海外赴任時に海外転出届はどうする?住民票や郵便物などの必要な手続きも解説

山口 友紀恵
石井 美南海
Last updated
2024年7月23日

仕事で海外赴任することになった場合、新生活に向けていろいろと準備が必要です。現地で必要なものを揃えるのはもちろん、日本でも済ませておくべき手続きもたくさんあります。特に忘れてはいけないのは「海外転出届」。1年以上海外に住むことになった場合に必要な届け出です。

そして、海外転出届以外にも国民年金やマイナンバー、銀行口座など国外へ移住するときには管理が必要なものは多数あります。この記事では、海外赴任時に必要なこれらの手続きについて詳しく解説していきます。加えて、海外移住の際のお金の管理に便利なWiseなどのサービスについてもご紹介していくので、これから海外赴任を予定している人はぜひ参考にしてみてください。

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海外赴任時に海外転出届は出すべき?

海外転出届を出すべきかどうかは、海外移住の期間によって異なります。前述の通り、1年以上海外に移住もしくは滞在する場合には必ず提出が求められます。一方、1年未満の場合には提出は義務ではなく任意です。これは、日本国籍の人だけでなく外国籍の人も日本で住民登録しているなら対象です。

海外転出届とは?住民票はどうなる?

海外転出届とは、日本国外に居住地を移すことを知らせるための公的書類です。提出するのは住民票のある住所の自治体で、必要書類に転出先の住所などを記入して提出します。その場合、住民票は「除票」となりその自治体の住民ではなくなります。海外での滞在期間が1年未満の場合には提出の義務はありません。この場合は日本に住民票がある状態であり、日本で暮らしているときと同じ扱いになります。

海外転出届の必要書類・提出タイミングは?

海外転出届は基本的には日本出国予定日の2週間前から提出できます。提出には運転免許証やマイナンバーカードといった本人確認書類が必要です。ちなみに、届け出ができるのは本人以外に世帯主もしくは同じ世帯の人、法定代理人、任意代理人です。本人以外が手続きをする場合には委任状及び委任者の本人確認書類コピーが求められます。

住民税、マイナンバー、年金、健康保険はどうなる?

ここでは、海外転出届を出した場合に住民税やマイナンバー、年金、健康保険の扱いがどうなるのかを解説していきます。手続きが必要になることもあるので、事前によく確認しておきましょう。

住民税

住民税とは、教育や福祉、消防などといった行政サービスをまかなうためのものであり、住民票のある自治体に対して納める税金です。毎年支払っていくものですが、海外転出届を提出した場合には住民票が「除票」となるため、住民税を納める必要がなくなります。

ただし、住民税はその年の1月1日時点に住所がある自治体で発生します。そのため、年度の途中で海外転出をした場合にはその年度は住民税が課税されます。個人納付をしている人は、すでに納税通知書が届いている場合には出発前に全額納めることが可能です。給与差し引きの人の場合は、最後の給与から年度内の税額を一括差し引きか、個人納付への切り替えができます。いずれの場合も、納税管理人に委任して納付を依頼することも可能です。

マイナンバー

マイナンバーについては、国外転出者向けマイナンバーカードに切り替えることで継続して利用可能になります。以前は返納の必要がありましたが、2024年5月27日から日本国籍の人に限り国外転出後もそのまま使えるようになりました。制度の変更に伴い、現在マイナンバーカードを保持していない国外在住者もマイナンバーカードの申請ができるようになっています。

手続きは海外へ引っ越す前に行います。出国までに切り替えを行わなかった場合は失効となるので注意が必要です。失効してしまった場合も国外転出者向けマイナンバーカードを新規で申請することは可能ですが、発行には約2ヶ月かかるのに加え、領事館や大使館まで取りにいかなければなりません。国外でマイナンバーカードが必要な場合には、事前に切り替え手続きをして行く方が賢明です。

厚生年金・国民年金はどうなる?

