海外キャッシングとは?手数料比較とやり方、返済について解説
海外キャッシングとは、クレジットカードを使って海外のATMから現地通貨を引き出す方法です。海外旅行中の現金調達に便利ですが、手数料や返済方法には注意が必要です。この記事では、クレジットカードごとの手数料比較や利用方法、返済のポイントを詳しく解説します。また、海外キャッシングに抵抗感のある方への代替手段として海外での外貨決済に特化したWise(ワイズ)デビットカードもご紹介します。
本記事の目次:
- 海外キャッシングのポイント
- クレジットカードで海外キャッシングをした際にかかる手数料とは?
- カード別、海外キャッシング手数料比較
- 海外キャッシングで利息を安く返済するには?
- 海外でクレジットカードキャッシングをする際のやり方
- 海外でキャッシングを利用する時の注意点
- 海外キャッシング以外に海外で現金を引き出す方法は?
- 海外キャッシングは外貨両替と比べてお得?
海外キャッシングの仕組みとは?
まずは、海外キャッシングの仕組みについて整理していきましょう。
海外キャッシングのポイント
クレジットカードのキャッシング利用可能枠が必要
前提として、海外キャッシングを利用するにあたりキャッシング利用枠が必要となります。渡航前にクレジットカード会社に利用枠の有無や、限度額、暗証番号を確認しておきましょう。キャッシングには、カード会社所定の審査が行われます。キャッシング枠がない場合は早めに申込みしておきましょう。
各国際ブランドに対応したATMを利用する
クレジットカードの国際ブランドが利用できるATMを探します。VisaならVisaまたはPLUSのマーク、Mastercard®ならMastercard・Maestro・Cirrus(シーラス)のマーク、JCBならCirrusまたはJCBマークが表示されているATMで利用できます。
海外ATMでクレジットカードを使って、現地通貨を引き出します。海外ATMでの詳しい海外キャッシングのやり方は、記事の後半でご説明します。
日本円換算での借り入れとなる
海外キャッシングは、日本円で借りたお金を現地通貨で受け取る仕組みです。例えば、1ドル=150円のとき、100ドル引き出すと15,000円をクレジットカード会社から借りることになります。
返済まで利息がかかる
キャッシングは「借り入れ」なので、借りたお金に対して利息(手数料)がかかります。
日本では、2010年6月に法律改正によって上限金利が引き下げられました。上限金利は、借入金額に応じて年率15%~20%と定められています。カード会社によっては、早めに繰り上げ返済をすると利息を抑えられる場合もあります。
返済は後日、日本円で
キャッシング金額に利息が加算された金額が、後日クレジットカードのショッピング利用分とまとめて日本円に換算され、請求されます。ほとんどの場合、支払い方法は1回払いで、各カード会社の指定日に口座自動引落しされます。
クレジットカードで海外キャッシングをした際にかかる手数料とは?
海外キャッシングを利用する際には、次の4つの手数料がかかります。一つずつ見ていきましょう。
キャッシング利息
キャッシングには利息が発生します。利息は以下の計算方法で算出できます。
海外キャッシングの利息 |
---|
借入金額(日本円換算) × 実質年率(%)÷ 365日 × 利用日数 |
2025年2月21日に楽天カードVisaで300米ドルを海外キャッシングして、30日後に返済する場合、672円の利息が発生します。
借入金額 | 実質年率 | 30日後に返済する場合の利息 | |
---|---|---|---|
楽天カード (Visa) | 300米ドル(45,449円) | 18.0% | 672円 |
(2025年2月21日現在)
ATM手数料
海外のATMでキャッシングする際には、クレジットカード会社から利用金額に応じて以下の手数料が請求されます。
ATM手数料 利用金額(1万円以下) | ATM手数料 利用金額(1万円超) | |
---|---|---|
楽天カード | 110円/件 | 220円/件 |
エポスカード | 110円/件 | 220円/件 |
イオンカード | 110円/件 | 220円/件 |
三井住友カード | 110円/件 | 220円/件 |
(2025年2月19日現在)※全て税込
ATM運営会社の手数料
クレジットカード会社から請求されるATM手数料とは別に、現地のATM運営事業者から手数料を徴収されることがあります。ATM利用前に、別途手数料がかからないかどうか確認するようにしましょう。
為替手数料
海外キャッシングをする際に理解しておきたいのが、為替手数料です。
海外キャッシングでは、ATMで現地通貨を引き出す際に日本円から現地通貨への外貨両替が行われます。この際、国際ブランドのVisaやMastercard®、JCBが定める基準レートが用いられます。この基準レートには実際の市場レート(ミッドマーケットレート)にわずかに手数料が上乗せされています。
具体的に、どのくらい市場レートとの差があるのかどうかを表にしてみました。なお、同時刻の実際の市場レート(ミッドマーケットレート)は1米ドルあたり151.63円でした。
基準レート(1USD=円換算 ) | ミッドマーケットレートとの差額 | |
---|---|---|
Visa | 152.26円 | +0.63円 |
Mastercard® | 152.27円 | +0.64円 |
JCB | 152.14円 | +0.51円 |
(2025年2月19日 20:00CET時点・小数点第3位切り捨て)
上記の通り、VisaとMastercard®がほぼ同額の為替手数料を上乗せした基準レートを設定しており、JCBが最も安い基準レートとなっています。
1米ドルあたり、約0.5円から0.6円というわずかな為替手数料ですが、金額が大きくなるほど手数料負担は増えてしまいます。
「少しでも為替手数料を節約したい」という場合は、海外での利用に特化したWiseデビットカードを活用しましょう。Wiseデビットカードなら、月に2回、3万円相当額までの海外ATMでの引き出しが無料で使えます。さらに、アカウント内で支払い通貨の残高があればショッピングでの決済手数料も無料。支払い通貨の残高がない場合は、両替手数料が最も安い通貨から自動で支払うことができます。両替レートは、為替手数料が一切上乗せされていないミッドマーケットレートが適用されます。
カード別、海外キャッシング手数料比較
ここでは、主要クレジットカード会社で海外キャッシングした場合にかかる手数料や利息を比較していきます。
為替手数料 | ATM手数料(税込) | 利息 | |
---|---|---|---|
楽天カード | 各国際ブランド指定金融機関レートに上乗せされている為替手数料 | 110円または220円 | 実質年率18% |
エポスカード | Visaインターナショナルが指定するレートに上乗せされている為替手数料 | 110円または220円 | 実質年率18.0% |
イオンカード | 各国際ブランド指定金融機関レートに上乗せされている為替手数料 | 110円または220円 | 実質年率7.8%~18.0% |
三井住友カード | VisaインターナショナルまたはMastercardインターナショナルが指定するレートに上乗せされている為替手数料 | 110円または220円 | 実質年率18.0% |
Wiseデビットカード | 無料 | 毎月2回、3万円相当額の引き出しまで無料 3回目以降、出金ごとに70円+3万円を超えた金額の1.75% *(1) | デビットカードのため、なし |
(2025年2月20日現在)*(1) 日本で発行されたカードの場合。カード発行国によって手数料は異なる
上記の比較表で分かる通り、イオンカード以外のクレジットカード会社の実質年率は18%に設定されています。為替レートも国際ブランドの基準レートで日本円に換算され、ATM手数料も同額のため、各社に大きな違いはないと言えるでしょう。
海外キャッシング手数料比較、一番お得なのはどこ?
次に、主要クレジットカード会社(楽天・エポス・イオンカード・三井住友カード)でアメリカのATMで海外キャッシングした際に具体的にいくら手数料がかかるのかをシミュレーションしていきます。
結論としては、クレジットカード会社5社の中では、海外キャッシングの場合は実質年率以外にかかる為替手数料やATM手数料は同じであることが分かりました。キャッシングシミュレーションの条件は以下の通りです。
海外キャッシングシミュレーションの条件
借入金額:300米ドル*(1)
国際ブランド:Visa
借入日:2025年2月21日
借入日の市場仲値:149.91円*(2)
返済予定日:30日後
*(1) 借入金の円換算額=45,449円、2025年2月21日時点のVisa基準レート:151.499円を基に計算、*(2) 2025年2月21日時点 みずほ銀行 米ドル公示相場
また、海外キャッシングする際の合計手数料や利息の計算は以下の式で算出できます。
海外キャッシングを利用する場合の手数料 |
---|
ATM手数料+借入金額(円換算)+実質年率18.0%程度 |
クレジットカード | 為替手数料 (1USDあたり) | ATM手数料 | 実質年率 | 利息 | 合計金額 |
---|---|---|---|---|---|
楽天カード | 474円 | 220円 | 18.0% | 672円 | 1,366円 |
エポスカード | 474円 | 220円 | 18.0% | 672円 | 1,366円 |
イオンカード | 474円 | 220円 | 7.8%~18.0% | 291円~672円 | 985円~1,366円 |
三井住友カード | 474円 | 220円 | 18.0% | 672円 | 1,366円 |
Wiseデビットカード | ミッドマーケットレートのため、なし | 70円+270円 | デビットカードのため、なし | なし | 340円 |
(調査日時:2025年2月21日)
海外キャッシングでは為替レートは国際ブランドの基準レートが適用され、ATM手数料はどのクレジットカード会社も同じであることがほとんどです。そのため、海外キャッシングでは、実質年率を基準に選ぶと良いでしょう。
一方、クレジットカード以外で現地通貨を最も安く引き出せるのは、Wiseデビットカードでした。合計手数料はわずか340円で、両替にはミッドマーケットレートが適用されるため、為替手数料は無料です。Wiseデビットカードは特にキャッシングに抵抗のある方におすすめで、渡航前にアカウントに外貨の残高を入金しておけば、日本円で3万円相当まではATMで無料で引き出すことが可能です。
海外キャッシングで利息を安く返済するには?
詳しくは、お使いのクレジットカード会社に問い合わせください。
ここまで解説してきたように、クレジットカードでの海外キャッシングでは実質年率やATM手数料、適用される為替レートに大きな違いはほとんどありません。
キャッシング手数料を抑えるには、繰り上げ返済をして借り入れ日数を短縮することで、利息分を節約できます。繰り上げ返済の一般的な手順を見ていきましょう。
クレジットカード会社に繰り上げ返済をしたい旨を連絡する
ATMや指定口座への振込など、クレジットカード会社指定の支払い方法で臨時の返済をする
カード会社によって締め日が異なるため、必ず事前に確認しましょう。
海外でクレジットカードキャッシングをする際のやり方
海外キャッシングを初めて利用するという方の場合は、現地でスムーズに引き出しができるように渡航前にATMの使い方を確認しておきましょう。ATMの機種によって操作方法は異なりますが、ここでは一般的な手順をご説明します。
クレジットカードの国際ブランドのマークの付いたATMを探す
カード挿入口にクレジットカードを入れる
「Enter Pin」表示が出たら、暗証番号を入力する
「Select Type of Transaction(取引内容を選択する)」表示が出たら、「WITHDRAWAL」または「CASH ADVANCE」を選択する
「Select Account for Withdrawal(キャッシングの方法を選択する)」表示が出たら、「CREDIT CARD(クレジットカード)」を選択する
引き出したい金額(借入金額)を入力する。手入力で金額を選択する場合は、「Other」を選択する
現金を引き出し、カードと明細書を受け取って完了
海外でキャッシングを利用する時の注意点
渡航先で手軽に現地通貨が手に入る便利な海外キャッシング機能ですが、注意すべき点もあります。初めて海外キャッシングを利用する方は、次の 点に気を付けるようにしましょう。
渡航前にキャッシング利用枠が必要
海外キャッシングはクレジットカードのショッピング利用枠とは別に、キャッシング利用枠が必要です。利用枠には事前にカード会社による所定の審査が行われるため、ある程度の日数が必要です。旅行の予定が立った時点で利用枠があるかどうかを確認しておきましょう。
暗証番号を確認しておく
近年では暗証番号の入力が必要ないタッチ決済が普及してきていますが、海外キャッシングでは暗証番号の入力が必要になります。渡航前に今一度、暗証番号を確認しておきましょう。
返済方法について確認しておく
海外キャッシングは借入であるため、事前の返済計画が欠かせません。クレジットカードによっては、海外利用分は自動リボ払い設定になっていることがあります。事前にクレジットカードの利用規約などで返済方法を確認しておきましょう。
- 安全なATMを利用する
海外でのATM利用には細心の注意が必要です。ATMを利用する際には、路上などのATMは避け、空港や銀行内など比較的安全な場所に設置されているATMを利用するように心がけてください。
また、カード情報を抜き取るスキミング被害に逢わないように、カード挿入口に不審な装置がないかどうかもよく確認しましょう。暗証番号入力の際には、もう片方の手で手の動きが分からないように隠しながら入力しましょう。
海外キャッシングを利用するメリット・デメリット
海外キャッシングを利用するにあたって、メリットはもちろん、デメリットもしっかり理解した上で利用するようにしましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
✅ 借入金額や日数によっては両替所よりも手数料が安い場合がある ✅ 必要な分だけ引き出せる ✅ 渡航前に両替所に立ち寄る必要がない ✅ 一括払いやリボ払いなど返済方法が選べる | ❌利息がかかる ❌ ATM手数料や為替手数料が発生する ❌ 返済方法が自動リボ設定になっていることがある |
海外キャッシングの最大のメリットは、必要なときに必要な分だけ現地通貨を引き出せることです。両替所では、つい余分に外貨両替しがちですが、旅先で使いきれずに余ってしまったという方も多いのではないでしょうか。海外キャッシングでは、金額や借入日数によっては外貨両替よりも手数料が安く済む場合もあるため、賢く使えば手数料を節約することが可能です。
一方、デメリットとしては、借入のため利息がかかることや、ATM手数料や為替手数料が発生することが挙げられます。また、カードによっては返済方法が自動リボ設定になっている場合があります。必ず、返済方法が一括なのか、リボ払いなのかをあらかじめ確認しておきましょう。
海外キャッシング以外に海外で現金を引き出す方法は?
利便性が高い海外キャッシングとはいえ、たとえ一時的でもお金を借りるという行為に抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、口座残高からお金を引き出せるデビットカードやプリペイドカードが現金感覚で利用できるためおすすめです。
Wiseデビットカード
特徴
国際ブランド搭載
150カ国以上で利用可能
年会費無料
現金を引き出すのはもちろん、カード決済にも使用可能
口座内に決済通貨を持っていれば決済は無料
両替が必要な場合、両替手数料は支払い金額の0.68%〜*(1) 。多くの場合、一般的なクレジットカードの海外事務手数料(約1~3%)より割安
*(1) 金額や通貨によって変動
SMBC信託銀行プレスティア GLOBAL PASS®
特徴
Visaデビット付きキャッシュカード
取扱外貨は17通貨
外貨普通預金口座にある残高から支払えるため、両替手数料無料
ATM手数料も無料 *(2)
口座内に決済通貨を持っていれば決済は無料
ただし、口座維持手数料無料になる条件を満たさない場合は月額2,200円(税込)が発生することに注意が必要です。
*(2) 別途、ATM運営事業者が手数料を徴収する場合あり
海外キャッシングは外貨両替と比べてお得?
結論としては、海外キャッシングの借入金額や日数によって手数料は前後するため、一概に外貨両替よりもお得とは言い切ることができません。最近では、為替レートがお得な外貨両替所や外貨両替宅配サービスなどもあり、しっかり為替レートを比較することで旅費を節約することができます。
少しでも節約したいという方は、海外キャッシングと外貨両替の手数料の比較の記事もぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、海外キャッシングの手数料について詳しく解説しました。取り上げたクレジットカード会社の実質年率や手数料は各社でほとんど同じであるため、現地通貨をお得に引き出すという目的であれば、Wiseデビットカードのような外貨に特化したカードの方がさらに手数料を節約できるでしょう。
Wiseカードなら渡航前にアカウントに残高を入金して、利用する外貨に両替しておけば、現地で3万円相当額までATM手数料無料で引き出すことができます。旅行先で外貨が余っても、アカウントで0.68%~とリーズナブルな手数料で、日本円や好きな通貨へ簡単に両替できるため、次の旅行や日本での日常的な買い物にも利用でき、無駄がありません。次回の海外旅行では、もっとお得に旅を充実させてみませんか?
出典: