海外取引が多い方必見!アメリカドルが使える法人用マルチカレンシー口座【2024版最新】

山口 友紀恵
石井 美南海
Last updated
2024年9月8日

ビジネスでアメリカに顧客や取引先を多く抱える場合、アメリカドルのやりとりを頻繁に行うことになります。海外送金となると国内でのお金のやりとりよりも手数料が高くなることが一般的で、手数料のみで相当な経費になってしまっていることもあるかもしれません。

そんな悩みを抱える人は、法人用のアメリカドル口座開設を検討してみてはいかがでしょうか。アメリカドル用の口座を持つことで、いろいろと手間やコストが省けて便利ですよ。また、オンラインで外貨取引がお得にできるWiseのような新サービスもあります。それぞれ下記で詳しく説明していくので、アメリカドルの取り扱いを多く抱える人はぜひ参考にしてみてください。

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法人用マルチカレンシー口座とは?

マルチカレンシー口座とは、ひとつの口座で複数の通貨の管理ができる口座のことです。銀行によって取り扱っている通貨は異なりますが、アメリカドルは需要が多く対応している銀行は少なくありません。

法人用のマルチカレンシー口座を持つ大きなメリットとしては、海外送金や受け取りの際に手数料が安く済むことが挙げられます。通常、日本の銀行口座から海外の銀行へ送金をする際には海外送金手数料がかかります。また、両替にも為替手数料がかかるので、取引金額が大きくなると手数料だけで数千円、数万円になってしまうことも。

その点、マルチカレンシー口座なら口座内に既に入っている通貨であれば為替手数料なしで海外送金が可能です。海外送金の受け取りに関しても、対応している通貨であれば受け取り手数料なしで取引できます。ただし、マルチカレンシー口座の具体的なサービス内容は銀行ごとに異なります。預金や送金など幅広い使い方ができる銀行もあれば、外貨預金のみを取り扱っているところもあるのです。

例えばGMOあおぞらネット銀行では法人向けの外貨預金サービスがあり、アメリカドルの預金が可能です。ただし、あくまで預金用口座でありそのお金を使って海外送金などはできません。一方、同じくネット銀行である住信SBIネット銀行の場合は外貨口座の預金を外貨のまま国内外の金融機関に送金が可能です。ちなみに、アメリカドルにも対応しています。

このように、銀行ごとにマルチカレンシー口座で展開しているサービスは違います。それぞれ調べてみて、自分の求める機能やサービスが利用できる銀行を探してみましょう。ちなみに、個人向けにはSMBC信託銀行プレスティアやソニー銀行などがマルチカレンシー口座を提供しています。

日本で法人用アメリカドル口座は開ける?

日本でも法人用アメリカドル口座は開けます。アメリカドルに対応している銀行のマルチカレンシー口座を開くだけです。ただし、ほとんどの銀行では法人用マルチカレンシー口座のみには対応しておらず、まずは法人口座を開く必要があります。法人用口座の開設には審査があり、登記簿謄本や会社の印鑑証明書などを提出し、会社が実在することを証明しなければなりません。無事審査が通り、法人用口座が開設できたらマルチカレンシー口座開設の手続きをしましょう。

法人用アメリカドル口座を開くメリットとは?

先述の通り、海外送金にかかる種々の手数料を減らせるのは法人用アメリカドル口座のメリットのひとつです。アメリカにいる顧客とお金のやり取りが頻繁に発生する場合には、法人用アメリカドル口座を開くことで経費を大きく抑えることができるかもしれません。

また、外貨をそのまま保有しておけるのも大きなメリットです。通常の海外送金の場合、送られてきたアメリカドルは日本円に両替されて振り込まれます。そのため、送金のタイミングによっては割の悪い為替レートになってしまい受取金額が期待より少なくなってしまうこともありえます。一方、マルチカレンシー口座であればアメリカドルをそのまま受け取り、割の良い為替レートのときに日本円に換える、という使い方が可能です。

例えば先方に5,000ドル送ってもらったときの例で比べてみましょう。通常の海外送金の場合は基本的には送金時の為替レートが適用されます。送金時の為替レートが1ドル=140円だった場合、受け取れる金額は70万円です。それに対し、送ってもらった5,000ドルを法人用アメリカドル口座に貯めておき、1ドル=150円の時に日本円に両替すれば75万円になります。