日本国内の雇用主と雇用関係が継続している場合には、厚生年金はそのまま加入状態が続くのが原則です。海外で働く場合にはその国の社会保障制度に加入する必要があり、二重で保険料の支払いの義務が発生することがありますが、こういった事態を避けるために社会保障協定があります。これは保険料の二重負担を防止すること、両国で発生した年金を受け取りやすくすることを目的としたもので、日本は23カ国と協定を結んでいます。

ただし、海外赴任の期間が5年を超える場合にはその国の社会保障に加入しなければなりません。もともと5年以内の予定だったものの、予期しない理由で滞在が伸びた場合には基本的にはその国の社会保障に加入します。ただし、両国間で協議し合意が得られた場合にはそのまま日本の社会保障制度の継続が認められることもあります。

国民年金の場合は、海外へ転出する場合には加入資格を失います。ただし、これは自動的に喪失するわけではなく海外転出前に自分で手続きしなければなりません。仮に、手続きをせずに出国した場合には年金機構の記録上は国内在住のままになり、保険料の支払い義務が生じます。そのため、必ず出国前に手続きを行いましょう。ちなみに、日本国籍の人であれば申請を行うことにより海外にいる間も任意加入が可能です。

健康保険

会社で健康保険に加入している場合には、そのまま被保険者となります。海外で医療サービスを受けた場合には、一度全額負担した後に請求手続きを行うことで保険でまかなわれる分が戻ってくる仕組みです。

国民健康保険の場合、住民票が除票となっている場合には被保険者ではなくなります。無保険の状態になるので、保険が必要な場合には民間の保険に加入しましょう。

そのほかの手続き

他にも運転免許証の更新手続きや銀行口座の取り扱いなど、海外転出の際に知っておくべきことはいろいろとあります。

運転免許証

運転免許証は返納の義務はなく、そのまま持ち続けることができます。ちなみに、日本の運転免許証を持っていれば、手続きを行うことで滞在先の国でも運転可能になることが多いです。

仮に、海外滞在中に免許の更新期間が来た場合には「海外滞在者の運転免許証の更新等に係る特例」が活用できます。通常、運転免許証の更新は3年もしくは5年に1回、誕生日の前後2ヶ月の間に更新をしなければなりません。しかし、海外在住者の場合は特例として更新期間の前や後に手続きが可能です。出国前、海外滞在中、そして帰国後の扱いは下記のようになっています。

出国前

海外滞在中に更新期間が来ることが分かっている場合には、出国前に更新が可能です。ちなみに、その場合の免許の有効期間は「更新日」から数えて3回目もしくは5回目の誕生日+1ヶ月です。

海外滞在中

海外在住者は、更新期間前であっても一時帰国の際に運転免許証の更新ができます。この場合も免許の有効期間は「更新日」から3回目もしくは5回目の誕生日+1ヶ月です。そのため、可能であればなるべく更新期間のギリギリまで待って更新をした方が、次の更新までの期間は長くなります。

帰国後

一時帰国のタイミングがなく、免許更新ができずに失効してしまった場合も失効後3年以内であれば学科試験と技能試験を受けずに免許の取得が可能です。この特例が適用されるのは帰国後1ヶ月以内ですので、必ずこの期間に再取得をしましょう。また、失効後3年を過ぎている場合も、海外で運転免許を取得している場合には日本での免許取得の際の学科試験と技能試験が免除されます。

なお、手続きの際には運転免許証に加えパスポートなど更新期間中に海外にいることを証明するものが必要です。詳しくは警視庁のホームページをご確認ください。

銀行

基本的に、日本の非居住者になった場合には日本にある銀行口座は利用できなくなります。そのため、海外転出する前に解約の手続きが必要です。ただし、1年未満の海外滞在であれば住民票を除票する必要がないので、銀行口座をそのまま維持することが可能です。

一方、中には非居住者に対してもサービスを提供している銀行もあります。事前申し込みが必要だったり、月額料金がかかったりすることもありますが、海外にいながらにして日本の銀行口座を使えるので非常に便利です。例えば、下記の銀行では海外在住者向けのサービスがあります。

三菱東京UFJ銀行

三菱東京UFJ銀行では、「グローバルダイレクト」に申し込むことで海外でも口座が利用できるようになります。海外赴任や留学をする人、その家族を対象としたサービスで、月額料金300円で利用可能です。出国予定日の2~3週間前までに申し込みを済ませる必要があります。

ソニー銀行

ソニー銀行でも、住所変更手続きを行うことで海外での利用が可能になります。取引に一部制限はありますが、円預金や外貨預金、振り込みなどは変わらず利用可能です。ちなみに、住所変更はオンラインで手続きできます。その際、日本国内にいる人を連絡先として指定する必要があります。

他にも海外で利用できる銀行は複数あります。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

クレジットカード

日本発行のクレジットカードでも、海外でそのまま利用することはできます。ただし、住民票を除票している場合には銀行口座が使えなくなることがあり、それによりクレジットカード引き落とし用の口座がなくなってしまう場合にはカードは使用不可になります。ただし、上述のように海外在住者向けのサービスを展開している銀行もあるので、そういった銀行の口座を活用すればクレジットカードもそのまま利用可能です。もし、引き続きクレジットカードを使う場合には、登録住所を実家住所など日本国内で連絡が取れる人のものに変えておきましょう。

郵便物は?

