ドイツの銀行口座の開設方法
この記事では、ドイツで銀行口座を開くときのステップについて詳しく見ていきます。必要書類や口座開設の手数料など、事務的な面について解説していくので、ドイツの銀行口座開設時には参考になるのではないでしょうか。また、ユーロと日本円の取り扱いがあるWiseやRevoultといったオンライン通貨管理サービスについてもご紹介していきます。
ドイツで銀行口座を開設する際に必要となる書類
ドイツで銀行口座を開設するときには、一般的には下記の書類が必要です。
・身分証明書
・居住証明書
・滞在許可証
銀行によっては、最低所得要件を設定しているところもあります。その場合は、給与明細や源泉徴収票といった所得を証明する書類が必要になります。
面倒な事務処理を省略!新たなオンラインサービス
まだドイツに行く前だったり、渡って間もない頃の場合、上記の書類をすべて揃えるのはなかなか骨が折れるでしょう。しかし、現地についてすぐにお金の管理が必要で、一刻も早く口座を開きたいという人も中にはいるはず。そんな人は、出国前に日本の身分証明書でアカウントが開設可能なWiseやRevolutといったオンラインサービスもぜひ検討してみてください。
Wise、Revolutはインターネット上で利用できる資金管理サービスで、多通貨に対応しています。その数はなんとWiseは160ヶ国40通貨、Revolutは150ヶ国以上30通貨以上。対応通貨の中には日本円、ユーロも含まれるので、両方の通貨を保有したい人には便利なサービスといえます。
またWiseの場合、出国前に日本の顔写真付き身分証明書でユーロの口座情報を取得できます。これを使えば、渡航後すぐにドイツの友人や会社からの送金を受け取れます。
さらに詳しく知りたい方は、「Wiseのマルチカレンシー口座を徹底解説」をご覧ください。
非居住者が銀行口座を開くには?
ドイツには大手銀行と地方銀行とがありますが、いずれも居住証明書や滞在証明書が必要になることが多く、非居住者が口座を開くのはなかなか難しいのが現状です。中には留学生向けにオンラインの口座申し込みに対応している銀行もありますが、手続き完了にはドイツ大使館で必要書類の認証を受けなければならないなど、かなり煩雑なステップがあります。加えて、そもそも学生ではないとこの手続き方法はとれないのであまり現実的な方法とはいえません。
また、オンラインでの手続きを受け付けているものの、ドイツ語で手続きを行わなければならない銀行もあります。そうなると、ドイツ語圏以外の居住者にはなかなか申し込みが難しいのではないでしょうか。
ドイツで銀行口座を開くのに必要なステップ
店舗での銀行口座開設には、まずオンラインで来店予約をします。その後、必要書類を持って店舗に行き、担当者の指示に従って手続きをしていきます。
オンラインでの手続きの場合には、まずは銀行のホームページにアクセスしましょう。そのままホームページ上で手続きをするか、もしくはアプリを使っての手続きになります。
パスポートだけでドイツの銀行口座は開ける?
ドイツの銀行はその規模に関わらず、口座開設時には滞在証明書及び居住証明書が必要なことがほとんどです。そのため、パスポートのみでの手続きは難しいでしょう。ただし、ネット銀行であれば話は別です。N26というネット銀行は身分証明書のみで申し込みができるので、パスポートがあれば銀行口座開設ができます。
非居住者に最適な口座は?
ここではドイツの大手銀行の開設方法や係る費用について比べていきます。他の選択肢として、参考までにWiseやRevolutといったオンラインサービスとも比較しています。
Service | Wise | Revolut | ドイツ銀行 | Sparkasse |
---|---|---|---|---|
日本円とユーロの取り扱い | 〇 | 〇 | 〇 | 〇(※1) |
ドイツ到着前の口座開設 | 〇 | 〇 | × | × |
オンライン申し込み | 〇 | 〇 | × | × |
開設手数料 | 0円 | 0円 | 記載なし | 記載なし |
維持費 | 0円 | プランに応じて変わる(※2) | プランに応じて変わる(※3) | プランに応じて変わる(※4) |
海外送金 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
解約費用 | 0円 | 発生する可能性あり | 0円 | 記載なし |
ドイツ銀行、Sparkasse共に口座維持費がかかります。無料で使えるプランもありますが、自分の使いたいサービスによっては費用が発生することも。毎月のことなので、長く使えば使うほど費用はかさんでいきます。また、どちらの銀行も非居住者のオンライン口座開設は不可です。
一方、WiseやRevolutなら申し込みからサービス利用までオンラインですべて完結します。日本円やユーロの保有、送金、両替ができるので、資金管理にもってこいです。
(※1)日本円の送金は可能。
(※2)スタンダードプランは月額無料、プレミアムは980円、メタルは1,980円。
(※3)最安値は月額無料、最高値は月額13.9ユーロ。
(※4)最安値は月額1.5ユーロ、最高値は月額9.0ユーロ。
ドイツではなぜ銀行口座が必要になる?
