500万円以上の高額海外送金のやり方は?安い手数料の方法も解説
500万円以上の高額の海外送金の目的は、ビジネスや不動産購入、生前贈与、ストックオプションなどさまざまですが、「安全かつ確実に、でも手数料は抑えたい」というニーズは共通しています。高額な海外送金が必要になったとき、真っ先に思いつくのは銀行での取引でしょう。しかし、近年では銀行以外にも高額な海外送金ができる方法があります。
本記事では、銀行とその他の海外送金サービスを使った500万円以上の高額海外送金の方法を解説します。大切な資産を安全かつスムーズに、そしてコストを抑えて行うポイントをわかりやすくご紹介します。
一回あたり500万円以上の送金に対応するサービス・銀行は?
高額な海外送金となると、どの金融機関でも対応しているわけではありません。特に、500万円以上の高額送金には、特別な手続きや書類が必要になる場合があります。
一回あたり500万円以上の高額な海外送金には、みずほ銀行や、三井住友銀行、三菱UFJ銀行などメガバンクの窓口であれば、限度額はありません。
また、海外送金サービスWise(ワイズ)のように日本の金融庁から第一種資金移動業者として認可を受けている海外送金サービスでも高額な海外送金に対応しています。第一種資金移動業者については、この後詳しく解説します。
第一種資金移動業の認可のあるサービス
「資金移動業」とは、「銀行以外の者が為替取引を業として営むこと」を指します。
日本で資金移動業者として営業するには、事前に財務(支)局長の登録を受けなければなりません。
資金移動業者は、取り扱うことができる送金額等に応じて第一種・第二種・第三種に分類されています。第一種は100万円以上、第二種は100万円以下(一件あたり)、第三種は5万円以下(一件あたり)が送金上限額となっています。
第一種資金移動業として財務省から認可・登録を受けている業者は2025年6月30日現在、5
社のみしかありません。海外送金サービスWise(ワイズ)の日本法人であるワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社(関東財務局長第00040号)をはじめ、南米やアジア圏を中心に海外送金サービスを展開するKYODAI Remittance(キョウダイレミッタンス)の運営会社・株式会社ウニードス(関東財務局長第00004号)、シンガポールのフィンテック企業 Nium(ニウム)の日本法人であるNIUM Japan株式会社(関東財務局長第00073号)などが第一種資金業者として認可・登録を受けています。
例えば、海外送金サービスのWiseでは最大1億5,000万円相当額まで* の高額送金に対応しています。Wiseでは、140カ国への海外送金に対応。為替レートに手数料を上乗せしていないミッドマーケットレートが適用され、為替手数料で損をすることがないことが特徴です。さらに、回数に関わらず、25,000USD(または別通貨の相当額)超の送金を行うと自動割引が適用され、送金金額が大きくなるほど変動手数料が安くなります。
* 日本国内の住所で登録しているユーザーの場合
同じく海外送金サービスのKYODAI Remittanceでは、インドネシア、ベトナム、ネパール、ペルー向けに送金目的に応じて100万円以上~最大1,000万円までの高額送金に対応しています。手数料は一律5,000円と明瞭な料金設定が特徴です。
第一種資金移動業認可のサービスで送金するメリット・デメリット
高額海外送金の銀行以外の選択肢として「第一種資金移動業」の認可を受けた送金サービスですが、利便性が高い一方、制限も存在します。ここでは、メリットとデメリットを整理していきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
✅銀行よりも送金手数料や為替手数料が割安で低コスト ✅銀行よりも取り扱い通貨が豊富なサービスもある ✅オンラインで完結するサービスもある ✅資金移動業者には資産保全義務が課されており、履行保証金の供託等により安全が担保されている | ❌送金上限額がある ❌高額送金の場合、追加書類の提出が必要な場合がある ❌規制の遵守の観点から、送金日数が長くなりがち |
第一種資金移動業での高額海外送金は銀行よりも低コストで、なかには銀行よりも豊富な種類の通貨に対応していたり、オンラインで完結するサービスもあります。一方、マネーロンダリング対策により、資金源の確認や必要書類などが求められる場合もあります。そのため、通常の海外送金サービスのメリットであるスピーディーな送金よりも長い日数がかかる場合があることがデメリットと言えるでしょう。
銀行