このように、法人用アメリカドル口座の場合、為替レートのタイミングをうまく利用すればよりお得にアメリカドルでの取引ができます。外貨取引の金額が大きい会社にとっては大きなメリットと言えるでしょう。ちなみに、通常の法人口座でも外貨のまま受け取ることができる銀行は少なくないですが、その場合にはリフティングチャージがかかります。

一方、オンラインプロバイダーのWiseの場合はリフティングチャージが不要でアメリカドルの受け取りができます。SWIFTを使った送金だと受取手数料が発生しまいますが、ACH送金であれば手数料無料で受取可能です。手数料を節約したい場合には、ACH送金を取引先に依頼しましょう。

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おすすめ法人用アメリカドル口座

ここでは、アメリカドルを取引するのにおすすめの銀行をいくつかご紹介します。

Wise法人アカウント

Wiseは外貨預金や両替、海外送金などを取り扱うオンラインサービスです。銀行ではありませんが、アメリカドルの取り扱いが多い人におすすめです。

Wise法人アカウントのメリットとデメリット

Wiseでは1つのアカウントでアメリカドルを含む40の通貨を持つことができ、両替や送金ができます。さらに、アメリカドルやユーロ、オーストラリアドルなどの10の通貨に関しては現地の銀行情報取得が可能です。アメリカにいる顧客や取引先に送金してもらうときにはその口座が使えるため、通常の海外送金よりも手数料や時間をカットすることができます。

また、Wiseは両替時の為替レートに「ミッドマーケットレート」(=実際の為替レート)を採用しており、両替にかかる手数料が非常に安くなっています。通常、銀行などの金融機関が外貨両替を行うときの為替レートには為替手数料が含まれています。そのため、ミッドマーケットレートよりも不利なレートでの取引になることが一般的です。

例えばミッドマーケットレートが1ドル=150円のときに100ドルに両替しようと思ったら必要な金額は本来は15,000円です。しかし、ある銀行では1ドルにつき1円の為替手数料を設定しているため、100ドルの両替に15,100円が必要であり、差額分の100円は銀行の取り分になります。金額が大きくなればなるほど為替手数料も大きくなるので、ビジネスでアメリカドルの取り扱いが頻繁にある場合には多額の為替手数料を支払うことになるかもしれません。

一方、Wiseならこの手数料がかからずに両替できます。常にミッドマーケットレートで取引できるため、無駄な手数料を支払うことがありません。ただし、両替手数料はかかります。両替手数料は通貨によって異なりますが、それぞれ最大限安くなるよう工夫がされています。詳しくは次の段落で見ていきましょう。

Wiseのデメリットとしては、先述の通り銀行ではないという点が挙げられます。海外送金や送金の受け取りはWise法人アカウントがあればほとんどの場合で用が足りますが、何か別の用途で国内の銀行口座が必要な場合には、別途日本の銀行の法人口座に申し込む必要があります。

Wise法人アカウントを開設💡

Wise法人アカウントの手数料

Wiseビジネスアカウントにかかる手数料は下記の通りです。

サービス内容手数料
送金手数料0.33%~
両替手数料0.33%~
口座情報の取得3,000円
電信送金でのアメリカドルの受取6.11アメリカドル
SWIFTでのカナダドルの受取10カナダドル

Wiseの場合、送金手数料及び両替手数料は通貨によって変わります。送金や両替にかかる手数料は下記ページでシミュレーションができるので、事前に確認してから取引ができます。

口座情報の取得には3,000円がかかりますが、一度取得してしまえばその後はその口座情報を送金などに使えるためお得です。

Wise法人アカウントの申し込み条件

下記のいずれかの条件を満たせば、Wiseのビジネスアカウントに登録できます。

  • 個人事業主

  • フリーランサー

  • 有限会社もしくは株式会社

  • パートナーシップ

三菱UFJ銀行・BizSTATION外為サービス

メガバンクのひとつ、三菱UFJ銀行では法人向けに「BizSTATION外為サービス」を提供しており、アメリカドルの取り扱いが可能です。

三菱UFJ銀行・​​BizSTATION外為サービスのメリットとデメリット

BizSTATION外為サービスの大きな特長は、外為実務をサポートしてくれる機能がいろいろと搭載されている点です。外貨預金、海外送金及び受け取りはもちろん、輸出・輸入ドキュメンタリーの各種書類の作成もできます。取引に関する情報照会も簡単にできるので、日々の業務に役立つでしょう。

ただし、利用には基本料金や契約手数料など、さまざまな手数料がかかります。その点は大きなデメリットといえます。

三菱UFJ銀行・BizSTATION外為サービスの手数料

BizSTATIONの利用には月額1,760円の基本料金がかかります。それに加え、外為サービスを使うときには16,500円の契約手数料を支払わなければなりません。また、使うサービスごとに月額料金がかかるので、手数料重視で選ぶ場合にはあまり良い選択肢とは言えません。それぞれの手数料については下記の表をご参照ください。

サービス内容月額料金
BizSTATION基本料金1,760円
外為サービス契約手数料16,500円(契約時のみ)
海外送金2,750円
海外送金受け取り2,750円
輸出ドキュメンタリー2,750円
輸入ドキュメンタリー5,500円
外貨預金2,750円
外為取引通知2,750円

また、海外送金については取引ごとに送金手数料がかかります。海外の同行宛の送金の場合には3,000円、他行宛の場合には3,500円です。加えて、アメリカへ海外送金をするときには「日本円→アメリカドル」の両替が発生するため、1ドルにつき25銭の為替手数料がかかります。海外送金の受け取りの際には手数料無料ですが、送られてきた外貨を両替せずに受け取る場合には送金金額の0.05%(最低2,500円)のリフティングチャージが発生します。

このように、BizSTATION外為サービスの利用にはいろいろと手数料がかかります。仮に、このサービスを使ってアメリカにいる取引相手に5,000ドルを送ろうと思ったら下記の手数料が必要です。

  • 基本料金:1,760円

  • 契約手数料:16,500円(申し込み時のみ)

  • 海外送金手数料:2,750円

  • 為替手数料:1,250円(5,000ドル×0.25銭)

  • 合計:22,260円

契約手数料は申し込み時のみですので、初月以降は同じ条件で送金するなら合計手数料は5,760円です。

三菱UFJ銀行・​​BizSTATION外為サービスの申し込み条件

上述の通り、BizSTATION外為サービスの利用にはまずBizSTATIONに登録する必要があります。

住信SBIネット銀行法人口座

ネット銀行の住信SBIネット銀行もアメリカドルの取引におすすめです。

住信SBIネット銀行法人口座のメリットとデメリット

住信SBIネット銀行の場合、外貨預金に入っているお金をそのまま送金に使えます。口座にアメリカドルが入っていれば、それを使ってそのままアメリカにいる受取人に送金できるのです。上述の通り、外貨両替はタイミングによってレートが異なり、時には得することもあれば損することもあります。しかし、住信SBIネット銀行ならお得に両替ができるタイミングでアメリカドルに両替して預金しておき、それを送金に使うことが可能です。

例えば、1ドル=150円のときにアメリカドルを取引するのと、1ドル=160円のときに取引するのでは前者の方がお得に済みますよね。割の良いレートのときにまとめて両替しておけば、大幅な節約が目指せます。

しかし、為替相場は日々変動しており、どちらに転ぶかはなかなか予測しづらいものがあります。予期していた以上に払うことになり、時には売り上げや経費予測の修正が必要になることもあるでしょう。それに比べると、自分の好きなタイミングで為替取引ができる住信SBI銀行の方がお金の動きを読みやすいというメリットはあります。

一方、送金にかかる手数料は日本円口座から引き落とされます。口座に手数料分の残高がないと送金が実行されないため、確実に入れておく必要があります。口座を2つ管理しなければならないので、少し煩雑に感じる人もいるかもしれません。また、海外送金は2営業日前までに送金依頼が必要です。翌日、当日の送金はできないので計画的に送金をしなければなりません。

