高金利を謳い、日本人いながら海外口座を開設できると勧誘して手数料を請求する業者もいるようなので注意が必要です。日本では、海外口座開設の「代行」は金融庁から免許、認可、登録を受けた「外国銀行代理銀行」の銀行で手続きが認められています。

海外の銀行口座の開設においてサポート会社に依頼する場合は、金融庁の「免許・認可・登録等を受けている業者一覧」を確認するか、少しでも不安を覚えたら金融庁の金融サービス利用者相談室に相談しましょう。

まとめ

海外での口座開設は年々、開設条件が厳しくなってきています。本記事でもご紹介した、非居住者として海外に口座を開設できるものもありますが、条件を設けていることがほとんどです。

海外送金の受け取りや、海外移住、赴任などの理由で、海外口座を取得したい場合は、条件なしですぐに開設できるWise(ワイズ)が便利です。Wiseは銀行ではありませんが、マルチカレンシー口座では10種類の外貨の口座情報が無料かつすべてオンラインで完結します。気になる方はぜひ検討してみてください。

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出典: