海外赴任中、日本の電話番号はどうする?電話番号をキープするお得な方法とは

山口 友紀恵
石井 美南海
Last updated
2024年12月4日

留学や海外赴任などで海外へ移住するとき、日本の電話番号を解約してしまうとクレジットカードや銀行口座などの登録電話番号を変えなければなりません。カードや口座を複数所有している場合にはそれぞれ手続きが必要になるため手間がかかります。また、実家の電話番号や家族の携帯番号などを指定することになりますが、カードの紛失時など緊急時の連絡がその番号にいくことを考えると、固定電話を指定してしまうと何かと不便です。

そこでこの記事では、そんな不便を避けるために日本で利用しているスマートフォンの電話番号を維持したまま海外に移住する方法を説明していきます。上記で説明したような手続きが不要になるだけでなく、日本のサービスのSMSも使えて便利です。また、海外送金や現地での支払いに役立つオンラインサービスであるWiseをご紹介します。

Wise公式サイトへ 💡

海外赴任時の携帯電話の扱い方

電話番号を維持する方法は複数ありますが、コストがかかることを考慮しましょう。そのため、各手続きにかかる手間とコストをよく照らし合わせ、維持するかどうかを決めるべきと言えるでしょう。海外での滞在期間が2~3ヶ月ほどの短期の場合は、解約と帰国後の再登録の手間を考えれば維持する方が得策かもしれません。一方、長期滞在の場合には利用頻度がそれほど高くないことを考えると解約する方が経済的です。

海外赴任中に日本の携帯電話を維持するメリット・デメリット

メリットデメリット
✅ 解約に伴う諸手続きが省ける
✅ 帰国後に新たな番号を契約する必要がない
✅ 帰国後すぐに友人や家族と連絡がとれる

❌ 長期契約を続ける場合コストがかかる
❌ 一時休止期間に制限がある

❌ キャリア変更の手続きが必要な場合がある

海外赴任時に日本の携帯電話番号を維持する方法

上述の通り、海外滞在中に日本の電話番号を維持する方法はいくつかあります。この段落では、それぞれの方法について詳しく解説していきます。

各キャリアの休止サービスを利用

通信会社によっては、休止サービスが利用できるところもあります。主に海外赴任や留学などで一定期間日本を離れる人に向けたサービスで、低料金で電話番号の維持が可能です。下記の表は、au、docomo、SoftBankの休止サービスについてまとめたものです。

キャリア手数料月額利用料保管期間必要書類
au3,850円409円5年間本人確認書類・印鑑・携帯電話端末
docomo3,850円(※1)440円6年間本人確認書類
SoftBankなし429円5年間本人確認書類

2024年11月20日時点での情報を基に作成(1)オンラインで手続きした場合には1,100円

au、SoftBankは保管期限が最大5年間なのに対し、docomoの場合は6年間保管できます。海外に滞在する期間がこれより短い場合には、休止サービスを活用することで解約や帰国後の新規契約などの面倒な作業が省けます。保管期間を超えることがあらかじめ分かっている場合には、保管料金が無駄になってしまうかもしれないので解約もしくは下記で紹介する別の方法がおすすめです。

海外でも利用可能なキャリアを使用

多くのキャリアでは海外利用に対応したプランを提供しています。その中から料金が安いキャリアを選べば海外赴任中もお得に日本の電話番号の維持が可能です。この段落では、海外利用ができるキャリアの中から特におすすめな楽天モバイルとY!mobleをご紹介します。

楽天モバイル

月額料金1,078円
モバイルデータ2GB
通話プラン日本への国際通話は無料
対象地域74の国と地域

2024年11月20日時点での情報を基に作成

楽天モバイルの場合、「楽天最強プラン」のプラン料金の中に海外利用分の2GBが含まれています。追加の申し込みや設定は不要で、my楽天モバイルから「海外ローミング」をオンにするだけで利用できます。ちなみに2GBを超えたあとも、最大128kbpsでデータは使い放題です。

国際通話に関しては、「Rakuten Link」というアプリを使うことで日本の電話番号との通話には料金はかかりません。着信相手がアプリを利用していなくても発信ができ、データ利用量にもカウントされません。日本の電話番号ではなく海外の電話番号にかけたい場合には、980円で国際通話かけ放題のプランを追加することができます。

Y!mobile

月額料金59,400円(1日1,980円)
モバイルデータ~12.5MB(※1)
通話プラン国により異なる
対象地域200を超える国と地域

2024年11月20日時点での情報を基に作成(1)12.5MBを超えた場合、1日2,980円

Y!mobileの「世界パケットし放題」を使うには「世界対応ケータイ」への申し込みが必要です。申し込みは無料、My Y!mobileから手続きができます。データ利用量12.5MBまでは1日当たり1,980円、それを超える場合には1日2,980円です。月額料金ではないので、海外滞在期間が長い場合には割高になってしまうこともあります。

通話料金は国によって異なり、例えばアメリカの場合は日本の電話番号へかける場合には1分あたり140円です。それに対しオーストラリアから日本へ電話をかける場合には1分あたり265円かかります。

格安SIMを利用して低コストで電話番号を維持

格安SIMを利用して電話番号をキープするのもひとつの手段です。最安プランであれば月額500円以下で電話番号が維持できるキャリアもあるので、休止サービスや海外プランよりもお得に利用できます。また、一時帰国時には通常通り使えて便利です。ここでは、その中でも特におすすめな日本通信とpovoのプランをご紹介していきます。

日本通信

日本通信の「シンプル290」というプランは月額290円で1GBまで利用できるプランです。月額料金の中に通話料は含まれておらず、通話の際には30秒ごとに11円かかりますが、海外赴任中に電話番号を維持する目的での利用であればこの点は特に気にならないでしょう。ちなみに、220円で1GBを追加購入できるので一時帰国時の利用にも便利です。

povo

povoは月額基本料金は0円であり、必要なプランを適宜「トッピング」して利用するキャリアです。例えば180日間使えるデータ150GBをトッピングすると12,980円が発生します。150GBを使い切ったとき、もしくは180日を経過したタイミングで新たなトッピングを追加すればいいので、自分のデータ利用量に合わせてプランが選べて便利です。

この仕組みを利用して、povoの提供する最安値のトッピングを申し込むことで海外赴任中の電話番号の維持が安く済ませられます。ただし、180日ごとに有料トッピングの追加がないと利用停止もしくは契約解除となることがあるため、1年に2回はトッピングが必要です。それを踏まえると、海外滞在中に日本の電話番号を維持する目的であれば1,260円で180日間1GBが使えるトッピングがおすすめです。1ヶ月約210円と格安で電話番号がキープできます。

ただし、格安SIMを利用して電話番号を維持する場合は日本国内での通常プランを契約することになるため、海外での利用はできません。海外赴任先での通信方法については別途考える必要があります。

海外赴任時の携帯電話やスマホ利用における注意点

ここでは、海外滞在中にスマートフォンや携帯電話を利用する際の注意点を3つご紹介します。日本の電話番号を維持する、しないに関わらず重要なポイントなので、これから海外赴任や留学などで海外に長期滞在する人はぜひ確認してください。

日本のスマホを持っていく場合はSIMフリーにしておく

SIMフリーとはどの通信会社のSIMでも利用可能である状態のスマートフォンを指す言葉です。スマートフォンのメーカーから直接デバイスを購入した場合にはSIMフリーの状態であることが一般的ですが、通信会社でデバイスを購入したときにはその通信会社のSIMしか使えないことがあり、この状態を「SIMロックがかかっている」と表現します。SIMロックがかかったまま海外に持って行ってしまうと、滞在先の通信会社のSIMが使えません。そのため、日本で使っているスマホを海外赴任先に持っていく場合にはSIMフリーの状態にしておく必要があります。

携帯電話やスマホを解約するタイミングに注意

日本の電話番号をキープせず解約する場合にはそのタイミングに注意しましょう。うっかり早めに解約してしまうと、滞在先で新たにキャリアを申し込むまではデータ通信及び通話ができない期間ができてしまいます。Wi-Fiがあればデータ通信には困りませんが、海外へ移住する場合には自宅のWi-Fiも解約するでしょうから、そのタイミングも含めてスマホ解約の時期を考慮する必要があります。

デュアルSIM対応のスマホを持参

日本の電話番号を維持して海外赴任先に行く場合には、デュアルSIM対応のスマホを持っていく必要があります。デュアルSIM対応とは、ひとつのスマホで2つの通信会社のSIMを同時に所有できる端末のことです。デュアルSIMに対応していないと手持ちのスマホで新たなSIMの契約ができないため、別途違う端末を購入しなければなりません。

SIMにはカードを端末に挿し込んで利用する物理SIMと、デバイス内にデータとして内蔵されるeSIMとがあります。物理SIMを2つ挿し込みたい場合にはカードを挿し込むスロットが2つないと利用できませんが、eSIMであればその必要はありません。最新のモデルであれば2つのeSIMに対応していることが多く、例えばiPhoneの場合はSE(第3世代)、iPhone13以降は2つのeSIMが利用可能です。機種によってもちろんスペックは異なるので、詳細は各ブランドのホームページなどで確認しましょう。

海外赴任中の海外送金やお金の管理に便利なサービス

仕事や留学などで海外に長期滞在する際には、お金の管理方法について悩む人も多いでしょう。長期滞在となれば必要な資金は大きくなり、それをどうやって持っていくのかと考えている人も少なくないはず。また、海外赴任中の家族に海外送金をしたいという人もいるかもしれません。ここでは、そんなときに役立つオンラインプロバイダー、Wise(ワイズ)をご紹介します。

Wise

Wiseは日本円を含む40種類以上の通貨の保有や管理、海外送金ができるオンラインプロバイダーです。アカウントを開設したあと、日本円で自分の口座に入金、マルチカレンシー口座を開けばそのお金を両替したり送金したりすることができます。ちなみに、送金できる国や地域は160以上にもなります。自分のアカウントに紐づけられたデビットカードを使えば150ヶ国で現地での支払いや現金引き出しも可能です。

現地の銀行口座へ送金したい場合には、送金手数料のみで海外送金ができます。通常、多くの金融機関では独自に為替レートが設定されており、その中には為替手数料が上乗せされています。しかし、Wiseの場合には為替レートにミッドマーケットレート(実際の為替レート)を採用しており、為替手数料がかからず海外送金ができるのです。

送金手数料は通貨によって異なり、最安で送金金額の0.6%で送金ができます。海外送金にかかる日数や手数料はWiseの公式ホームページで簡単にシミュレーションができます。海外移住したあとは登録住所を現地のものに変更する必要があるので、注意しましょう。

Wiseで海外送金をシュミレーションする

まとめ

今回の記事では海外赴任時に日本の電話番号を維持する方法について詳しく解説してきました。その方法はキャリアの休止サービスを利用する、海外対応のキャリアに切り替える、格安SIMに乗り換える、の3つです。いずれの場合も費用がかかるので、海外赴任が長い場合には費用対効果をよく比較検討する必要があります。

また、仕事や留学などで海外に長期滞在する際に役立つオンラインプロバイダー、Wiseも合わせてご紹介しています。Wiseは複数の通貨の保有や管理、海外送金ができるサービスです。両替や送金にかかる手数料が非常に安く抑えられているので、お得に現地通貨の調達ができます。

海外移住・海外赴任時にあわせて読みたい記事一覧