ACH送金とは?意味や海外送金について解説【2024版最新】

高橋 美穂
石井 美南海
Last updated
2024年4月26日

ACH送金とは、アメリカ国内の銀行口座間での送金や口座振替などに利用されている決済方法です。アメリカでは主に給与振込や年金支払い、住宅ローンの返済、税金の還付金など定期的な支払いに用いられています。ACH送金は手数料が安い反面、送金までに日数がかかることが特徴です。利用できる銀行は限られていますが、ACHでは海外送金も可能です。本記事では、ACH送金の概要や、海外ACH送金について解説するとともに、安く、早く海外送金できるWiseなどのサービスについてもご説明します。

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目次:

ACH送金とは?

ACH送金とは、Automated Clearing Houseの略で、アメリカの金融機関の間で利用可能な電子送金ネットワークです。ACHの非営利の決済業界団体である全米自動決済協会(Nacha)によって運営されています。

ACHはアメリカの各銀行がネットワークで結ばれて、一つの決済システムが構築されています。主に給与振込みや年金振込み、公共料金の支払いなど繰り返し発生するアメリカ国内での支払いに利用されており、振込みおよび口座引き落としのサービスが利用可能です。

ACH送金は手数料の安さがメリットです。例えば、Bank of Americaのオンラインバンキングの振込みの場合、月額10ドルで20件までは無料で振込みが利用できます。ただし、通常、振込が開始されてから3営業日目に受取口座に入金されるため、安く利用できる反面、送金までに時間がかかるのがデメリットです。

ACH送金は海外送金に使える?

ACH送金では海外送金が可能ですが、一部の銀行でしかACHの海外送金に対応していません。ACH送金を利用するためにはアメリカ国内に銀行口座を保有している必要があります。

例えば、アメリカから日本へACH送金を使って海外送金したい場合、通常であれば銀行のSWIFTと呼ばれるシステムを使って電信送金で割高な手数料を支払って送金するのが一般的です。

しかし、Wiseのような海外送金サービスを利用すると、格安な手数料で海外送金ができます。その仕組みは、後ほど詳しくご説明します。

海外ACH送金

海外ACH送金はクロスボーダー決済の一種で、単一ユーロ決済圏(SEPA)やカナダのEFD、オーストラリアのBACSといった現地の決済システムを利用してアメリカの銀行口座から海外の銀行口座へ送金できるシステムです。

但し、アメリカ国内の送金と同じように海外ACH送金は日数がかかる傾向がありますが、中継銀行(コルレス銀行)を経由するSWIFT送金と比較して手数料が安いのが大きな特徴です。

名称が似ているものに、IAT(International ACH Transaction:国際ACH取引)がありますが、これは海外ACH送金とは異なり、フォーマットを指します。

IATはアメリカ政府管轄外の金融機関が関わるクロスボーダー取引で、規則に基づいて規制されています。ACHを運営するNachaは国境を越えた支払いが効率的かつ安全であることを保証することを目的として、IATフォーマットを開発しました。このフォーマットにより、取引が国内または国際であるのか判断したり、違法取引を傍受したりしやすくなります。

ネット海外送金の代替手段

アメリカから海外送金をする方法は、海外ACH送金だけではありません。

近年のフィンテックの台頭により、海外送金はますます手軽に、安く利用できるようになってきました。ここでは、海外送金サービスを展開する3社の特徴を比較していきます。

機能・サービスWise(ワイズ)Revolut(レボリュート)WorldRemit(ワールドレミット)
海外送金✅ ✅ ✅ 
送金可能通貨40以上の通貨30以上の通貨70以上の通貨
送金手数料少額の手数料(※1)手数料なし(※2)少額の手数料(※1)
為替レートミッドマーケットレート(市場仲値)独自レート(ウェブサイトまたはアプリで確認可能)

独自レート(為替手数料を含む)


為替手数料無料

為替市場営業時間内:無料


為替市場営業時間外:1% (※5)

為替レートに含む
入金方法
  • 銀行振込

  • デビットカード

  • デビットカード

  • クレジットカード

  • プリペイドカード

  • 銀行送金 (国内銀行のみ対応)

(※4)

  • 銀行振込

  • デビットカード

送金スピード1〜3営業日1日以内(※3)即時または1~2営業日(ウェブサイトで確認可能)
安全性
  • 関東財務局により第一種資金移動業者(第00040号)として登録

  • 資金のセーフガーディング

  • 関東財務局により第二種資金移動業者(第00060号)として登録

  • 一般社団法人日本資金決済業協会に加盟

  • 関東財務局により第二種資金移動業者(第00046号)として登録

こんな方におすすめ
  • 有利な為替レートで海外送金したい

  • 手数料をできるだけ抑えたい

  • さまざまな入金方法で入金したい

  • 手数料をできるだけ抑えたい



  • さまざまな通貨を送金したい

  • 手数料をできるだけ抑えたい

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3社とも海外送金に特化したサービスですが、取り扱い通貨をはじめ、為替レートや送金手数料、為替手数料など細かな点で違いがあります。3社の特徴は以下になります。

  • Wise:3社のなかでも最も手数料を抑えることができる。唯一ミッドマーケットレートでの両替が可能で、かかるのは送金手数料のみ。必要な手数料や着金予定日はシミュレーションで事前に確認が可能。

  • Revolut:他の2社では対応していないクレジットカードやプリペイドカードでの入金が可能。会員プランによって特典が受け取れたり、デビットカードやバーチャルカード、貴金属取引などのサービスも充実している。

  • Worldremit:3社中、最も取扱い通貨が豊富。為替手数料は独自のレートに含まれており、いくらなのかは明示されていない。必要な手数料や着金予定日はシミュレーションで事前に確認が可能。



(※1)送金先と送金額によって異なり、シミュレーションで確認可能

(※2)中継銀行手数料や受取手数料がかかる場合あり

(※3)送金する通貨と送金先の国によって異なる

(※4)各種カードによるチャージには1.7%(税込)の手数料が発生

(※5)金曜日の午後5時~日曜日の午後6時(ニューヨーク時間)まで週末手数料として1%の両替手数料が発生

ACH国内送金の手続き方法

ACH国内送金の手順は、各銀行のネットバンキングやモバイルバンキングによって多少異なります。以下ではU.S. BankでのACH国内送金を例に、基本的な手続き方法をご紹介します。

  1. モバイルバンキング:”Pay bills & transfer” を選択した後、”External transfers, wires & ACH” を選択

  2. “Send payment” を選択

  3. 受取人情報を入力

  4. 支払い詳細情報を入力

  5. 送金金額を入力

  6. 全ての入力内容を確認して、完了

ACH国内送金に必要な情報

各銀行によって必要な情報は若干異なりますが、通常必要となる情報は以下の通りです。

  • 受取人氏名

  • 受取人住所

  • 受取人銀行名と口座番号

  • ACHルーティングナンバー

「ACHルーティングナンバー」については、聞きなれない方も多いかもしれません。

ルーティングナンバー (Routing number) とは、アメリカの金融機関が銀行間で電子取引を送受信するために使用されている9桁の番号で、ABA routing numberとも呼ばれます。ルーティングナンバーが不明な場合は、受取人銀行に確認するようにしてください。

ACH国内送金の仕組み

ACH国内送金は、アメリカ国内の企業や個人、政府機関などで送金人および受取人が期日通りに安全かつ確実に資金が移動できる送金方法として広く利用されています。

ACHネットワークはほぼ24時間稼働しており、1日4回の支払いを決済しています。給料日が週末や祝日に当たる場合は、前営業日に支払いが行われます。金曜日が給料日の場合は、ほとんどの場合、朝9時までに銀行口座に着金されます。

海外ACH送金の手続き方法

ここからは、ACHを使った海外送金の手続き方法をご紹介します。

  1. 受取人の銀行口座情報を入手する

  • 受取人銀行名(英文)

  • 銀行支店名(英文)

  • 受取人口座番号

  • 受取人名(英文)

  • 住所(英文)

  • 電話番号

日本の銀行口座での受取りの場合、アイバン(IBAN)、エービーエー(ABA)、ルーティング(ROUTING)等のコードは必要ありません。

  1. オンラインバンキングにログインする

普段利用しているアメリカの銀行が国際ACH送金に対応しているならば、オンラインバンキングでの手続きが簡単でしょう。もし、国際ACHに対応していなければ、代替手段として先にご紹介した海外送金サービスの利用を検討してみても良いかもしれません。

  1. 送金内容を入力する

手順に沿って、送金通貨や金額、送金目的等の必要事項を入力します。

  1. 内容を確認して、送金を実行する

銀行によっては二段階認証等のセキュリティチェックが行われるかもしれません。入力した内容に不足や誤りがないか、今一度確認して送金を実行します。

ACH支払いのメリット・デメリット

アメリカ国内で個人や企業で幅広く活用されているACH送金ですが、利用するにあたってはしっかりとメリット・デメリットも把握しておきましょう。

メリットデメリット
格安な送金手数料アメリカ国内銀行の口座が必須
定期支払いの自動化ができ、利便性が高い送金日数が長い
高い安全性一部銀行では送金できる金額に制限がある
アメリカ国内のほぼ全銀行で対応

ACH支払いの最も大きなメリットは、格安な送金手数料です。

送金処理に最大3営業日程度かかることがデメリットですが、給与振込や年金支払い、公共料金の支払いなど、定期的に発生する支払いに関しては利便性が高いと言えます。

代表的なデメリットとしては、アメリカ国内の銀行口座同士でのみ処理が可能という点です。先述したように、アメリカ国外の単一ユーロ決済圏(SEPA)やカナダのEFDのようなACHに似たネットワークを利用すればACH海外送金も可能ですが、国内送金と同様に日数が長くかかる傾向があります。

ACH送金の手数料はいくらかかる?

ACH送金での資金の受取りは無料、もしくは非常に安いことがほとんどです。概ね、暦月に送金上限回数が設けられており、その回数内であれば無料、上限を超えると追加料金が発生することが多いです。

Nachaの記事によると、企業のACH支払いや受取りにかかる費用の中央値は26セントから50セントの間であることが判明しています。

アメリカ大手銀行のACH支払い手数料一覧

ここからは、アメリカ大手銀行のACH支払い手数料を見ていきましょう。

アメリカ銀行ACH手数料
Bank of America(3営業日ACH送金の場合)
月20回までは無料、21回目以降は2ドル~8ドル、以降回数追加毎に+2ドル
U.S. Bank取引毎に1ドル
Wells FargoZelle®経由でのACH送金は無料
JP Morgan Chase 

リアルタイムACH送金:決済金額の1%, 1件につき25ドル

当日ACH送金:決済金額の1%, 1件につき25ドル

(2024年4月22日現在)

海外ACH送金の手数料

アメリカ国内で海外ACH送金を取り扱う銀行は多くありません。

ここでは、国際送金サービスを使った海外ACH送金にかかる手数料をご紹介します。

海外送金サービスのWiseを使って100ドルを日本の銀行口座に海外送金すると仮定してシミュレーションした場合、手数料は以下の通りです。(2024年4月23日時点のシミュレーション)

Wise: 2.53ドル(内、ACH手数料0.13ドル・Wise手数料2.40ドル)

WiseでACH送金をすると、なんと手数料はたった2ドル弱で日本へ送金できることが分かりました。手数料は仕向国や送金金額によって変動しますが、事前にシミュレーターで確認することができます。

Wiseで海外送金のシュミレーションする

ACH送金にはどのくらい日数がかかる?

手数料がお得なACH送金ですが、アメリカ国内送金および海外ACH送金にはどのくらい日数がかかるのでしょうか?それぞれの日数を見ていきましょう。


日数
アメリカ国内ACH送金翌営業日~3営業日程度
海外ACH送金2日~4日程度
Wise海外送金翌営業日着金予定

(2024年4月24日現在)

U.S. Bankの公式サイトによると、アメリカ国内のACH送金には、通常翌営業日~3営業日程度必要とされています。海外ACH送金では2日~4日程度かかり、少額かつ緊急性のない支払いに適していると言えます。

一方、海外送金サービスのWiseでアメリカから日本への海外送金をシミュレーションしてみたところ、手続きした翌日には着金予定となっています。

なお、先にご紹介したWorldremitでは、2024年4月現在、海外から日本宛の送金には対応していないため、安く、早く日本へ送金したいという場合にはWiseが最も早い送金手段と言えるでしょう。

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海外ACH送金と電信送金の違いとは?

海外ACH送金と電信送金(SWIFT:スイフト)は、両者とも海外電子送金方法の一つです。しかし、送金システムの大きな違いにより、送金にかかる日数や手数料も異なります。違いを知ることで、状況によってどちらの海外送金方法が適切かを選択するのにも役立ちます。具体的に両者を比較していきましょう。


電信送金(SWIFT)海外ACH送金
送金日数送金先・中継銀行数によって異なる

2~4日程度(各国の決済機関のサイクルによって異なる)


手数料数千円(手続きする銀行や中継銀行数によって異なる)5ドル以下
送金可能国200カ国以上主にイギリス、ユーロ圏、カナダなどACHに似た決済システムのある国
適正取引数高額取引に最適少額かつ緊急性の低い支払いに最適(定期的な給与支払い等)
セキュリティ非常に高い非常に高い

(2024年4月23日現在)

電信送金(SWIFT送金)は、世界中の金融機関が国際送金する際に欠かせないインフラです。強固なセキュリティで一日当たり何兆円もの決済額を動かしており、信頼性の高い送金方法です。ただし、送金の間には複数の中継銀行を経由する場合があり、そのため時間や手数料が割高になってしまう傾向があります。

海外ACH送金は、主に英国のBACSやユーロ圏のSEPA、カナダのEFTなどアメリカ国外のACHに似た決済システムを通じて電子決済を行うことができる送金サービスです。SWIFT送金と比べて各段に手数料が安く、例えばU.S. Bankの場合は5ドル以下の手数料で送金できます。ACH海外送金は手続きする銀行によっては対応していない場合もあるので事前に確認が必要です。

関連記事を読む: SWIFT送金とは?

まとめ

アメリカ国内では生活する上で欠かせないACH送金システムですが、海外ACH送金としてはほとんどの銀行では対応していません。

アメリカから国外へ送金したい場合には、海外ACH送金も理論上は可能ではありますが、解説したように日数がかかります。銀行以外のWiseやRevolutのような海外送金サービスを使って送金することで、手数料や時間といったコストを削減することができます。手続きも簡単なので、アメリカから国外へ送金する機会のある方は、ぜひ利用を検討してみてください。

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出典:

ACH送金に関してよくある質問

ACH国内送金に必要なものはなんですか?

ACH国内送金には、受取人氏名、受取人住所、受取人銀行名・口座番号、受取人の銀行口座番号、ACHルーティングナンバーが必要です。

ACH送金にはどのくらい日数がかかりますか?

ACH国内送金は通常、翌営業日~3営業日程度、海外ACH送金には2日~4日程度かかります。

ACH送金を受け取るにはどうしたらいいですか?

ACH国内送金を受け取るには、送金人に受取り銀行口座の銀行名、口座番号、ACHルーティングナンバー(ABAナンバー)などを伝える必要があります。アメリカからの海外ACH送金を受け取るには、ACHルーティングナンバーは不要です。

ACH送金の状況を追跡するにはどうしたらいいですか?

オンラインバンキングまたはモバイルバンキングにログインし、ACH送金状況から支払い状況を確認できます。