スイフト (SWIFT) 送金とは?手数料や日数、代替手段について解説【2024版最新】

高橋 美穂
Last updated
2024年4月29日

近年、特定の国を対象にした金融制裁が国家間の有事時に議論されています。その際に使用される国際決済ネットワークが、今回のテーマであるSWIFT(スイフト)です。SWIFTを使った海外送金は高い安全性や信頼性から、今や国際間の金融取引に必要不可欠なインフラです。しかしながら、送金に日数がかかったり、手数料が高額になってしまったりと不満に思う人も少なくありません。

本記事では、SWIFTとは何なのか、SWIFTを利用した送金方法や、送金に必要な日数と手数料、SWIFTコードについても詳しく解説します。また、高額になりがちな手数料を節約するための代替手段として、おトクに海外送金できるサービスのWiseについてもご紹介します。

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SWIFT送金とは?

スイフト (SWIFT:Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)とは、国際送金を行う際に銀行で使われるネットワークシステムを提供する協同組合およびシステムで、日本語では国際銀行間通信協会とも呼ばれます。SWIFTはベルギーに本部を設け、世界200以上の国の11,000を超える金融機関がSWIFTのネットワークシステムを利用して日々の決済業務を行っています。

SWIFTは1973年に協同組合形式の団体として設立。15カ国から239の銀行が集まり、国境を越えた決済における当時抱えていたコスト、安全性、信頼性、言語、技術面といった課題に対処するため会合を開催しました。1977年、SWIFTは電子メッセージサービスを開始。当時広く使われていたテレックス(ダイヤルアップ電話サービス)技術に取って代わる世界の金融機関にとって信頼できる機関となりました。

SWIFTの加盟金融機関はSWIFTのシステムを用いて、指示を入力し、コルレス銀行と呼ばれる中継銀行を介して国際送金を行います。コルレス銀行は、飛行機の乗り継ぎ空港のようなもので、最終目的地までたどり着くための経路の役目を担っています。

SWIFTコードとは? 

海外送金を行うにあたって、必須なのがSWIFTコードです。

金融機関がSWIFTに加盟すると、SWIFTコードあるいはBICコード (Bank Identifier Code) と呼ばれる8桁もしくは11桁の金融機関識別コードが割り当てられます。このコードを用いて、国際送金などの金融取引で正確に取引先の金融機関を識別することができます。

よく混同されるものにIBAN(International Bank Account Number:アイバン)があります。IBANは主にヨーロッパを中心に利用されている金融機関識別コードで、最大34桁の英数字で構成されています。なお、日本では採用されていません。

IBANを採用する国向けに送金する場合にはIBANコードのほか、BICコードの記載が義務付けられています。

SWIFT送金の手数料

SWIFT送金には、さまざまな手数料が発生します。

日本の銀行から海外送金手続きを行う場合に発生しうる手数料は以下の通りです。

手数料名内容
海外送金手数料窓口またはネットバンキング等での取扱い手数料
関係銀行手数料資金が到着する途中の経由銀行でかかる手数料(複数銀行を経由することもあり)
為替手数料外貨両替手数料(各金融機関のTTSに為替手数料が含まれる)※TTS:市場仲値に為替手数料をプラスした金額
リフティングチャージ同一通貨間での取引(円→円のまま送金)にかかる手数料
支払銀行手数料入金時に受取銀行で発生する手数料(送金人負担または受取人負担を選択可能)
照会手数料送金の未着について照会する際の手数料
内容変更手数料送金内容の変更の際にかかる手数料
組戻手数料送金手続が完了した後に取り消し等の理由で資金を送金人へ返却する際にかかる手数料

銀行で外貨建てで海外送金を行うと、実際の為替レートに為替手数料がプラスされたTTS(外貨販売レート)が適用されます。そのため、受取人はTTM(市場仲値)よりも少ない金額を受取ることになります。

さらに、SWIFT送金では中継銀行を経由します。中継銀行は複数を経由することもあり、中継銀行ごとに手数料が発生します。どのような経路を経るかは送金通貨によって海外銀行が決定するため、手続きを行う銀行では分かりません。

その他にも、受取人が現地銀行から資金を受け取る際にかかる受取手数料や、資金が未着で届かない場合に調査をする際の照会手数料、送金手続き後に変更、組み戻しをする際の手数料などが発生することがあります。

SWIFT送金の代替手段:高額な手数料を回避する方法

このような高額な送金手数料を徹底的にコストカットしたフィンテック企業が続々と銀行に代わって台頭しています。Wise(ワイズ)はその中でも大きく成功を収めている海外送金サービスの一つです。

Wiseでは独自の送金システムを構築しており、銀行で海外送金を行う場合に比べて大幅に送金コストを抑えることができます。

銀行と比較して、具体的にどの程度コストを下げることができるのでしょうか?

送金人が10万円をアメリカに送金する場合の手数料を下の表で比べてみましょう。

金融機関手数料受取れる金額
楽天銀行1,750円642.95 USD
三菱UFJ銀行6,000円615.18 USD
Wise732円654.44 USD

(2024年4月4日 16時現在)

上記3つの金融機関を比較すると、手数料に関してはWiseが最も少なく、なんと1,000円以内という格安な手数料で送金できるということが分かりました。

さらに、実際に10万円を送金して米ドルで受け取れる金額も、最も多いのはWise、2番目は楽天銀行、3番目が三菱UFJ銀行という結果になりました。

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SWIFTを使った送金方法

SWIFTは、世界中の金融機関をつなぐ共通システムです。そのため、SWIFTネットワークは送金手続きそのものを処理するわけではありません。SWIFTシステムは世界中の銀行を相互につなぐため、使用言語に関係なく世界中のどの金融機関にも資金を届けることを可能にします。そのため、支払い指示書の電文フォーマットを標準化することで送金手続きを確実に行えるようにしています。各銀行には、銀行を特定するためのSWIFTコードやBICコードが割り当てられています。

SWIFTが郵便局だとイメージすると分かりやすいでしょう。送りたい郵便物に情報(支払い指示書・送金情報)を記載します。郵便物はいったん郵便局(SWIFT)で収集され、SWIFTは各金融機関を特定するSWIFTコードやBICコードを参考に、各配達先(受取人の銀行)へ送金します。

SWIFT送金時に必要なもの

それでは、実際に銀行でSWIFT送金をする場合には、どのような情報が必要になるのでしょうか?一般的に、送金時に必要となるものは以下の通りです。

  • 届出印

  • 本人確認書類

  • マイナンバーが確認できる書類

  • 送金関連資料(※1)

<送金情報(英文)>

  • 受取人の銀行名

  • SWIFTコード(BICコード)

  • 支店名

  • 支店住所

  • 受取人の氏名

  • 受取人の口座番号

  • 受取人の住所

  • IBAN対応国なら、IBAN番号

(※1)マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策のため、銀行では送金目的について、送金目的に関する資料の提出を求められることがあります。お子様の留学資金なら、教育機関からの授業料請求書、親族への生活費なら受取人との関係が証明できる戸籍謄本などです。

SWIFTコードの調べ方

SWIFTコードは各金融機関のウェブサイトや、SWIFTコードチェッカーで確認可能です。例えば、みずほ銀行のSWIFTコードは「MHCBJPJT」、三菱UFJ銀行のSWIFTコードは「BOTKJPJT」です。

ネットバンキングでSWIFT送金をする方法

銀行で海外送金をするなら、窓口よりもネットバンキングの方が手数料がお得です。ここでは、一般的なネットバンキングでの海外送金の手続き例をご紹介します。

多くの銀行では、ネットバンキングでの海外送金には事前に「海外送金の利用申込み」が必要になります。海外送金の予定がある方は、早めにご準備ください。

  1. ネットバンキングにログインする

  2. 外国送金サービスの利用申込み手続きを行う

  3. サービス開始手続き後、外国送金サービスの申込みが完了する

  4. 送金先口座の登録をする

  5. 登録完了後、外国送金の依頼を行う

SWIFT送金は安全?

SWIFTは1973年にサービスを開始して以来、約50年にも渡って利用され続けている安全性と信頼性の高い決済ネットワークです。SWIFTが動かす決済額は1日当たり5兆ドル、日本円に換算すると約670兆円にも上ります。

SWIFTはG10各国(ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、英国、米国、スイス、スウェーデン)の中央銀行、および欧州中央銀行によって監督されており、主な監督機関はベルギー国立銀行です。

大口決済など、銀行がSWIFT送金を使い続ける理由は高い安全性にあると言えるでしょう。銀行はさまざまな規制にも配慮しなくてはなりません。クロスボーダー決済は政治の制裁措置をはじめ、マネーロンダリング(資金洗浄)防止規制に抵触していないかどうかなど、規制を遵守する必要があります。このような規制を遵守するには、高度なシステムのほかに人的資源も欠かせません。

SWIFTを介して処理される取引は1日あたり約4,480万件にも上ります。SWIFTの送信指図を行う主要メッセージングサービスのFINの可用性(システムの稼働能力)は99.999%となっています。

このように、高いコンプライアンスとシステムの安全性から見ても、SWIFTは安全性が担保されていると言えるでしょう。

SWIFT送金にかかる日数は?

銀行でSWIFTシステムを使った海外送金の手続きには、日数がかかります。

例えば、三井住友信託銀行では「おおむね1週間」、楽天銀行では「おおむね送金日+1日~3日程度」とされています。ただし、この日数はあくまでも目安であり、いずれの銀行も、中継銀行での処理によって着金日が変わってくるため、一概に何日かかると言い切ることができません。中には、送金日数に関しては開示していない銀行もあります。

SWIFT送金のメリット・デメリット

SWIFTネットワークは、近年ますますグローバル化する現代において、多くの企業や組織の国際金融取引において欠かすことのできないインフラです。SWIFT送金におけるメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

メリット

  • 高い安全性と信頼性

  • 決済の追跡が可能

  • 標準化されたフォーマット(金融メッセージ)によって、国や言語、慣習の境界を越えた取引が可能

デメリット

  • 手続きに長い日数がかかる

  • 中継銀行手数料や受取手数料など手数料が高く、不透明

先述したように、SWIFTはG10各国の中央銀行から監督されており、高い安全性と信頼性がメリットです。しかしながら、送金手続きを行う銀行、中継銀行、受取り銀行といくつもの銀行での手続きを経るため、日数が長くなり、さらに各銀行で手数料が発生するため、ユーザーにとっては「長くて、高い」というデメリットがあります。

このような課題に取り組むため、SWIFTは処理のスピード化と低コスト化に取り組んでいます。従来まで利用されていたMT(メッセージタイプ)のフォーマットから、新たな統一フォーマット(ISO20022)へ、2025年11月にかけて現在は移行の過渡期にあります。

このシステム移行により、送金処理の迅速化や高度化が期待されます。

結論:SWIFT送金は利用するべき?

SWIFTは国家間の商取引や政治において欠かせないインフラですが、個人間での送金においては手数料が高額かつ不透明で、着金までに時間がかかってしまう点がデメリットです。

しかしながら世界標準として利用されるSWIFTは、安全性が高く、それが世界から支持される大きな理由です。規模の大きなビジネスの高額な国際送金においては、安心して利用できると言えるでしょう。

まとめ

SWIFT送金は安全性の高いインフラですが、比較的少額の個人間での海外送金であれば、近年多様化してきているWiseのようなオンラインサービスでの海外送金がおすすめです。送金手数料もシンプルで分かりやすく、送金スピードも早いため、「安く、早く、安全」な海外送金が可能です。

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出典・参考文献:

スイフト (SWIFT) 送金に関してよくある質問

銀行のSWIFTコードを調べるにはどうしたらいいですか?

SWIFTコードは各金融機関のウェブサイトや、SWIFTコードチェッカーで確認可能です。

SWIFT送金をするにはどうしたらいいですか?

銀行窓口やネットバンキングでSWIFT送金が可能です。届出印や本人確認書類、マイナンバーが確認できる書類、送金関連資料などが必要になります。

SWIFT送金にはどのくらい日数がかかりますか?

SWIFT送金には中継銀行を複数経由するため、一概に何日かかると言い切ることができません。各金融機関でも必要な日数については確約されていません。