郵便物は「転居届」を提出することで、指定の住所に転送されるようになります。これは郵便局が提供しているサービスで、1年間無料で指定住所へ郵便物が転送されます。申請は郵便局に行って申込書を出すか、オンラインで手続きをします。

また、海外在住者向けの私書箱サービスもあります。これは、海外滞在中に自分宛てに届く郵便物や荷物をそこに届くように指定しておき、保管や転送を依頼できるサービスです。例えばMAIL BOXES ETC、J-address.comといったプロバイダーがあります。

海外赴任時のお金の管理に便利なサービス2選!

このように、海外赴任するにあたり日本国内で済ませておくべき手続きはいろいろとあります。うっかり怠ると、税金を多く支払うことになったり、帰国後に煩雑な手続きが必要になったりと何かと面倒です。それぞれ確認して、出国前に済ませておくようにしましょう。

また、国内での手続きと並行して海外生活の基盤を整えることも重要です。現地に着いてからの不安はいろいろとあるでしょうが、中でもお金の管理について悩んでいる人は多いのではないでしょうか。現地へのお金の持って生き方、現地でのお金の管理など悩みの種はいろいろとあります。支払いだけであれば日本のクレジットカードも利用できますが、海外で利用する場合には2~4%程度の海外事務手数料がかかるため、あまり賢い使い方とは言えません。

そんな風に悩む人におすすめなのが、多通貨の保有や管理ができるWiseとRevolutです。アカウントひとつ持っているだけで世界各国の通貨を持つことができ、デビットカードを使って支払いに使えます。両替手数料はかかりますが、多くの場合でクレジットカードにかかる海外事務手数料より安く済みます。また、海外送金もできるので現地で作った銀行口座にお金を送ることも可能です。それぞれのサービスについて、より詳しく見ていきましょう。

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Wise

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Wiseは2011年にイギリスで誕生した金融サービスで、海外送金やマルチカレンシー口座を提供しており、渡航先で作成した銀行口座に生活資金を移したり、渡航先によっては銀行口座代わりに使えるサービスです(※1)。

ひとつのアカウントで40通貨の管理が可能で、アカウントに紐ずくデビットカードを発行すれば、口座内の資金から支払いができます。利用する際にはまず日本円をチャージし、それを各通貨へと両替します。両替には手数料がかかりますが、ほとんどの通貨が1%以下であり、クレジットカードの海外事務手数料より安くなっています。

また、海外送金がお得にできるのもWiseのメリットです。銀行を介して海外送金をする場合、通常は「SWIFT送金」を使って、資金がやりとりされます。この方法で送金した場合、送金元の銀行から入金先の銀行に届くまでにいくつかの銀行を中継し、その際取引に携わった銀行に「中継銀行手数料」を支払う必要があります。そのため銀行の海外送金には数千円以上の手数料がかかることが一般的です。

一方Wiseは世界各国に銀行口座を開設し、複数の国内送金システムを活用することで海外送金を行っています。例えば日本からアメリカに送金する場合、まず送金人のアカウントからWiseの日本の銀行口座へとお金が振り込まれます。それを受け、Wiseのアメリカの銀行口座から送金先へと振り込まれる仕組みになっているのです。実質的には海外送金が発生しておらず、そのため手数料が安く抑えられているのです。

このシステムを活用すれば、現地で開設した銀行口座へ資金を移すときにもお得に取引ができます。海外赴任となれば生活資金など準備すべきお金は結構な額になります。あらかじめWiseのアカウントにお金を入れておき、現地で銀行口座開設後にその口座へ送金すれば、スムーズかつ安全にお金の移動ができます。

ちなみに、アメリカドルやユーロを含む9つの通貨に関しては現地の銀行口座情報の取得が可能。それにより、海外送金の際に発生する為替手数料や送金手数料がかからずに対応通貨の受け取りができます。ヨーロッパやアメリカでは給与受け取り用の口座としても指定できるため、銀行口座に代わりに使うことができ便利です。現地のATMから現金を引き出すこともできるので、急に現金が入用になったときも安心ですね。

(※1) 登録住所が日本の場合にはアカウント内に保有できるのは100万円までです。ただし、海外転出後に転出先の住所に変更するとその国の限度額へと変更になります。

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Revolut

Revolutもまた、Wiseと同じように複数の通貨の管理に便利なサービスです。対応通貨は35以上、90以上の国や地域でサービスが使えます。プランがスタンダード、プレミアム、メタルの3種類あり、それぞれ月額料金やサービスの内容が少しずつ異なります。ちなみに、スタンダードプランであれば月額料金はかかりません。

Revolutの特長は、為替市場営業時間内であれば両替手数料がかからない点です。ニューヨーク時間の金曜日17時~日曜日18時を除く時間であれば、日本円から外貨へ両替する際に手数料が不要なのです。海外赴任をする人には大きなメリットといえるでしょう。ただし、為替レートはRevolutが独自に設定しており、ミッドマーケットレートではありません。

デビットカードを発行すれば、Revolutのアカウント内に入っている通貨での決済も可能になります。送料はかかりますが、発行手数料はかかりません。また、スマホ内にバーチャルカードを発行することもできます。カードを持っておけば海外での決済にも使えるので、現地に着いたその日からスマートに支払いができますよ。

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まとめ

今回の記事では、海外赴任の際に必要な手続きについて詳しく見てきました。海外転出届や年金といった公的手続きから、銀行やクレジットカードなどプライベートなものに至るまで、海外赴任前にはやることが目白押しです。手続きを忘れてしまうとあとあと不利益を被ることもあるので、ひとつひとつ丁寧に確認し漏れのないようにしておきましょう。

また、海外に引っ越すとなるとお金の管理方法も悩みの種ですよね。現地で必要な資金をどのように持っていくのか、どう管理するのかと悩んでいる人もいるでしょう。そんな人は、WiseやRevolutといったオンラインで多通貨の保有や管理ができるサービスもぜひ検討してみてください。

本記事は2024年7月23日時点での情報です。行政サービスに関する手続きなどの最新の情報は必ずお住いの自治体に確認しましょう。

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ソース

  1. 転出届:中央区から国外へ住所を変更をするとき

  2. 中央区ホームページ/国外転出するときの個人住民税の手続き

  3. マイナンバーカードを国外で利用する

  4. 国外転出者向けマイナンバーカードの申請・受取方法(新規交付)

  5. 社会保障協定|日本年金機構

  6. 日本から協定を結んでいる国で働く場合の加入すべき制度

  7. 国民年金の手続きが必要です!!

  8. 海外在住者と日本の医療保険,年金|外務省

  9. 海外滞在者の運転免許証の更新等に係る特例について

  10. 海外旅行、出産等の理由による更新期間前の更新手続

  11. グローバルダイレクト : トップ | 三菱UFJ銀行

  12. 海外転勤・留学などをご予定の皆さまへ|ソニー銀行(ネット銀行)

  13. お手続きやご注意事項|ソニー銀行(ネット銀行)

  14. e転居

  15. Wise(ワイズ)の歴史

  16. マルチカレンシー口座 | Wise(ワイズ)の外貨口座

  17. Wiseのシンプルな手数料

  18. 日本のお客様の保有限度額について | Wiseヘルプセンター

  19. Revolutについて | Revolut 日本

  20. スタンダードプラン料金 | Revolut 日本

  21. 国外からの転入届、国外への転出届のご案内

海外転出届けについてよくある質問

海外転出届を出さないとどうなりますか?

1年未満の海外赴任であれば、特に問題にはなりません。住民票を残したままの海外滞在という扱いになるだけです。その場合には、住民税を納めることになります。海外滞在が1年以上の場合には必ず海外転出届を出さなければなりません。もし、うっかり忘れてしまった場合には後からでも提出可能なので、必ず出すようにしましょう。

海外転出届は出国の何日前から提出できますか?

通常は出国予定日の14日前から提出できます。詳しくはお住いの自治体に確認してみてください。

一時帰国する場合、海外転出届はどうすればよいですか?

一時帰国の場合は特に届け出は必要ありません。転入届を出して住民登録をすることもできますが、自治体によっては「1年未満の一時帰国の場合は受理しない」と明記しているところもあります。

海外から帰国後、海外転出届はどうなる?

転入届を出した時点で行政上は日本へ住まいを戻したことになります。そのため、海外転出届の取り消しなどは不要です。年金などは別途手続きが必要になるので、詳しくは自治体の窓口に聞いてみましょう。