アメックス(Amex)の海外利用手数料は?計算方法や注意点などを解説
アメックスの通称で知られるアメリカン・エキスプレス(American Express®)。アメックスはVISA、Mastercard®などに並ぶクレジットカードの国際ブランドの一つです。海外旅行中のトラブルにも安心な海外旅行保険や空港ラウンジサービスなど、旅を少し豪華にしてくれる特典が魅力のアメックスカード。しかし、海外ではお得に使えるのでしょうか?
今回は、アメックスのクレジットカードを海外で利用する場合の手数料や気を付けるべきポイントを解説します。さらに、アメックスの他に海外でもっとお得に使えるWise(ワイズ)などのカードもご紹介します。
アメックス(Amex)カードの海外利用にかかる手数料
日本国内で発行されたアメックスカードを海外で利用する方法は、次の2種類があります。
海外キャッシング(海外のATMで現地通貨を引き出す)
海外実店舗や海外通販サイトでのショッピング(外貨決済)
これらをアメックスカードで決済する場合、それぞれ手数料が発生します。以下では、各手数料について詳しくご説明します。
アメックスカードの海外キャッシング
海外キャッシングとは、クレジットカードを利用して海外のATMから現地通貨を引き出すことを指します。「キャッシング」という名の通り、借り入れ扱いとなり、手数料と利息を含めた返済が必要です。また、利用するには、事前にクレジットカードでキャッシング機能の利用枠が必要です。
なお、アメックスカードでのキャッシング機能は、提携カードのみ有効です。アメリカン・エキスプレスが独自に発行するクレジットカード(プロパーカード)は2012年6月をもってキャッシングサービスを終了しています。また、楽天カードのアメリカン・エキスプレス・カードも海外キャッシング機能は利用できません。
キャッシングできる提携カードの三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カードを使って海外キャッシングした場合の手数料や利息の計算方法を見ていきましょう。
海外キャッシングの利息は、以下の計算式で算出できます。
海外キャッシングの利息 |
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借入金額(日本円換算) × 実質年率(%)÷ 365日 × 利用日数 |
三菱UFJカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス®・カードでキャッシングした場合の年率は14.95%~17.95%(2025年7月20日現在)で、返済方式は元利一括払いとされています。
例として、香港のATMで3,000香港ドルを引き出し、30日で返済した場合の手数料を計算してみましょう。年率は17.95%、為替レートは1香港ドル(HKD)= 18.97円と仮定します。
利息 |
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56,900円 × 17.95% ÷ 365 × 30日 = 約 839.28円 |
上記が、30日間で借り入れした場合の利息となります。
海外キャッシングでは、年率のほか、ATM利用手数料(10,000円以下:110円、10,001円以上:220円)が別途加算されます。
海外渡航前に両替専門店を使って外貨両替する人も多いですが、海外キャッシングは金額や通貨によっては両替専門店よりも手数料が安く済む場合があります。詳しくは、「海外キャッシングと外貨両替はどっちが安い?手数料を比較」で解説しています。
アメックスカードの外貨決済時の手数料
日本国内発行のアメックスカードを使って、世界200ヵ国以上のアメリカン・エキスプレスの加盟店でショッピングを楽しむことができます。ただし、海外や海外サイトで外貨決済する場合は、海外事務手数料や為替手数料がかかることに注意が必要です。
外貨決済とは、日本円以外の通貨をクレジットカードで支払うことを指します。つまり、海外や海外サイトで米ドルやユーロなどで支払う場合は、外貨決済となり、別途手数料が発生します。各種手数料については、この後詳しく解説します。
アメックス(Amex)カードの為替レートと海外事務手数料
クレジットカードで外貨決済する場合、カードの国際ブランドやカード発行会社によって為替レートおよび海外事務手数料が変わります。
まず、為替レートに関しては、アメリカン・エキスプレスをはじめ、各種国際ブランドが独自の基準レートを定めています。VISAやMastercard®、JCBは公式サイトで基準レートを公開していますが、残念ながらアメリカン・エキスプレスでは非公開となっています。また、基準レートはショッピングを行った日ではなく、アメリカン・エキスプレスまたはアメリカン・エキスプレス代理店がカード利用代金の売上処理を行った日のレートが適用されます。
アメリカン・エキスプレスでは、海外事務手数料は「外貨取扱手数料」と呼ばれています。
アメックスカードおよびアメリカン・エキスプレス®提携カード発行会社の海外事務手数料を以下にまとめました。
カード名 | 国際ブランド | 海外事務手数料(税込) |
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アメリカン・エキスプレス®(プロパーカード) | American Express | 2.0%(現行) 3.5%(個人カード/ビジネス・カード:2025年8月1日~、コーポレート・カード・プログラム:2025年10月1日~) |
VISA Mastercard® JCB American Express | 3.63%(全国際ブランド共通) | |
セゾン・アメリカン・エキスプレス®・カード | American Express | 2.0%(アメリカン・エキスプレス適用の基準レートに含む) |
MUFGカード | VISA Mastercard® JCB | 3.85% 3.85% 1.60% + 0.44% |
MUFGカード・アメリカン・エキスプレス・カード | American Express | 2.0%(アメリカン・エキスプレス適用の基準レートに含む) |
2025年7月17日現在
上記の通り、海外事務手数料は国際ブランドやカード発行会社によって大きく異なるため、注意が必要です。
海外事務手数料は以下のように計算できます。
海外事務手数料 |
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アメリカン・エキスプレスの基準レート × 使った外貨額 × 海外事務手数料 (%) |
具体的に、アメリカン・エキスプレス®のプロパーカードを使って、アメリカで2,000ドルの買い物をした場合にかかる海外事務手数料を計算してみましょう。適用される基準レートは1ドル=148.69円 として計算します。
2,000ドル × 2.0% × 148.69円 = 約 5,947.6円
つまり、2,000ドルの買い物をした場合、別途、海外事務手数料を約6,000円払わなくてはいけないということになります。
海外事務手数料は昨今の事務コストの増加等を理由に各社が値上げに踏み切っており、ますます高騰しています。海外での利用が多い場合は、できるだけ手数料が安いカードを選ぶことが節約のポイントです。
カード別 海外利用手数料を比較
クレジットカードの海外事務手数料は一般的に、約1%~3%台となっています。ここでは、アメックスカードやその他クレジットカード、デビットカードの海外事務手数料を比較していきます。
カード名 | 海外事務手数料 | 発行手数料 | 年会費(税込) | 特典・ポイント還元率 |
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アメリカン・エキスプレス®・ グリーン・カード | 2.0%(現行) 3.5%(個人カード/ビジネス・カード:2025年8月1日~、コーポレート・カード・プログラム:2025年10月1日~) | なし | 月会費1100円 (年会費換算:13,200円) | ・国内旅行傷害保険(利用付帯):最高5,000万円 ・海外旅行傷害保険(利用付帯):最高5,000万円 ・国内外の空港ラウンジの無料利用 ・ショッピング・プロテクション®:カードで購入した国内外の商品の破損・盗難補償 ・ポイント還元率:1%(カード利用100円=1ポイント) |
エポスカード | 3.85%(VISA) | なし | 無料 | ・海外旅行傷害保険(利用付帯:最高3,000万円) ・ポイント還元率:0.5%(カード利用200円=1ポイント) |
3.63%(全国際ブランド共通) | なし | 無料 | ポイント還元率:1%~ | |
無料 | 1,200円 * | 無料 | ・毎月2回まで、3万円相当額までのATM引き出し手数料無料 ・ミッドマーケットレートでの外貨両替 ・バーチャルカードの発行手数料無料 |
2025年7月18日現在、* 日本の住所で登録している日本ユーザーの場合
結論としては、Wiseデビットカードが海外事務手数料が一切かからず、最も安い結果となりました。
