海外送金に消費税は発生する?海外送金をする際の税金の仕組みについて徹底解説!

山口 友紀恵
ライター
石井 美南海
最終更新日
2025年5月9日

日本から海外へお金を送る際、「消費税は発生するのかな?」と疑問に思う人もいるでしょう。特に送る金額が大きい場合、それに伴って納税額も大きくなるのでは…と不安になる人もいるかもしれません。そこで今回の記事では、海外送金にまつわる日本の税制について詳しく解説していきます。

また、お得に海外送金ができるオンラインプロバイダー、Wiseについても合わせてご紹介していきます。Wiseは中継銀行を使わない独自の海外送金システムを構築しており、一般的な金融機関より安く、そして早く海外送金できることがその特長です。海外送金を予定している人は、ぜひ参考にしてみてください。

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海外送金に税金はかかる?その仕組みを解説!

結論としては、海外送金自体に消費税は発生しません。日本の消費税法、第4条第1項には「国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。」と明記されています。つまり、課税対象となるのは「国内取引」に限定されており、国外取引はその対象とならないということです。国税庁の通達でも、国外取引については課税されないとはっきり書かれています。また、海外送金は単なる「資金の移動」であり所有権の移転ではありません。そのため、日本の消費税法に照らし合わせると非課税取引に分類されるのです。

ただし「手数料」には課税される可能性あり

ただし、注意しなければならないのが送金時に発生する各種手数料です。この手数料は、銀行や送金サービス業者が提供している「サービス」に対して支払うものであり、「役務の提供」にあたります。そのため、その提供が日本国内で行われた場合、消費税の課税対象になる可能性があるのです。例えば以下のような場合には、手数料に消費税が発生することがあります。

  • 日本国内の銀行が提供する送金手数料

  • 国内に所在する資金移動業者が行う送金サービスの手数料

  • 両替・中継サービスなどが含まれる複合的な手数料

ただし、役務の提供によって発生した消費税は役務を提供した側が支払う義務を負います。海外送金の例でいえば、役務を提供した側=金融機関なので、送金を依頼した個人が支払うわけではありません。しかし、金融機関側はそれを見越して手数料を決めているため、結果的に送金依頼者が支払う手数料には消費税分を反映した金額が設定されていることがほとんどです。

手数料が「課税」になるケースとは?

それでは、実際に手数料が課税となるケースを見ていきましょう。注目すべきは「国内取引かどうか」と「役務の提供があるか」です。

銀行や事業者が提供する国内サービスの場合

日本国内の銀行や送金サービス業者を利用した際に発生した手数料については、基本的には消費税の課税対象です。これは、そのサービスが「日本国内」で行われているためです。 例えば下記のような場合です。

  • 銀行の窓口やオンラインバンキングでの海外送金手数料

  • 国内にある送金代行サービス業者の利用手数料

  • 両替や着金確認などの付帯サービス料

送金そのものではなく、「サービスの提供」が日本国内で行われているかどうかがポイントです。これらは国内取引とみなされ、消費税(10%)が上乗せされることになります。

利用するサービスが「役務の提供」に当たるかどうか

原則として、消費税法では銀行が行う業務のうち預金や貸付、為替取引などの「資金決済業務」は非課税となっています。これは「消費税としての性格上課税対象とすることになじみにくいため」と説明されています。一方、サービスを利用した際の手数料については「役務の提供」に発生する対価であり、課税対象です。これは事業者側が支払う税金であり消費者が直接払うことはありませんが、その分がサービス料に上乗せされることはあります。

資金移動業者の場合の判断基準

銀行ではなく資金移動業者であっても、同様の基準で課税対象か否かが判断されます。最近ではPayPalWisePayForexなど海外送金や外貨両替に特化したサービスを提供する事業者も増えています。こういった事業者を利用する場合も、消費税の課税対象かどうかは「サービスが行われる場所」と「役務の提供があるかどうか」がポイントです。

例えば海外送金にあたり、日本国内での事務処理やサポート対応が含まれている場合には課税対象となります。一方、為替取引に近い形で「資金の交換」のみを行っている場合には銀行の行う「資金決済業務」にあたると判断され、非課税とみなされることもありえます。資金決済業者が行うサービスは多岐にわたるため、一概に判断するのは難しいです。ケースバイケースで見ていくことになります。

なお、海外送金にかかる手数料については個人向けの海外送金におすすめな銀行は?手数料を比較の記事でも詳しく解説しています。

個人間送金の場合は課税対象になる?

個人間の送金であっても、下記のようなケースの場合には「税金が発生するのでは?」と迷うこともあるでしょう。

  • ビジネス目的で送金をする

  • 国内で業務委託契約を結んでいる

  • 国内の銀行を利用して送金する

上記のような場合でも、送金相手が海外在住である限りは課税の対象にはなりません。消費税の課税対象はあくまで「国内において事業者が行った資産の譲渡等」だからです。

ただし、消費税法を含む税法は非常に複雑であり、例外的に課税対象となることもないとは言い切れません。そのため、自身のケースが課税なのか非課税なのか不安な場合には専門家に質問するなど確認が必要です。

法人・個人事業主が注意すべきポイント

ビジネス目的で海外送金を予定している場合には、経費計上や税務申告でいくつか注意点があります。無用なトラブルを避けるためにも、下記のポイントを押さえておきましょう。

送金の詳細を記録しておく

海外送金を経費計上するときには、帳簿にその明細を記録しておきましょう。送金先やその目的、手数料の内訳をきちんと記し、領収書がある場合にはそれも記載します。こうして記録を残しておくことで、確定申告など税務処理をする際にスムーズに手続きが進みます。また、送金や支払いの内容によっては課税と非課税が混在するケースもあります。そのため、手数料部分は勘定科目も細かく分けておきましょう。

帳簿記載や消費税申告での取り扱い

海外送金に関わる支払いが課税仕入れだった場合、仕入税額控除の対象になる場合があります。課税仕入れとは、その商品やサービスを入手したときの支払いで消費税をすでに払っている仕入れのことをいいます。海外に拠点を置く事業者や個人事業主からのサービスや商品提供であっても、場合によっては控除の対象となる可能性があるため、記録をしっかり残しておきましょう。

なお、仕入税額控除の適用が認められるためには、その支払いを記した帳簿とその事実を証明する請求書などの書類両方を保存しておかなければなりません。ちなみに請求書は適格請求書(インボイス)が求められるので、基本的には適格請求書発行事業者から仕入れたものでないと税額控除は不可です。ただし、海外の事業者の場合はそもそも日本のインボイス制度に参加できないため、この制度が免除されることがあります。その場合にはインボイスではなく輸入許可書などを提出することになるので、支払いに関わった書類は必ず保存しておきましょう。

なお、以上を踏まえ帳簿上では以下の情報を明記しておくことをおすすめします。

  • 相手先の名称・所在地(海外であることを明示)

  • 取引の内容(役務提供など)

  • 支払金額とその内訳(手数料含む)

  • 取引日・送金日・レートなど

税務調査時の備えとして確認すべきこと

税務調査とは納税者が適切な税の申告・納付をしているかを確認するための調査であり、過去5〜7年分にわたって申告内容を対象に調査が行われます。税務調査では海外送金にまつわる取引は特に注意して見られるので、海外送金の記録はきちんと残しておくことをおすすめします。

特に調査官が確認するのは次のようなポイントです。

  • 海外送金の実態が「業務委託」「贈与」「寄附」のどれにあたるのかの区別

  • 契約書、発注書、請求書などの有無・整合性

  • 支払い内容と帳簿記録の一致

  • 為替レートの計算根拠や日本円換算の方法

このように、その海外送金が業務に関するものなのかどうかを細かくチェックされるので、プライベートの送金と混在させないことも重要です。さらに、仕入税額控除適用の有無を確認するため、海外送金の手数料に消費税が含まれているのかが申告内容と合致しているかも確認対象になります。明細書の保存、送金レポートのPDF出力などを定期的に行い、調査に備えた記録管理が求められます。

個人で送金する場合の重要なポイント

基本的に個人間での送金であれば消費税の対象外ですが、その内容によっては課税対象になりうることがあります。重要な判断基準は送金の背景に「サービス提供や対価性があるか」です。

例えば下記のようなシチュエーションであれば、基本的に消費税はかかりません。

  • 仕送り、生活援助

  • 借金返済、立替金の返金

これらの場合には、商品やサービスの提供はありませんので、消費税の対象外と判断されるのが通常です。

一方で、個人間の送金であっても業務に対する報酬であれば課税対象になる可能性があります。例えば海外在住のフリーランスデザイナーに仕事を依頼し、その外注費を支払った場合などです。形式上は個人間の送金でも、その実態がビジネス取引であれば税務上は課税扱いとなるのです。

送金手数料がわかりづらいサービスに注意

すでに説明した通り、送金手数料は消費税が発生するケースがあります。そのため、税務処理をスムーズにするため手数料についてもきちんと記録を残しておきましょう。しかし、銀行や一部の送金業者では、手数料が送金額に含まれていて明細が不透明なことがあります。コスト管理が難しくなり、本来控除できるはずの項目が漏れる恐れもあります。

また、海外送金時には送金手数料以外に、為替手数料も発生しています。これは日本円から外貨へ両替するときに発生するもので、送金レートに上乗せして請求されるのが一般的です。そのため、実際にどれだけのコストがかかっているのか非常にわかりづらくなっています。こういった、サービスにかかる手数料が不透明な事業者を利用するときにはコスト管理に注意が必要です。

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コストを抑えて海外送金するには

海外送金にかかるコストを極力抑えるためには、以下の点に注意しながら利用しましょう。

1. 手数料が開示されているサービスを使う

上述の通り、海外送金には送金手数料や為替手数料など複数の手数料が発生します。それらの内訳や詳細が開示されているサービスを選ぶことで、コスト管理がしやすくなります。経費計上に役立つだけでなく他サービスとの比較もしやすく、お得なサービスを選んで取引できるので節約につながるでしょう。

2. なるべく一括送金をする

金融機関によっては送金1回ごとに基本手数料が発生することがあります。そのため、なるべく送金の回数を減らすことでトータルコストが抑えられます。

3. 為替レートが実際の為替レートに近いサービスを使う

金融機関は独自の為替レートを設定しており、その中には為替手数料が含まれるのが一般的です。そのため、この為替レートが実際の市場のレート(ミッドマーケットレート)に近いものを選んだ方がコストカットができます。例えばWiseでは為替レートにミッドマーケットレートを採用しているため、両替時や海外送金時に為替手数料がかかりません。こういったサービスを選ぶことで、節約しながら海外送金ができます。

Wiseの場合、為替手数料はかからないものの送金手数料は発生します。しかし、利用額の0.68 %〜と一般的な銀行の手数料と比べ非常に安価に設定されていてお得です。また、送金前に必ず手数料の内訳がチェックできるのもWiseの特徴です。知らないうちに手数料が上乗せされていた、ということがなく非常に透明性の高い取引ができます。

Wiseの送金システムは銀行のSWIFTとは違い、独自の送金システムで海外送金を行っています。送金プロセスにおいて中継銀行を挟まないので、より早く海外送金が可能です。第一種資金移動業のライセンスを取得しており、1回に100万円以上の送金もできます。

Wiseについて詳しく知りたい方は、海外送金のWiseを徹底解説!使い方・評判・メリット・デメリットは?の記事もぜひご参照ください。

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まとめ

今回の記事では、海外送金にまつわる消費税の扱いについて解説してきました。基本的に消費税の課税対象は「国内取引」であり、海外送金自体は課税対象外です。ただし、送金にかかる事務手数料に対して消費税が発生することはあります。そのため、海外送金事務手数料が安いプロバイダーを選んで取引することで、コストカットが目指せます。

例えばオンラインで海外送金ができるWiseなら、送金手数料は0.68 %〜と非常に安価です。こういったプロバイダーを選ぶことで、消費税を抑えながら海外送金ができるでしょう。

海外送金を行う際は、単にレートやスピードだけでなく、こうした手数料や消費税の有無にも目を向けることで、より賢くコストを抑えることが可能です。ぜひ自分に合ったサービスを見つけて、スムーズかつお得な海外送金を実現してください。

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