店舗へ行く手間などを考えると、銀行口座開設が少し面倒に感じてしまう人もいるでしょう。しかし、現地で暮らしていくことを考えたら、銀行口座がないと不便な場面が多いです。例えば銀行口座がないと、給与の支払いや家賃の支払いなどができません。現金でのやりとりに応じてくれるかどうかは相手次第です。また、大量の現金をそのまま保管するのはなくしたり盗まれたりといった物理的なリスクもあります。そのため、銀行口座は持っておいた方が無難です。
ドイツで銀行口座を開くメリットとデメリット
ドイツで銀行口座を開くのには、メリットとデメリットがあります。
メリット
・ヨーロッパの主要通貨であるユーロの保有ができる
・ドイツ国内でのお金のやりとりに使える
・日本への送金ができる
デメリット
・ドイツ語での手続きが求められることがある
・非居住者は口座が開けない
・毎月の口座維持費がかかる
ドイツに到着する前に銀行口座は開ける?
上述の通り、ドイツの大手銀行及び地方銀行では申し込みの際に居住証明が求められることが多いです。そのため、ドイツ到着前の銀行口座開設は難しいと言わざるをえません。
オンラインで銀行口座は開ける?
従来の対面式の銀行の場合、オンラインでの申し込み時にも 居住証明書が必要だったり、ドイツに住んでいることを前提に手続きが進められたりするので、非居住者にはなかなか難しいです。例えば大手銀行のひとつ、ドイツ銀行を例に見てみましょう。ドイツ銀行はオンラインでの口座開設申し込み手続きを受け付けてはいますが、住所登録の際の「居住国」がドイツしか選べない仕様になっています。そのため、実際には非居住者の登録はできないことになります。一方、ネット銀行であればオンラインの口座開設は可能です。N26というネット銀行では、身分証明書のみで申し込みができます。
もし、ドイツもしくはユーロ圏に渡る前にユーロの資金管理がしたい場合には、WiseやRevolutといった資金管理サービスもおすすめです。多通貨の取り扱いが可能で、お金を保有するだけでなく送金や受け取りもできて便利です。
WiseとRevolutの違いについては「WiseとRevolutを徹底比較!」という記事で詳しく解説しています。
ドイツで銀行口座を開くのに要する時間
銀行口座の申し込みは、オンラインであれば数分で終わります。対して、店舗へ行く場合には待ち時間や移動時間などもあるので、もう少し時間がかかるでしょう。申し込みから実際に使えるようになるまでには、2~3日要することが一般的です。
ドイツの銀行口座にはどんな種類がある?
ドイツの銀行口座は大きく分けて「Girokonto(current account)」と「Sparkonto(saving account)」の2つです。前者は日常的なお金の出し入れに利用する当座預金口座、後者はお金を貯めていくための貯蓄用口座です。
ドイツの銀行口座の選び方
上述の通り、ドイツには大きく分けて2種類の銀行口座があります。それぞれ特徴がはっきりしているので、自分の目的や用途を考えれば適切な口座が選べるでしょう。例えば滞在期間が短く、貯蓄の目的がないなら「Girokonto(current account)」があれば十分でしょう。また、銀行やプランによって口座維持費などが違うので、その点から考えてみてもいいかもしれません。
ただお金を入れておくだけではなく、送金や両替の予定がある人はWiseやRevoultといったオンライン資金管理サービスも便利です。ひとつのアカウントで複数通貨の管理が可能で、送金や両替もすべてオンラインで手続きできます。
ドイツの銀行口座開設にかかる費用
ドイツの銀行口座を使うときには、どのような費用がかかるのでしょうか。銀行によって、また開設する口座や利用するサービスによって、さまざまな手数料があります。
無料で銀行口座は開ける?
ドイツの銀行の多くは、ホームページなどで口座開設費について言及がありません。費用が発生するなら明記されているはずでしょうから、開設には費用がかからないと考えられます。
口座開設以外にかかる費用
ドイツの銀行の場合、どの口座を選んでも毎月の口座維持費がかかることが多いです。その他にも、下記の手数料が発生することがあります。
・振込手数料
・現金引き出し手数料
・オンライン取引利用手数料
・紙媒体取引利用手数料
オンライン取引、紙媒体取引の手数料は顧客側からのリクエストで取引が行われたときのみ発生します。いずれにせよ、自分がサービスを利用したいと思ったときには少額とはいえ費用が発生すると思っておいた方がいいでしょう。
日本からドイツへの送金に使える裏ワザ
日本で仕事がある人や、仕送りを期待している留学生など、日本からの送金目的でドイツの銀行口座開設を考えている人もいるでしょう。その場合には、WiseやRevolutといったオンライン資金管理サービスもぜひ検討してみてください。オンライン上で複数通貨の管理ができ、送金や両替もできます。従来の海外送金よりも手数料が安く抑えられているので、賢くお金の管理ができます。
ドイツでビジネス用口座は開ける?
必要書類さえ準備できれば、ドイツでビジネス用口座を開くことはできます。ビジネスの規模や内容によって求められる書類は変わりますが、下記の書類が求められることが一般的です。
・口座開設申請書
・パスポート
・ドイツの納税者番号
・会社定款
・登記簿謄本
・株主同意書
・会社住所証明
銀行によって必要な書類は変わってくるので、ここに挙げた書類が必要ないこともあれば、ここにない書類の提出を求められることもあります。そのため、開設の際には銀行によく確認する必要があります。
ドイツでビジネス用口座を開く手順
必要書類が準備できたら、それらを持って近くの店舗へ行って手続きをします。手続きは担当者の案内に沿って進めていくだけでOKです。ドイツの銀行の場合、オンラインでのビジネス用口座の開設を受け付けていない銀行もあるので、詳しくは各銀行のホームページなどで確認しましょう。
ドイツで銀行口座を開く際に気を付けるポイント
ドイツに限らず、海外の銀行口座を開くときには入念な下調べが必要です。その銀行の信頼性や安全性には十分に留意しましょう。海外銀行口座の開設を請け負う代行業者もありますが、その業者も信頼できる業者なのかしっかり確認する必要があります。中には詐欺を働こうとする悪徳業者もいるからです。実際に、海外の銀行口座開設の手伝いをする代わりに、高額な手数料を請求するなどの詐欺被害があることが金融庁のホームページで紹介されています。
海外銀行口座開設の代行を検討するなら、金融庁の発表している「免許・認可・登録等を受けている業者一覧」を必ず確認しましょう。この一覧には海外銀行の預金口座開設などを請け負うことができる「海外銀行代理銀行」も掲載されています。
まとめ
今回は、ドイツで銀行口座を開く際の手順やその利用手数料について詳しく見てきました。開設の際に必要な書類など、細かく解説しているのでドイツの銀行口座開設を検討している人はぜひ参考にしてみてください。ドイツの銀行の場合、ドイツの住所を持っていないとオンラインでの口座開設はなかなか難しいです。そのため、具体的な手続きはドイツに渡ってからになるでしょう。
ドイツに渡る前から、ユーロの保有や取引がしたいと考えているなら、WiseやRevolutといったオンライン資金管理サービスもおすすめです。ユーロと円を含む複数通貨の管理が可能、送金や両替もできるので、さまざまな用途に応じた使い方ができます。
また、日本の銀行から海外送金したい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
ソース
Checklist for opening a bank account/blocked account for foreign students
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Payment transactions - A single account for worldwide transactions - Sparkasse Westmünsterland
Savings and investments - Searched and found - Stadtsparkasse Wuppertal
Geschäftskonto: How to open a business bank account in Germany – firma.de
Opening a Company Bank Account in Germany as a Foreign Director
よくある質問
ドイツの銀行のほとんどは口座開設時にドイツに住んでいることが条件になるので、非居住者の口座開設は難しいです。
通常、開設費用はかからないのが一般的です。その後、利用するサービスによって手数料が発生します。
ドイツに住んでいて、かつ居住証明ができればオンラインでの開設はできます。
各銀行のホームページから申し込み可能です。必要書類を準備して、案内に沿って進めていきましょう。
ドイツに住んでいないと申し込みは難しいので、到着前の開設は難しいでしょう。