信頼性の高い銀行での海外送金。銀行での高額な海外送金は、みずほ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行のメガバンクでは、窓口での手続きであれば送金金額の上限がありません。
ただし、上記メガバンク3行ではインターネットバンキングでの手続きの場合は送金上限額が設けられており、いずれも一回あたりの上限額は300万円相当額以下に限定されています。
銀行を使って高額送金を行うメリット・デメリット
信頼性や実績という面では安心感のある銀行での手続き。しかしながら、手数料や為替レートなど見落としがちなコストも存在します。銀行での高額海外送金のメリット・デメリットをまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
✅窓口での送金では上限額なし(メガバンク3銀行) ✅銀行での手続きによる高い安心感・信頼性 ✅窓口で直接問い合わせができ、不明点を解消できる | ❌送金手数料が不透明かつ高額 ❌インターネットバンキングでの手続きには送金上限額に制限がある(メガバンク3銀行) ❌取り扱い通貨が少ない傾向がある ❌為替レートに手数料が上乗せされている ❌銀行窓口が減少傾向にある |
(2025年7月26日現在)
銀行での手続きは、信頼性や安全性の高さ、そしてメガバンク3行では窓口での手続きなら送金上限額がないことが最大のメリットです。一方、送金手数料や為替レートに含まれる為替手数料が不透明かつ高額であることがデメリットと言えます。また、銀行では取り扱い通貨が主要通貨に限定されている傾向があるため、注意が必要です。
目的や緊急度、ニーズに応じて、どの送金手段を選ぶのか、比較検討することが重要です。
500万円以上の高額海外送金のやり方
ここからは、実際に一回あたり500万円以上の高額な海外送金のやり方を解説します。第一種資金移動業の認可・登録のあるWiseと三菱UFJ銀行を例に、具体的な必要書類や手順をご説明します。
Wise
日本において数少ない第一種資金移動業種の認可・登録を取得したWise(日本法人:ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社)の海外送金限度額は、一取引あたり最大1億5千万円相当までの海外送金に対応しています。すべての取引がオンラインで完結するため、窓口に出向く必要がありません。
Wiseの高額送金の特徴
Wiseは送金手数料の安さに強みがあります。送金金額は0.73%~と格安な手数料に加え、為替レートは市場のリアルレートであるミッドマーケットレートが適用されます。銀行のように、為替レートには一切手数料が含まれていないため、為替手数料で損をすることがありません。送金可能国数は140と幅広く対応しています。
さらに、Wiseの高額送金では月間20,000 GBP(英ポンド)相当額以上を送金すると、自動割引が適用されます。割引率は以下の通りです。
送金額(GBP) | 自動割引(%) |
---|---|
0~20,000 | 割引なし |
20,000~300,000 | 0.1% |
300,000~500,000 | 0.15% |
500,000~1,000,000 | 0.16% |
1,000,000超 | 0.17% |
(2025年7月26日現在)
なお、Wiseでは通常、アカウント内の残高から海外送金することができますが、高額送金の場合、送金資金の入金方法はすべて銀行振込となります。インターネットバンキングでの銀行振込では、セキュリティの観点から送金上限額が設定されていることがあります。金額によっては窓口での振込手続きが必要になるため、事前に上限金額を銀行側に確認しておくと良いでしょう。
必要書類
Wiseでの高額送金の場合、送金金額によっては資金源を証明する書類の提出が求められる場合があります。スムーズな送金手続きのため、以下の書類を予め用意しておくことが望ましいでしょう。
以下の情報が記載された銀行取引明細書 |
---|
|
送金目的 | 必要書類の例 |
---|---|
不動産売買 |
(書類例)売買契約書、決済明細書等 |
相続 |
(書類例)検認証明書、遺言等 |
給与 |
(書類例)雇用契約書、3カ月分の給与明細等 |
投資 |
(書類例)証明書、取引明細等 |
ローン |
(書類例)証明書、取引明細等 |
(2025年7月27日現在)
なお、Wise法人アカウントから高額海外送金する場合は、「多額の送金に必要な書類について」をご確認ください。
高額送金の手順
Wiseでの高額送金は、まずアカウントの本人確認を済ませる必要があります。
その後、送金資金をWiseに銀行振込する取引銀行で、一回あたりの振込上限額がいくらまで可能なのかを確認しておきましょう。
ここでは、50,000 GBP(または日本円での相当額)の海外送金する方を例に、高額送金の手順をご説明します。
Wiseでの高額送金送金手続きの作成方法(ウェブサイトの場合)
ホーム画面から「送金する」を選択する
銀行振込からの入金を選択する
受取人情報を正しく入力する
必要書類をアップロードする
送金内容を確認する
入金元の口座に関する質問に回答する
Wiseの銀行口座へ資金を入金する
三菱UFJ銀行
高額な海外送金は信頼性の高いメガバンクで手続きしたい、と考える方も多いかもしれません。ここでは、上限額の定めがない窓口での手続きについて解説します。
三菱UFJ銀行の高額送金の特徴
三菱UFJ銀行ではインターネットバンキング(三菱UFJダイレクト)での海外送金も可能ですが、上限額が一回あたり300万円相当額以下までとなっています。窓口(外国送金取扱店)では、上限額限度額はありません。
取扱通貨は米ドル・ユーロ・英ポンドなど主要通貨を含む計12種類に対応しています。
必要書類
三菱UFJ銀行の窓口での手続きでは、取引内容によって受付時間や必要書類、手数料等が異なるため、事前に外国送金照会デスクまで問い合わせが必要です。
<三菱UFJ銀行外国送金照会デスク>
TEL:0120-138-266
TEL:042-303-8843(通話料有料)
受付時間/平日9:00~17:00
その他、来店時に必要なものは「ご来店時にお持ちいただくもの」をご確認ください。
高額送金の手順
三菱UFJ銀行の窓口で500万円以上の海外送金を行うには、通常の送金とは異なる手続きや事前準備が必要です。
外国送金取扱店の「ご来店予約」を行う
「外国送金Webサポート+(プラス)」から送金依頼書作成
予約日に、送金依頼書のほか必要なものを持参の上、来店する
海外送金の限度額とは
海外送金には、利用する銀行での手続き方法や海外送金サービスごとに設定された限度額があります。また、個人か法人かによっても送金限度額は異なります。
例えば、三菱UFJ銀行の法人向けインターネットバンキング・BizSTATIONでは、仕向送金(海外送金)の上限額を銀行所定もしくは利用者である法人が独自に設定することができるとされています。
海外から送金を受け取る際の受取限度額は?
海外からの送金を日本の銀行で受け取る場合、例えば三井住友銀行やみずほ銀行では受取限度額は定められていません。ただし、日本の銀行で受け取る場合には受け取り手数料がかかることに注意が必要です。
海外送金時と同様に、3,000万円相当額を超過して「支払」の受け取りをする場合は、日本銀行宛に報告の義務があります。手引きや書式のダウンロードは、日本銀行ウェブサイトをご確認ください。
個人の海外送金の限度額(主要銀行・サービス別)
個人で海外送金を行う際は、各銀行や送金サービスの限度額はいくらなのでしょうか?ここでは、主要な金融機関・海外送金サービス別に一回あたり・一日あたり・一カ月あたりそれぞれの送金上限額を比較していきます。
1回あたり | 1日あたり | 1ヶ月あたり | |
---|---|---|---|
※国際送金の取り扱い終了予定 窓口:2025年8月29日 ゆうちょダイレクト:2025年8月31日 | ゆうちょダイレクト:100万円未満 店頭・窓口:500万円を超える送金の受付不可 | ゆうちょダイレクト:200万円以下 店頭・窓口:500万円を超える送金の受付不可 | ゆうちょダイレクト:500万円以下 店頭・窓口:500万円を超える送金の受付不可 |
三井住友銀行 | SMBCダイレクト:明示なし 店頭・窓口:限度額なし | SMBCダイレクト:300万円以内 店頭・窓口:限度額なし | SMBCダイレクト:500万円以内 店頭・窓口:限度額なし |
みずほ銀行 | みずほダイレクト:300万円以内 店頭・窓口:限度額なし | みずほダイレクト:300万円以内 店頭・窓口:限度額なし | みずほダイレクト:500万円以内 店頭・窓口:限度額なし |
三菱UFJダイレクト:300万円相当額以下 店頭・窓口:限度額なし | 三菱UFJダイレクト:300万円相当額以下 店頭・窓口:限度額なし | 三菱UFJダイレクト:500万円相当額以下 店頭・窓口:限度額なし | |
限度額なし ※ただし、システム的な上限あり | 限度額なし | 限度額なし | |
プレスティア | プレスティア オンライン:500万円相当額以下 | - | - |
最大 1億5000万円相当額 | - | - | |
100万円相当額まで | - | - | |
100万円まで | - | - |
(2025年7月27日現在)
銀行と海外送金サービスの送金上限額を比較してみると、銀行窓口での海外送金は上限額がなく、多額の送金が可能です。しかし、インターネットバンキングや海外送金サービスを提供するRevolutやPayPalは上限額が100万円までと低い設定で、制限があります。
一方、海外送金サービスWiseでは、個人利用であっても最大1億5千万円相当までの高額送金に対応しています。オンライン完結のサービスでは、Wiseの送金限度額が最も高く、安全性と利便性のバランスが優れていると言えるでしょう。
500万円以上の海外送金をする際の注意点
500万円以上の高額な海外送金をする際には、安全かつ確実に手続きをしたいものです。ここでは、高額送金時に押さえておくべき注意点を解説します。
為替手数料に注意
銀行での海外送金に適用される為替レート(TTSレート)には、通常、為替手数料が上乗せされています。例えば、2025年7月28日現在のみずほ銀行 外国為替公示相場によると、米ドルでは仲値に対して+1円、ユーロでは+1.5円、英ポンドでは+4円が上乗せされており、通貨によっても為替手数料は変動します。
送金金額が高くなるほど、為替手数料はかさんでしまいます。少しでも手数料を抑えたい場合は、Wiseのような手数料上乗せのないミッドマーケットレートが適用されるサービスを検討するのもおすすめです。
仕向国別の留意点を確認
各国の中央銀行からの通達により、金融機関では各種規制に基づく対応が求められています。例えば、中国本土への中国元建て送金の場合は個人や個人事業主の送金は不可で、法人のみの取り扱いとなっています。あらかじめ、送金先の国の規制をよく確認しておくようにしましょう。
3,000万円以上の送金の場合は日本銀行へ報告
日本の外国為替及び外国貿易法(外為法)第55条により、輸出入貨物代金以外の1回あたりの海外送金額または受け取り額が3,000万円相当額を超える場合、日本銀行へ報告する義務が課されています。手引きや書式のダウンロードは、日本銀行ウェブサイトをご確認ください。
500万円以上の海外送金を受け取る際の注意点
送金時と同様に、日本で海外送金を受け取る際にもいくつか注意点があります。
為替手数料に注意
海外送金を日本の銀行口座(円預金口座)で受け取る場合、入金日のTTBレートに外貨から日本円へ換算した上で、入金されます。仲値よりTTBレートが低い場合は、手数料分が差し引かれているため、目減りした額での入金となります。
例えば、2025年7月28日現在のみずほ銀行 外国為替公示相場によると、米ドルのTTBレートは仲値に対して-1円、ユーロでは-1.5円、英ポンドでは-4円が為替手数料として差し引かれています。できるだけ有利なレートで受け取れる銀行または海外送金サービスを利用することで、このような為替手数料を節約することができます。
受け取り手数料(被仕向送金)が発生
日本の銀行口座で海外送金を受け取る際には、受け取り人にも手数料負担が発生します。受け取り手数料は銀行によって異なり、例えば三菱UFJ銀行の円預金口座で3,000円以上の外貨建の送金を受け取る場合は1,500円かかります。
このような受け取り手数料を節約するには、Wiseのマルチカレンシー口座の利用がおすすめです。Wiseのマルチカレンシー口座では、合計23通貨に対応した9種類の現地口座情報を取得でき、外貨を外貨のまま受け取ることが可能です。主要9通貨の受け取り(SWIFTおよび電信送金を除く)は手数料無料で利用でき、まるで国内振込のように手軽に資金を受け取ることができます。
また、Wiseではこれまで日本の住所で登録しているユーザーの場合、アカウント内には100万円相当額以内の保有しかできませんでした。しかし、Wiseで利用する資金に限り、最大2000万円、最長6カ月間、保有限度額の引き上げが可能になりました。個人・法人の両方に対応しており、高額送金がしやすくなり、利便性が高くなりました。詳細は、「日本のお客様のWiseアカウントの保有限度額について」をご覧ください。
3,000万円以上の受け取りの場合は日本銀行へ報告
送金時と同様に、輸出入貨物代金以外の3,000万円相当額超の受け取りも、日本銀行へ「支払又は支払の受領に関する報告書」の提出が必要になります。手引きや書式のダウンロードは、日本銀行ウェブサイトをご確認ください。
まとめ
500万円以上の海外への高額送金の手続きにはさまざまな制約や手続きがあることが分かりました。煩雑な手続き以外にも、為替手数料や送金手数料などコスト的にも負担が大きくなりがちです。Wiseのような高額送金にも対応している海外サービスを新たな選択肢として検討することで、手続きの簡素化はもちろん、手数料を削減することができるでしょう。高額送金は、送金手段の選び方ひとつで手数料に大きく差が生じます。手数料を抑えつつ安全に送金するには、銀行以外の送金手段も検討してみると良いかもしれません。
出典: