スイスの銀行口座の開設方法
今回の記事は、スイスの銀行口座を開くときの必要手順や書類について詳しく見ていきます。留学や仕事などでスイスに渡る予定の人は、ぜひ参考にしてみてください。また、日本からスイスへの海外送金にはWiseやRevoultといったオンラインサービスも便利です。こちらも合わせてご紹介していきます。
スイスで銀行口座を開設する際に必要となる書類
スイスで銀行口座を開くときには、下記の書類を準備する必要があります。
・身分証明書
・滞在許可証(ビザなど)
(・居住証明書類)
(・収入証明書)
身分証明書はパスポートがあれば問題ありません。滞在許可証はビザのコピーがあればその役割を果たしてくれるでしょう。銀行によって求められる書類には違いがあり、その他にも居住証明書類、収入証明書の提出が必要になることもあります。詳しくは、申し込みを検討している各銀行に確認しましょう。
面倒な事務処理を減らしてくれる、新たなサービスも!
スイスに到着したばかりだと、居住証明書類の準備にはなかなか手間取るかもしれません。必要書類がないと口座開設もできないので、お金の管理がしづらく不便さを感じる人もいるでしょう。そんな人はWiseやRevolutといった資金管理サービスのアカウント開設もぜひ検討してみてください。
Wise、Revolutはオンライン上で利用できる資金管理サービスで、スイスフランを含む多通貨に対応しています。お金の送金や受け取り、両替などができるので、日々のお金の管理にうってつけです。日本円ももちろん保有可能ですので、スイスに渡ったあとにも日本円の管理ができます。
非居住者が銀行口座を開くには?
スイスの銀行の場合、非居住者向けのサービスを提供している銀行は少なくないです。別途手数料がかかることがほとんどですが、スイスフラン以外の通貨を保有できるなど利用者の都合に合わせて資金管理がしやすくなっています。オンラインでの口座開設申し込み手続きができるので非居住者でも口座を持てるといえますが、実際にはハードルがあります。
例えばスイスの大手銀行のひとつ、PostFinanceを例に見てみましょう。複数の通貨に対応している外貨口座サービスがありますが、この口座を開くにはまず顧客登録をしなければなりません。その顧客登録時に居住国を選ぶステップがあるのですが、そこにある選択肢は「Switzerland」と「Liechtenstein」のみです。注意書きには「PostFinanceはスイス市場のみにフォーカスしています」と書かれており、その他の国の人については電話でお問い合わせくださいと書いてあります。そのため、非居住者はオンラインのみでの顧客登録が難しいことがわかります。
スイスで銀行口座を開くのに必要なステップ
店舗で口座を開く場合には、上述した必要書類を持って近くの店舗に行って手続きをします。スマートに進めるためには、事前に来店予約をした方がいいでしょう。
オンラインの場合は、各銀行のホームページから手続きができます。案内に沿って必要事項を入力していけば手続き完了です。
パスポートだけでスイスの銀行口座は開ける?
上述の通り、非居住者がスイスで銀行口座を開設するときには滞在許可証が必要です。そのため、パスポートのみでの銀行口座開設は難しいといえます。
非居住者に最適な口座は?
下記はスイスの大手銀行の手数料や開設方法についての比較表です。参考までに、WiseやRevolutといったオンラインサービスも掲載しています。
Service | Wise | Revolut | UBS | PostFinance |
---|---|---|---|---|
日本円とスイスフランの取り扱い | 〇 | 〇 | △(※1) | 〇 |
スイス到着前の口座開設 | 〇 | 〇 | 記載なし | × |
オンライン申し込み | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
開設手数料 | 0円 | 0円 | 記載なし | 記載なし |
維持費 | 0円 | プランに応じて変わる(※2) | 月額5スイスフラン~ | 月額5スイスフラン~ |
海外送金 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
解約費用 | 0円 | 発生する可能性あり | 記載なし | 記載なし |
スイスの銀行は毎月維持費がかかることが多く、UBSとPostFinanceは少なくとも5スイスフランを維持費として顧客に請求しています。利用するサービスによってはもう少しかかることも。オンラインでの銀行口座開設申し込みは可能ですが、非居住者の場合は制限がかかることもあります。
一方、オンラインで申し込みから取引まですべて完結するWiseやRevolutといったサービスもあります。Revolutはプランによっては維持費がかかりますが、無料で使えるプランもサービスは幅広いです。詳しくはRevolutのレビュー記事をご覧ください。
(※1)日本円の取り扱いについてはホームページ上には記載なし。
(※2)スタンダードプランは月額無料、プレミアムは980円、メタルは1,980円。
スイスではなぜ銀行口座が必要になる?
スイスで働く予定の人の場合は銀行口座はあった方が便利です。給与の支払いは大抵銀行振り込みで行われるため、働き始めるときに口座がないと給与の受け取り方法がなくなってしまいます。また、家賃の支払いなどお金の受け取りだけでなく支払いにも銀行口座は必要です。中には現金払い、現金受取に対応してくれる雇用主や家主もいるでしょうが、一般的ではないのであまり期待はしない方がいいでしょう。
スイスで銀行口座を開くメリットとデメリット
スイスで銀行口座を開くと、下記のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
・スイス国内でのお金のやりとりに使える
・現地のデビットカードやクレジットカードが持てる
・法で守られた安全性
デメリット
・毎月の維持費が発生する
・非居住者は更に手数料を支払う必要がある
・英語に慣れていないと不便
スイスに到着する前に銀行口座は開ける?
スイス到着前に銀行口座を開設するなら、オンラインでの開設が選択肢に入るでしょう。オンラインでの申し込みは、ほとんどの銀行が対応しています。
オンラインでの銀行口座開設について
上述の通り、各銀行のホームページから申し込みが可能です。あるいは専用のアプリを使って申し込みができる場合もあります。ただし、中には非居住者が申し込みできない仕様になっている銀行があることも。もし、スイスに渡る前にスイスフランの資金管理をする必要がある場合には、WiseやRevolutといったオンラインサービスもおすすめです。多通貨の取り扱いが可能で、送金や受け取りもできて便利です。
WiseとRevolutの違いについては「WiseとRevolutを徹底比較!」という記事で詳しく解説しています。
スイスで銀行口座を開くのに要する時間
オンライン申し込みであれば、手続き自体は5分もあれば終わります。一方、店舗での申し込みの場合は待ち時間や移動時間などもかかってくるので、もう少し時間が必要です。
スイスの銀行口座にはどんな種類がある?
スイスの銀行では、「personal account」、「saving account」、そして「investment account」の3種類の口座があることが一般的です。「personal account」は給料の受け取りや日々の支払いなど、日常的に使える口座です。対して、「saving account」は貯蓄用の口座で、利息の受け取りができます。「investment account」は投資用口座で、残高が任意の金額を超えると自動で自分の預金が投資されます。投資先は事前に自分で選んだファンドですので、知らないところに勝手にお金が回される、ということはありません。
スイスの銀行口座の選び方
上で述べたように、スイスの銀行口座にはいくつか種類があります。自身の目的や用途に合わせて、適切な口座を選ぶようにしましょう。例えば日常的に使うお金の管理のみを目的とするなら、「personal account」だけで十分といえます。どの銀行を選ぶかについては、手数料や手続きの簡易さなど、事務面から考えて使いやすいところを選んでもいいかもしれません。
資金管理、送金、両替、といろいろ目的がある人の場合はWiseやRevoultといったオンライン資金管理サービスもおすすめです。ひとつのアカウントで複数の通貨の管理ができるだけでなく、送金や両替もできて使いやすくなっています。
スイスの銀行口座開設にかかる費用
スイスの銀行口座の開設やその維持、利用にはどのような費用がかかるのでしょう。開設する口座や利用するサービスによって、費用には若干の違いがあります。
無料で銀行口座は開ける?
スイスの銀行の多くは、口座開設時の費用については特に言及していません。明記されていないということは開設時には費用がかからないと推察されます。
口座開設以外にかかる費用
上述の通り、ほとんどの銀行で毎月の維持費が発生します。最も安くて5スイスフラン、プランや口座によってはもっとかかることも。また、ATMなどで現金を引き出すときに手数料がかかることもあります。
日本からスイスへの送金に使える裏ワザ
留学生など、中には日本からのお金を受け取る目的でスイスの銀行口座開設をしようとしている人もいるでしょう。そういった人には、WiseやRevolutといったオンライン送金サービスもおすすめです。手数料や利用料が安く抑えられており、オンラインで簡単に手続きできて非常に便利です。</h2>
スイスでビジネス用口座は開ける?
スイス国籍以外の人でも、条件を満たせばビジネス用口座を開くことは可能です。ただし、一般的に口座開設時に下記書類を求められることが多いので、これらを準備できないとビジネス口座開設は難しいと言わざるをえないでしょう。
・身分証明書
・居住者証明
・会社情報
・会社の所有権を証明するもの
スイスでビジネス用口座を開く手順
上記書類を準備できたら、近くの店舗に行って手続きをします。また、銀行によってはオンラインでの申し込みを受け付けているところもあります。
スイスで銀行口座を開く際に気を付けるポイント
海外の銀行口座を開くときには、その銀行の安全性をしっかり確認することが重要です。また、顧客の代わりに手続きをしてくれる仲介業者もありますが、その業者の信頼性も確認しましょう。中には詐欺目的で近づいてくる悪徳業者もいて、海外の銀行を開く手伝いをするとして手数料を請求するなどの詐欺被害が金融庁のホームページで報告されています。
もし、日本にいながらにして海外の銀行口座開設をするなら、金融庁の発表している「免許・認可・登録等を受けている業者一覧」を必ず見ましょう。このリストには「外国銀行代理銀行」も含まれており、安心安全に海外銀行の口座開設手続きをお願いできる銀行が確認できます。
まとめ
今回の記事では、スイスでの銀行口座開設について詳しく解説してきました。オンラインでの口座開設申し込みや取引ができる銀行が多く、非常に便利です。一方、口座開設時には居住者であることを条件にしている銀行もあります。
スイスフランの送金や両替なら、WiseやRevolutといったオンライン資金管理サービスも検討してみてはいかがでしょうか。日本円の保有もできるので、スイスに渡ったあとも日本円を手軽に利用することが可能です。利用する通貨、その目的などに応じて、適切な銀行口座が選べるといいですね。
日本の銀行から海外送金したい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
Swiss banks accused of hiding data behind secrecy laws - SWI swissinfo.ch.
How to open a bank account in Switzerland for your business: a complete guide | My Swiss Company ®
Investment fund account: Systematically invest & save | UBS Switzerland
FAQ:
スイス国籍以外の人でもスイスの銀行口座開設が可能です。ただし、申し込み時に居住者であることを求める銀行もあります。
開設自体にはお金はかかりません。ただし、利用していく上で維持費や取引手数料がかかります。
ほとんどの銀行はオンラインでの開設申し込みを受け付けています。
各銀行のホームページを見ると、オンライン申し込みの案内が掲載されています。必要書類を準備して、手続きを開始したらあとは案内に沿って進めていくだけです。
オンラインでの申し込みに応じている銀行であれば、開設可能です。