香港での銀行口座開設方法をわかりやすく解説!

石井 大智
石井 美南海
Last updated
2023年11月28日

香港での銀行口座開設をお考えでしょうか?香港にすでにいる方も、香港に行かずに香港で銀行口座を開設しようとしている方にとっても、香港での銀行口座開設は複雑なプロセスになる可能性があります。この記事では、様々な場合においてどのように口座を開設するのか、どんな書類が必要なのかなどをわかりやすく解説します。

どのような書類が香港の口座開設には必要?

香港の銀行口座開設に必要な書類は銀行や口座開設者の置かれた状況によって異なりますが、東亜銀行(The Bank of East Asia)で個人が口座を開設する場合、最低限必要書類は以下の通りになります。

  • 香港ID(持っている場合)・パスポート(旅券)

  • 住所を証明する書類(3ヶ月以内に発行された公共料金や携帯電話の請求書など)

香港ID(HKID)とは香港における身分証のことです。香港には日本の在留カードのような外国人だけに発行される身分証は存在せず、香港人であろうとそうでなかろうと居住者であれば香港IDと呼ばれる身分証を取得します。11歳以上で就労や家族滞在のためのビザなどを取得して香港に180日以上の滞在が許されている場合、IDカードを必ず発行しなければなりません。このIDカードがあれば、外国人でも香港の居住者であることが証明できるので、比較的容易に香港の銀行口座を開設することが可能です。

銀行口座開設者が税法上日本の居住者となる場合、納税者番号としてマイナンバー(個人番号)の提出が求められることもあります。これは、OECDが策定した銀行等の口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際的な統一基準(いわゆる「共通報告基準」)に従って日本で課税対象となる日本居住者の口座情報が日本の税務当局などに通知されるためです。

香港の居住者ではない場合は、住所を証明する書類として、現住所が記載された各国の政府機関によって発行された写真付き自動車運転免許証もしくは身分証明書、または居住地の銀行が直近3ヶ月以内に発行した銀行取引明細書(バンクステートメント)の提出が必要になります。原本か銀行が指定した人物(香港の弁護士など)によって公証された書類が必要です。

香港への海外送金はWiseが便利!

香港にいる友人・親戚に送金したい場合、Wiseを使えば日本の銀行からSWIFTを利用して海外送金するよりも手数料を大幅に抑えることができるかもしれません。それは、Wiseでは「隠れた手数料」をなくしているからです。

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日本の銀行から香港の銀行に送金する際には、一般的に送金手数料だけではなく為替手数料や中継銀行手数料がかかります。為替手数料は日本円から外貨に両替する時にレートに含まれている手数料で、この手数料に気づかず両替している人も少なくないはず。中継銀行手数料は送金時に中継する銀行などに支払う手数料ですが、こちらも多くの場合送金時にこの手数料が実際いくらかかるのか知ることは難しくなっています。

Wiseでは、為替手数料や中継銀行手数料などの「隠れた手数料」はかかりません。送金時にわかる送金手数料だけを確認すればよく、送金コストが非常に見えやすくなっているのでおすすめです。Wiseの仕組みやアカウント使い方は「Wiseを徹底解説」をご覧ください。

非居住者として香港の銀行口座を開設する方法

香港に住んでいない、香港IDがない状態でも銀行口座の開設は可能なのでしょうか。結論からいうと、口座を開設できる可能性はあるが、100%ではないという答えになります。

先述の通り、香港の銀行では非居住者が香港で口座開設をする際に必要な書類を自行のホームページ上で明記していることがあります。これは、非居住者が香港で口座開設をすることが想定されているからこその記述です。

それとは真逆で、日本には個人の非居住者の口座開設を認めていないことを明記している金融機関が数多くあります。香港は日本よりも非居住者の口座開設に対して寛容であると言えるでしょう。ただし、それは非居住者であっても必ず口座開設を認めてくれるという意味ではないのでその点は注意が必要です。

香港に行く前に銀行口座の開設は可能?

まずこれから香港の居住者となる場合は、多くの場合香港IDや住所証明書類入手後でなければ口座を開設できないので、香港に行く前の銀行口座開設は基本的には難しいと思った方がいいでしょう。

香港に行かずに非居住者として香港の銀行口座を開設するのはより難しいです。一部の銀行では郵送での海外からの銀行口座開設を認めていますが、高いハードルが設定されています。例えば、台湾系の銀行である富邦銀行(Fubon Bank)の香港法人では郵送での口座開設方法をウェブサイトに記載しているものの、口座残高を10万USD以上に維持するというかなり厳しい条件のもと口座開設を認めています。そのため、非居住者として口座開設する場合でも基本的には香港現地に行く必要があります。

外国人にとって最適な金融サービスは?

香港に新たに引っ越してきた人、香港に住んでいない人にとって最適な金融サービスはどれでしょうか。今回比較の対象としたのは、先ほども出てきた香港の大手銀行の一つである東亜銀行で、もう一つはネット専業銀行として比較的最近登場したZA Bank(眾安銀行)です。

サービス東亜銀行ZA Bank(眾安銀行)
香港ドルと日本円両方の送金に対応?はいいいえ
香港に行ったことがなくとも日本で口座開設可能?いいえいいえ
オンラインで口座開設可能?いいえはい
口座開設費用なしなし
口座残高が一定残高を下回った時に請求される手数料(Fall-below fee)なしなし
口座維持手数料なしなし
国際送金は可能?はいはい
口座閉鎖手数料なしなし

上の表を見て分かる通り、口座開設・口座維持・口座閉鎖にかかる手数料は大きく違いはありません。香港の銀行口座は基本的にはマルチカレンシー(複数通貨)に対応しており、日本円も取り扱っていることが一般的です。ただし、ZA Bank(眾安銀行)のようなオンラインで口座開設可能なネット専業銀行の場合は日本円には対応しておらず、香港ドル・米ドル・オフショア人民元のみに対応しています。

上の表に記載の「Fall-below fee」は日本ではあまり馴染みのない手数料ですが、口座残高が一定残高を下回った時に銀行側から請求される手数料のことです。この手数料が発生する場合、銀行口座を使っていなくても残高が減ってしまいます。香港の大手銀行ではかつてこの「Fall-below fee」を設けていましたが、最近は撤廃する銀行も増えています。

香港で銀行口座を開設するメリットとデメリット

香港で銀行口座を開設するメリットとデメリットは以下の通りです。

香港で銀行口座を開設するメリット

  • 香港で給与・報酬の受け取りや家賃の支払いが可能

  • 香港ならではの金融商品に投資できる

  • 条件を満たせば、香港ドル建てで決済できるデビットカードやクレジットカードを作ることができる

  • 多くの銀行でマルチカレンシーアカウント(様々な通貨が扱える口座)が利用可能で、しかも香港ドル以外の預金も預金保護(Deposit Protection Scheme)の対象になっている

香港で銀行口座を開設するデメリット

  • 香港に居住していなければ口座開設が難しい

  • 口座開設や口座維持のために言語力が必要

  • 全ての手続きがオンラインでできるわけではない

  • 日本の居住者でもある場合、税金や会計に関する処理が複雑になる

  • 香港と日本の間でお金を動かす場合に海外送金が必要となる

香港の銀行口座を開設する際の注意点

日本の金融庁は「外国銀行代理銀行」として認可を受けていない事業者が日本に拠点のない外国銀行の預金口座の開設を代行するとして手数料を振り込ませたり、預金口座の開設資金を外国に送金させたりするのは違法であり、このようなサービスを提供する事業者は詐欺である可能性が極めて高いと警告しています。

三井住友銀行など日本の銀行もホームページで同様の注意喚起をしています。「外国に実在する銀行名が記載されたパンフレット等を用い、投資や高金利預金の口座開設を勧誘する事例」があったとしても、それは「手数料や預金口座開設資金をだまし取ろうとする犯罪である可能性が極めて高い」として警告しています。

詐欺にあわないために、利用しようとしている事業者(金融機関)が金融庁による「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」に含まれているか確認するというのが一つの方法です。

香港の口座開設にかかる費用は?

香港では一般に銀行の口座開設自体に費用がかかることはありません。ただし口座開設のための書類を揃えたり、現地の支店に行ったりするのに多くの費用がかかるかもしれません。

香港と日本の間で送金するのにおすすめの方法は?

香港と日本の間で海外送金する際には、Wiseがおすすめです。Wiseでは為替手数料などの「隠れた手数料」を徹底的に排除しており、多くの銀行による海外送金よりも手数料を抑えることができます。また、送金時にどの程度の日数で送金できるか目安もわかるというのも便利な点です。

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結論

この記事では、必要書類など香港の銀行口座を開設する上で知っておくべきことを解説しました。海外で銀行口座を開くのは簡単ではなく、その場所に住んでいない非居住者であればより困難です。香港に行かずに口座開設するのはさらに困難です。

ドイツスイスオーストラリアなど、その他の国の銀行口座の開設方法を知りたい場合はガイド記事一覧をご覧ください。

出典

Personal Account(ENG)_082020.pdf_082020.pdf)

番号制度概要に関するFAQ|国税庁

如何申請開戶

Fubon Bank

What currencies are currently supported for exchange?

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Hong Kong Deposit Protection Board

外国送金を利用した投資や預金口座開設の勧誘にご注意ください : 三井住友銀行