住信SBIネット銀行法人口座の手数料

住信SBIネット銀行の法人口座の場合、海外送金を使い始める際に初期導入手数料5万円がかかります。それに加え、送金する際に下記の手数料が必要です。

サービス内容手数料
初期導入手数料50,000円
送金手数料2,500円
円貨送金時手数料2,500円
中継銀行手数料2,500円
受取銀行手数料0円~

送金手数料は外貨預金に入っているお金を海外送金に使うときに必要な手数料です。それに対し、円貨送金時手数料は日本円を送る際に支払います。中継銀行手数料は送金人負担とした際の金額で、受取人負担の場合は中継銀行によって異なります。ちなみに、その場合の中継銀行手数料は送金金額からの差し引きです。受取銀行手数料については受取先の銀行によって異なり、送金実行後に請求されることがあります。

また、外貨預金をする際に為替手数料が発生しますが、アメリカドルの場合は1ドルにつき6銭です。

住信SBIネット銀行法人口座の申し込み条件

外貨預金や送金サービスを利用するには、まずは法人口座の開設が必要です。オンラインで申し込み可能、必要書類は運転免許証のみです。開設後、外貨送金サービスを利用する場合には別途申し込みをします。その際には送金の目的を明らかにする書類が必要です。

法人用アメリカドル口座を開く方法

銀行で法人口座を開く場合には審査が必要です。銀行によって申し込みのプロセスは異なりますが、多くの場合オンラインでの申し込みができます。もしくはオンラインで申請の一部を行い、必要書類を持って店舗へと来店します。審査には会社の登記簿謄本や全部事項証明書、会社の印鑑証明書などが求められます。必要書類も銀行によって異なるので、詳しくは各銀行のホームページなどで確認してみましょう。法人口座を開いたら、別途アメリカドル口座開設の申し込みをします。

まとめ

今回はアメリカドルの取り扱いがある法人マルチカレンシー口座について詳しくみてきました。為替手数料を節約できるなど、賢く使えばアメリカドルの取引にかかる経費を抑えることも可能です。使えるサービスは銀行によって異なるので、それぞれよく確認して自分に合ったものを選ぶようにしましょう。海外送金が多いのか、それとも受取が多いのか、などまずは自分がどんな取引を頻繁に行うのかを考えてみることをおすすめします。

ソース

  1. 外貨預金 | 法人口座の開設 | GMOあおぞらネット銀行

  2. 法人のお客さま 外貨送金サービス(外貨を送る)

  3. 口座のしくみ|はじめてのお客さまへ|SMBC信託銀行プレスティア

  4. 外貨預金|ソニー銀行(ネット銀行)

  5. BizSTATION(外為サービス) | 三菱UFJ銀行

  6. 外為サービス|三菱UFJ銀行.

  7. BizSTATION 基本サービスのご案内 | 三菱UFJ銀行

  8. 外貨預金の為替手数料 | 三菱UFJ銀行

  9. 外貨送金サービス(法人のお客さま) 送金の流れ

  10. 外貨普通預金為替コスト(手数料)・金利

  11. 外貨送金サービス(法人のお客さま) 手数料・為替コスト

  12. 口座開設(法人のお客さま)

  13. 法人のお客さま 外貨送金サービス(外貨を送る)

  14. マルチカレンシー口座 | Wise(ワイズ)の外貨口座

  15. ミッドマーケットレートでの海外送金・外貨両替 | Wise(ワイズ)

  16. 資金の両替にかかる手数料

  17. 送金にかかる手数料

  18. Wise Businessのシンプルな手数料

  19. 使いやすくて国際的なWise法人アカウント

  20. 自分の法人はWiseを使えますか?

法人用のアメリカドル口座についてよくある質問

日本国内でも法人用のアメリカドル口座は開ける?

三菱UFJ銀行や住信SBIネット銀行など、日本の銀行の中にもアメリカドルに対応している法人口座はあります。それらの法人口座を開設し、アメリカドル口座の申し込みをすれば利用できるようになります。もしくは、Wiseのようなオンラインサービスもあります。

法人用アメリカドル口座を開くのにかかる手数料は?

法人口座の開設にはお金がかからないことがほとんどですが、外貨サービスの利用には契約料や利用料金がかかることがあります。例えば三菱UFJ銀行の場合は外為サービスの利用開始時に16,500円の契約料がかかります。