海外在住者は一時帰国時に免税は利用できる?そのやり方と注意点

山口 友紀恵
ライター
石井 美南海
最終更新日
2025年6月20日

海外居住者の場合、日本への一時帰国の際に免税(タックスフリー)の制度が利用できます。しかし、免税を受けるには一定の手順を踏んで商品を購入する必要があります。ただ通常通り買い物するだけでは制度の利用はできませんので注意が必要です。

この記事では、一時帰国時に免税を受けるための条件やその手続きについて詳しく説明していきます。合わせて、海外送金や外貨の管理に便利なWise(ワイズ)のサービスについてもご紹介していきます。

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免税(タックスフリー)とは?

免税制度とは、特定の条件を満たした商品に対して、消費税(または付加価値税)を免除する仕組みのことです。制度の対象となる人は主に外国人観光客で、旅先で商品を購入した際に税金の支払いを免除してもらえます。これにより、海外からの観光客が日本で買い物をする際に、通常支払う消費税分を節約することが可能です。

一時帰国時に免税を受ける条件は?

上述したように、免税の対象になるのは主に日本に訪れている外国人観光客ですが、条件を満たせば日本人であってもその制度が利用できることがあります。その具体的な条件を下記で見ていきましょう。

免税販売の対象となる日本人とは?

2023年4月に消費税免税制度が改正され、免税販売の対象となる日本人は下記の2つの条件を満たすことと定められました。

  • 国内以外の地域に引き続き2年以上住所又は居所を有すること

  • 上記を在留証明又は戸籍の附票の写しにより確認できること

つまり、「非居住者であること」と「それを証明できること」の2つが条件です。ちなみに、在留証明は大使館もしくは在外公館で発行されたものに限ります。これについては後の段落で詳述します。

この2つの条件を満たしていることを示すためには非常に細かいステップがあります。次の段落で詳しく見ていきましょう。

対象者の確認方法は?

免税制度を利用するためには、下記のフローに沿って自分が対象者であることを確認しなければなりません。

  1. パスポートの帰国印を確認

帰国した日のスタンプがないと、免税制度の対象者にはなりません。近年は自動化ゲートが普及しており、帰国印なしで入国手続きが可能です。しかし、免税制度の利用には帰国印が必ず必要なため、ゲートをくぐったあとに有人カウンターでスタンプをもらう手続きが必須です。

  1. 帰国年月日が6カ月未満であることを確認

日本での滞在があくまで「一時帰国」であることを確認します。

  1. 在留証明もしくは戸籍の附票の写しによって海外在住であることを確認

これらの書類はコピーやスマートフォンで撮影した写真は不可で、原本を準備する必要があります。ちなみに、発行から6カ月未満のものに限ります。この2つのいずれかがなければ、グリーンカードやその他海外在住であることを示す公的書類を提出したとしても、免税制度の対象にはなりません。

  1. 提出書類で海外在住歴を確認

在留証明もしくは戸籍の附票の写しで海外在住歴が2年以上あることが確認でき、かつ、提出書類の本籍地の地番が確認できたら、免税制度の利用可能と判断されます。ちなみに、複数の外国間で引っ越しをした場合には在留証明には「直近で住所変更があった日」のみが示されるため、それが2年未満である場合には免税対象となりません。それ以前の海外での居住歴の合算はできないのです。

以上が免税可否の判断についてのフローです。パスポートに帰国印がないとそもそも対象外となってしまうので、帰国の際には注意しましょう。

免税を受けるために必要な書類は?

免税制度を利用するために必要な書類は下記の通りです。

  • パスポート(6カ月未満の日付の帰国印が押されている)

  • 在留証明もしくは戸籍の附票の写し(発行から6カ月未満)

既述の通り、在留証明は大使館もしくは在外公館で発行された行政証明に限ります。ビザや在留カードはその役割を果たしませんので注意が必要です。

また、購入店でのレシートは不要です。日本ではすべての免税手続きがオンライン化されており、免税店で商品を購入するとその情報が国税庁へ送信されパスポートに紐づけられます。出国時にパスポートを税関で見せれば免税購入履歴が明らかになるため、レシートは不要なのです。

免税の対象となる物品は?

上記のフローを経て自身が免税対象者であることを確認しても、すべての買い物が自動的に免税になるわけではありません。免税制度の利用には一定の条件があります。まず、対象となるのは「一般物品」と「消耗品」のみです。一般物品とは家電製品や衣服、時計やカバンなどがそれにあたります。それに対し消耗品は食品類、飲料類、薬品類、化粧品類などです。そして、これらの商品を1店舗で1日あたり税抜で合計5,000円以上購入する必要があります。ちなみに、消耗品に関しては5,000円以上50万円以下という決まりがあります。

そしていずれも免税購入した商品は30日以内に国外に持ち出さなければなりません。消耗品に関しては国内での開封は認められておらず、指定された方法により袋や段ボールで包装された状態で店舗から渡されます。仮に開封してしまった場合には出国時に免税された消費税を徴収されることがあります。

一時帰国時に免税店で買い物するときの手順

免税制度を利用するときには、免税の許可を受けた店舗で買い物をしなければなりません。免税を受けられる店舗については後ほど詳述します。いざ買い物をするときには、下記の手順に沿って進めていきましょう。

  1. 一般商品、消耗品を合計5,000円(税抜)以上選ぶ

  2. レジにて免税希望を伝え、必要書類を見せる

  3. 免税価格であることを確認し支払いをする

  4. 商品を受け取る

なお、パスポートの代わりにVisit Japan Webサービスを使うこともできます。このサービスは入国審査や税関申告といった入国手続、および免税購入に必要な情報を登録することができるウェブサービスです。事前にこのサービスにパスポートの情報を登録しておけば、サービス上で表示される二次元コードを見せるだけで本人情報の提示ができます。ただし、対応していることを示すロゴマークのあるお店のみで利用可能です。

一時帰国中に免税を受けられるのはどのお店?

免税で商品が購入できるお店には「TAX FREE」と「DUTY FREE」の種類があります。前者は消費税のみが免税されるお店で、後者はそれに加えて酒税やたばこ税、関税も免税されるお店です。いずれもわかりやすく店舗内に「TAX FREE」「DUTY FREE」の表示が掲げられているので、すぐにそれとわかります。

TAX FREEのお店は街中でもよく見られるのに対し、DUTY FREEは空港など限られた場所にのみあります。ちなみに、TAX FREEのお店では合計5,000円(税抜)以上の買い物が必要ですが、DUTY FREEのお店では購入金額に関係なく免税が可能です。

免税を受ける際の注意点

上記で紹介してきた手順に沿って手続きを進めれば、日本人でも免税制度の利用が可能です。一時帰国時には海外ではなかなか手に入らない日本の商品を買いだめしたい、という人は少なくないでしょう。そんなときに免税制度を活用すればお得に買い物が楽しめます。最後に、免税制度を利用するときの注意点をおさらいしておきましょう。

  • パスポートに帰国印を押す

「対象者の確認方法は?」の段落で説明した通り、免税制度の対象者になるためにはパスポートに帰国印が必要です。他の書類をすべて揃えたとしても、帰国印がないと対象者にカウントされませんので注意しましょう。自動化ゲートを通過したあとに有人カウンターへ行き、スタンプを必ずもらいます。

  • 在留証明、戸籍の附票の写しは原本を準備する

非居住者であることを証明する書類は必ず原本を提出する必要があります。コピーや写真では認められませんので、注意しましょう。

  • 免税物品は30日以内に国外に持ち出す

免税制度は「国外に持ち出す」商品のみが対象です。そのため、出国時に免税物品を持っていなかった場合には税関で消費税が徴収されます。また、消耗品の場合は商品を持っていても開封されているなど国内で使用した形跡がある場合も消費税徴税の対象になります。

  • 免税物品を国内で譲渡した場合には罰則がある

免税で購入した商品は購入者自身が確実に国外に持ち出さなければなりません。そのため、出国前に譲渡した場合には1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が課せられます。

海外赴任中のお金の管理・日本への送金はWiseが便利!

一時帰国の際には日本円の準備が必須です。外貨を日本円に両替するか、そうでない場合には居住国で発行したカードで支払うことになります。しかし、その際には両替手数料や海外事務手数料が発生してしまいます。そういった手数料を避けてお得に日本での支払いを済ませたいという人には、Wiseがおすすめです。Wiseとはオンラインで複数通貨の両替や保管、海外送金ができるオンラインプロバイダーです。

Wiseでは[NumberWiseCurrencyHold]以上の通貨を保有することができ、9の通貨では現地の口座情報を取得することが可能です。その国にいなくても、まるで現地にいるかのように銀行口座が使えて便利です。国によっては給与受け取り口座に指定できるところもあります。

また、日本円から外貨の両替の手数料も0.68%と銀行などの金融機関で行うよりも非常に安く設定されています。ちなみに、金融機関での両替の場合はその金融機関独自の為替レートが定められており、その中には為替手数料が含まれていることが一般的です。それに対しWiseでは為替レートにミッドマーケットレート(実際の為替レート)が採用されており、為替レートで損をすることがありません。

また、Wiseを使って日本にいる家族などへの海外送金もお得な手数料でできます。例えば自分のアカウントにあるアメリカドル5,000ドルを日本に送るときの手数料はわずか0.34%です(2025年3月13日現在)。ただし、Wiseの海外送金手数料は通貨や資金の出所によって変わります。そのため、具体的な送金手数料を知りたい場合にはWiseのシミュレーションページでチェックすることをおすすめします。

資金を送るだけでなく、海外送金を受け取ることも可能です。受け取りには手数料がかからないことがほとんどですが、送金人がSWIFTでの送金を利用した場合には手数料が発生します。

加えて、イギリスやドイツ、シンガポールなど、対応国に住んでいる場合には残高をアセットとして保有することもできます。アセットとは株式や利息つきファンドのことで、すなわち資産運用目的でお金を預けておけるということです。残念ながらアカウントに登録している住所が日本の場合はアセットの利用はできませんが、対応国であれば利用可能です。

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まとめ

今回は一時帰国時の免税制度の利用方法について詳しく解説してきました。海外在住者であっても条件を満たしていないと免税制度は使えないので、注意深く準備する必要があります。特にパスポートに帰国印が押されていないとまず対象者にならないので、空港に到着した際には必ず有人カウンターへ行って入国手続きをしましょう。

一時帰国時の日本円の管理について悩んでいる場合には、Wiseの利用がおすすめです。Wiseでは日本円を含む複数通貨の保有や両替ができるだけでなく、お得に海外送金もでき海外在住者に非常に使いやすくなっています。

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FAQ

一時帰国時の免税手続きを税関で忘れた場合は?

手続きを忘れてしまった場合には免税制度の利用はできません。消費税を支払うことになりますので、必ず手続きをしましょう。

免税品を開封してしまった際は?

一般物品の場合は開けてしまっても問題ありません。ただし、確実に国外に持ち出さなければならないため、管理には注意が必要です。消耗品の場合は開封してしまうと免税の対象とならず消費税が徴収されることがあります。

免税店で日本在住の日本人も免税を受けられますか?

日本国籍の場合、免税制度が利用できるのは「非居住者」のみです。「非居住者」として認められるのはパスポートの帰国印が6カ月未満であり、転出届を出してから海外在住歴が2年以上ある人と決まっているため、日本在住の人が免税制度を利用することはできません。

日本の免税にはどんな種類がありますか?

免税店には「TAX FREE」と「DUTY FREE」の2種類があります。TAX FREEのお店では消費税のみが免税されるのに対し、DUTY FREEのお店では消費税に加えてたばこ税、関税、酒税なども免税になります。