シンガポールドルの取引におすすめ!法人用マルチカレンシー口座【2024版最新】
シンガポールの顧客と頻繁に取引を行う場合、シンガポールドルを送金したり受け取ったりという機会が多いでしょう。海外送金の場合は国内の銀行への振り込みよりも手数料がかかることが多く、どうしても経費がかさみます。必要経費とわかりつつも、どうにかしたいと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そんな風に悩む人は、法人用のシンガポールドル口座の開設でその悩みから解放されるかもしれません。シンガポールドル用に口座を開くことで、種々の手数料や取引にかかる時間が節約可能です。最近ではオンラインで外貨取引ができるWiseのような新サービスもあり、従来の銀行振込以外にも海外送金の選択肢が広がっています。今回の記事では、そんな法人用マルチカレンシー口座について詳しく解説していきます。
法人用マルチカレンシー口座とは?
ひとつの口座で日本円以外にも複数の通貨が管理できる口座のことをマルチカレンシー口座と言います。銀行によって対応している通貨の数は異なりますが、アメリカドルやユーロといったメジャー通貨は多くの金融機関で対応しています。一方、シンガポールドルについては対応が分かれるので、各金融機関のホームページなどで確認しましょう。
法人用のマルチカレンシー口座の大きなメリットのひとつは、海外送金や受け取りの際に手数料が安く済むことです。日本の銀行口座から海外の銀行へ送金する場合、海外送金に手数料がかかったり、両替にも為替手数料が発生したりするのが一般的です。そのため、取引金額が大きくなると手数料だけで数千円、時には数万円になってしまうこともあります。
その点、マルチカレンシー口座であれば口座内に既に入っている通貨は為替手数料なしで海外送金ができます。また、海外送金の受け取りも、対応している通貨であれば手数料なしで取引可能であることが多いです。ただし、マルチカレンシー口座のサービス内容は銀行によって異なります。預金や送金など幅広い使い方ができる銀行もあれば、外貨預金のみを取り扱っている銀行もあるので注意が必要です。
例えば、三井住友銀行では法人用に外貨預金口座を開くことができ、シンガポールドルにも対応しています。預金口座からそのままシンガポールドルを送金することも可能です。一方、ネット銀行である住信SBIネット銀行でも外貨口座の預金をそのまま国内外の金融機関に送ることができますが、残念ながらシンガポールドルには対応していません。
このように、法人用マルチカレンシー口座のサービス内容は銀行によって異なります。それぞれ調べてみて、自分の求める機能やサービスが利用できる銀行をぜひ探してみてください。ちなみに、個人向けにはSMBC信託銀行プレスティアやソニー銀行などでマルチカレンシー口座を開設できます。
日本で法人用シンガポールドル口座は開ける?
日本国内でも、法人用シンガポールドル口座は開設できます。シンガポールドルの取り扱いがある銀行でマルチカレンシー口座の申し込みをすれば完了です。ただし、多くの銀行ではマルチカレンシー口座のみを開くことはできず、まずは法人口座を開かなくてはなりません。法人用口座を開設するときには審査があり、会社の印鑑証明書や全部事項証明書、登記簿謄本などを提出する必要があります。無事審査が通ったあと、マルチカレンシー口座開設の手続きをしましょう。
法人用シンガポールドル口座を開くメリットとは?
先に説明した通り、海外送金に必要なさまざまな手数料を削減できるのは法人用マルチカレンシー口座の大きなメリットです。シンガポールドルの送金や受け取りが頻繁にある場合には、法人用シンガポールドル口座を開くことで手数料を大きく抑えることができるでしょう。
加えて、外貨を日本円に両替せず保有しておけるのも実は大きなメリットです。通常、海外送金を受け取るときには日本円に両替されたものを受け取ります。その場合には送金のタイミングの為替レートが適用されるため、時には不利なレートでの取引になってしまうことがあります。その点、マルチカレンシー口座であればシンガポールドルをそのまま受け取って預金しておき、割の良い為替レートのときに日本円に両替することが可能です。
例えば1シンガポールドル=100円のときに取引先から5,000シンガポールドルが送られてきたとします。通常の海外送金ならば送金時の為替レートが適用されるため、受け取れるのは50万円です。一方、送られてきた5,000シンガポールドルを法人用シンガポールドル口座に預金しておき、1シンガポールドル=110円のときに両替すれば55万円になります。
このように、法人用シンガポールドル口座の場合、両替のタイミングをうまく見極めればよりお得にシンガポールドルでの取引ができます。外貨取引が多い会社なら、より多くの恩恵を受けられるでしょう。ちなみに、通常の法人口座でも外貨のまま受け取ることは可能ですが、その場合にはリフティングチャージを払う必要があります。
おすすめ法人用シンガポールドル口座
この段落では、シンガポールドルの取引におすすめの銀行をいくつかご紹介します。
Wise法人アカウント
Wiseは海外送金や外貨両替、外貨預金などができるオンラインのサービスです。銀行ではありませんが、シンガポールドルの保有におすすめです。
Wise法人アカウントの・メリットとデメリット
Wiseのマルチカレンシー口座では、シンガポールドルを含む40の通貨の保有ができます。自分のアカウントに入っている通貨は送金に使ったり、デビットカードを使った支払いに利用できたりします。アメリカドルやユーロといった24の通貨に関しては現地の銀行情報の取得が可能、シンガポールドルにも対応しています。シンガポールの銀行に送金するときにはその口座から送ることができるため、通常の海外送金よりも手数料や取引にかかる時間を節約することができます。
また、Wiseは両替時の為替レートに「ミッドマーケットレート」(=実際の為替レート)を採用しています。通常、外貨両替を行う際の為替レートは各金融機関が独自で設定しており、その中には為替手数料が含まれています。そのため、ミッドマーケットレートよりも割高なレートになることが一般的です。
例えばミッドマーケットレートが1シンガポールドル=100円のときに100ドルに両替しようと思ったら、本来であれば必要なお金は10,000円です。しかし、A銀行では1ドルに対して1円の為替手数料を設定しており、100ドルの両替には10,100円がかかります。この差額分の100円が為替手数料であり、A銀行の取り分です。それに対し、Wiseなら常にミッドマーケットレートで取引ができるためこの手数料がかからずお得です。
ただし、両替手数料は支払う必要があります。両替手数料は通貨によって変わるので、取引の際にはよく確認しましょう。また、銀行ではないので日本の銀行の法人口座が入用になったときには使えないのが難点です。
Wise法人アカウントの・手数料
Wiseビジネスアカウントを利用するには、下記の手数料が必要です。
サービス内容 | 手数料 |
---|---|
送金手数料 | 0.33%~ |
両替手数料 | 0.33%~ |
口座情報の取得 | 3,000円 |
電信送金でのアメリカドルの受取 | 6.11アメリカドル |
SWIFTでのカナダドルの受取 | 10カナダドル |
ちなみに、アカウントの開設には手数料はかかりません。オンラインで申し込みができ、開設後すぐに利用が可能です。Wiseの場合は上述したように送金手数料、両替手数料は通貨によって変化します。それぞれ下記ページでシミュレーションができるので、事前にどれくらいかかるか確認してみましょう。また、実際に取引を実行する際にもかかる手数料は明示されます。
現地口座情報の取得には3,000円の支払いが必要ですが、一度取得してしまえばその後は特に手数料はかかりません。手数料を節約して海外送金や受け取りができて便利です。
Wise法人アカウントの・申し込み条件
Wiseビジネスアカウントの開設には、下記のいずれかの条件を満たす必要があります。
個人事業主
フリーランサー
有限会社もしくは株式会社
パートナーシップ
三井住友銀行Global e-Tradeサービス
メガバンクのひとつ、三井住友銀行では「Global e-Tradeサービス」という法人向け外為サービスを展開しています。
三井住友銀行Global e-Tradeサービスのメリットとデメリット
Global e-Tradeサービスでは外貨普通預金、外貨預金振替、海外送金といった外国為替業務をサポートしてくれるサービスを提供しています。アメリカドルやユーロといったメジャー通貨はもちろん、シンガポールドルも対応可能です。外貨預金口座のお金を使って海外送金もできるので、為替相場に振り回されずに取引ができます。
ただし、サービスの利用にはまず法人向けのインターネット窓口「Valuedoor」に契約しなければなりません。法人口座を開設すれば自動的に使えるようになるわけではなく、少し手間がかかるのが難点です。また、手数料がいろいろとかかるのもデメリットのひとつといえます。
三井住友銀行Global e-Tradeサービスの手数料
上述の通り、Global e-Tradeを利用するには手数料がかかります。利用するサービスによって月額料金が決まっており、必要なサービスのみを選んで利用することができます。
サービス内容 | 月額料金 |
---|---|
初期契約料 | 55,000円(契約時のみ) |
仕向・被仕向送金サービス | 5,500円 |
輸出LC到着案内サービス | 11,000円 |
輸出手形買取・取立依頼サービス | 11,000円 |
輸入LCサービス | 5,500円 |
外為取引情報サービス | 5,500円 |
加えて、海外送金をする際には取引のたびに手数料が発生します。海外の同行支店宛であれば3,000円、他行宛は3,500円です。海外送金の受け取りには手数料はかかりませんが、送金された外貨をそのまま受け取る場合には送金金額の0.05%(最低2,500円)のリフティングチャージがかかります。
以上見てきたように、Global e-Tradeの利用には手数料がいろいろと必要です。例えば、Global e-Tradeを通してシンガポールの取引先などに5,000シンガポールドルを送るときには下記の手数料がかかります。
初期契約料:55,000円(申し込み時のみ)
仕向・被仕向送金月額サービス料金:5,500円
海外送金手数料:3,500円
合計:64,000円
初期契約料は初月のみですので、2ヶ月目以降は同じ条件で送金するなら合計手数料は9,000円です。ただし、実際にはここに為替手数料が加算されます。
三井住友銀行Global e-Tradeサービスの申し込み条件
Global e-Tradeの利用にはまずValuedoorの契約が必要です。これは法人向けインターネット窓口の総称で、その中でさまざまなサービスが展開されています。
三菱UFJ銀行BizSTATION外為サービス
三菱UFJ銀行でも「BizSTATION外為サービス」という法人用外貨取引のサービスを展開しており、シンガポールドルの取引が可能です。
三菱UFJ銀行BizSTATION外為サービスのメリットとデメリット
BizSTATION外為サービスも、外為実務をサポートしてくれる機能がいろいろあります。外貨預金、海外送金及び受け取りだけでなく、輸出・輸入ドキュメンタリーの各種書類の作成も可能です。取引に関する情報照会も簡単にでき、日々の業務に役立ちます。
ただし、BizSTATIONの利用には契約手数料や基本料金などさまざまな手数料があります。その点は大きなデメリットといえるでしょう。
三菱UFJ銀行BizSTATION外為サービスの手数料
BizSTATIONの利用には月額1,760円の基本料金がかかります。それに加え、外為サービスを使うときには16,500円の契約手数料を支払わなければなりません。また、使うサービスごとに月額料金がかかるので、手数料重視で選ぶ場合にはあまり良い選択肢とは言えません。それぞれの手数料については下記の表をご参照ください。
サービス内容 | 月額料金 |
---|---|
BizSTATION基本料金 | 1,760円 |
外為サービス契約手数料 | 16,500円(契約時のみ) |
海外送金 | 2,750円 |
海外送金受け取り | 2,750円 |
輸出ドキュメンタリー | 2,750円 |
輸入ドキュメンタリー | 5,500円 |
外貨預金 | 2,750円 |
外為取引通知 | 2,750円 |
海外送金には取引ごとに送金手数料が発生します。海外の同行宛の送金には3,000円、他行宛の場合には3,500円です。受け取りに手数料はかかりませんが、送られてきたシンガポールドルをそのまま受け取る場合には送金金額の0.05%(最低2,500円)のリフティングチャージの支払いが必要です。
三菱UFJ銀行BizSTATION外為サービスの申し込み条件
BizSTATION外為サービスの利用には、まずBizSTATIONに登録する必要があります。法人口座を開設したらBizSTATION利用手続きをしましょう。
法人用シンガポールドル口座を開く方法
法人口座の開設には必ず審査があります。多くの銀行ではオンラインで申し込みができますが、一部銀行では申し込み後に必要書類を店舗へ提出しに行かなければならないこともあります。求められる書類は会社の登記簿謄本や印鑑証明書などが多いですが、銀行によって異なるので詳しくはホームページなどで確認しましょう。無事法人口座を開いたら、シンガポールドル口座開設の手続きをします。
まとめ
今回の記事ではシンガポールドルの取引におすすめな法人マルチカレンシー口座を詳しく見てきました。ただお金を貯めておくだけでなく、海外送金や受け取りなどに使えて便利です。ただし、使えるサービスは銀行によって違います。まずは自分が必要なサービスを明確にし、それを提供している銀行を探してみましょう。
頻繁に海外送金を行う場合には、Wiseのビジネスアカウントが特におすすめです。銀行ではありませんが、海外送金にかかる手数料が非常に安く、お得に取引できます。シンガポールドル含めて40の通貨に対応しているので、海外でビジネスを展開しているなら持っておいて損はありません。
ソース
法人用のシンガポールドル口座についてよくある質問
三井住友銀行や三菱UFJ銀行など、日本の銀行の中にもシンガポールドルの取り扱いがある法人口座はあります。それらの法人口座を開設し、シンガポールドル口座の申し込みをすれば利用できるようになります。もしくは、Wiseのようなオンラインサービスを利用するのもひとつの手段です。
法人口座の開設にはお金がかからないことがほとんどですが、外貨サービスの利用には契約料や利用料金がかかることがあります。例えば三井住友銀行の場合には、契約料として55,000円がかかります。