アメックスカードの海外事務手数料は2025年7月現在は2%ですが、個人カード/ビジネス・カードは2025年8月から、コーポレート・カード・プログラムは2025年10月から3.5%に引き上げられることが決まっています。
エポスカード(VISA)の海外事務手数料は3.85%、楽天カードは全国際ブランド共通で3.63%となっており、同じく2025年に入ってからすでに値上げされています。
アメックスカードは特に、海外渡航時に便利な海外旅行保険や空港ラウンジの無料利用などの特典が魅力ではありますが、決済の度に約3%の海外事務手数料がかかるのは経済的とは言えません。
一方、Wiseデビットカードではクレジットカードのような海外事務手数料が一切かからず、外貨決済に便利なカードです。Wiseデビットカードについては、次の章で詳しく解説します。
Wiseデビットカード
Wiseデビットカードは、金融テクノロジー企業のWiseが発行するデビットカードです。140カ国に対応した安く・スピーディーな海外送金サービスのほか、アカウント内で40以上の通貨を保有することができる、海外旅行や海外居住者にぴったりなデビットカードです。
Wiseデビットカードでは、以下の特徴があります。
会員登録・年会費無料
150カ国で利用可能
支払い通貨を保有していれば、決済手数料無料
0.73%~と格安な両替手数料 *(1)
月2回、3万円相当額までなら無料で海外ATMで現地通貨の出金が可能
発行手数料が1,200円*(2) かかるものの、クレジットカードのような年会費は一切かからないのも魅力です。ポイントや特典はありませんが、海外利用時にかかる手数料はアメックスカードと比較すると以下の通り、お得に利用できます。
*(1) 通貨や金額によって変動、*(2) 日本の住所で登録している日本ユーザーの場合
(例)アメリカで2,000ドルの買い物をした場合
Wiseデビットカード
米ドル残高が2,000ドルある場合:決済手数料無料
日本円の残高を使って、2,000ドルを決済する場合:両替変動手数料1,965円 *
* 2025年7月19日12:55CET現在アメックスカード
2,000ドル × 2.0% × 148.49円 = 約5,939.6円
2,000ドル × 3.5% × 148.49円 = 約10,394.3円
※1ドル=148.49円で算出アメックスカードのプロパーカードは、個人カード/ビジネス・カードは2025年8月1日から、コーポレート・カード・プログラムは2025年10月1日から海外事務手数料は3.5%に引き上げが決まっています。それに伴い、同じ金額を決済した場合でも、日本円に換算すると約2倍の手数料がかかることが分かりました。
一方、Wiseデビットカードはあらかじめ必要な外貨に両替しておけば、外貨のまま支払いができ、その場合は手数料無料で決済が可能です。年会費やサブスクリプション料金は一切かからないため、海外渡航時には持っていて損はないカードと言えるでしょう。
海外旅行におすすめのアメックスカードは?特徴種類を比較
多くの海外旅行好きの人に選ばれるアメックスカード。アメックスカードのなかでも、どのクレジットカードが海外旅行にはおすすめなのでしょうか?スタンダードクラスとゴールドクラスから3種類のアメックスカードの種類をご紹介しますので、特徴を比較してみましょう。
クラス | カード名 | 年会費(税込) | 発行日数 | 付帯保険 | ポイント還元率 | 旅行特典 |
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スタンダード | ANAアメリカン・エキスプレス®・カード | 7,700円 | 申し込みから約1週間程度 | ・国内旅行傷害保険(利用付帯):最高2,000万円 ・海外旅行傷害保険(利用付帯):最高3,000万円 | 1%(ANAグループでのカード利用はポイント1.5倍) | ・国内外の空港ラウンジの無料利用 ・ショッピング・プロテクション® ・手荷物無料宅配サービス など |
スタンダード | デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス®・カード | 13,200円 | 申し込みから約1週間程度 | ・国内旅行傷害保険(利用付帯):最高5,000万円 ・海外旅行傷害保険(利用付帯):最高5,000万円 | 1%(デルタ航空でのカード利用でマイル2倍) | ・デルタ航空スカイマイル上級会員資格「シルバーメダリオン」が入会から1年間付帯 ・デルタ航空でのカード利用で2倍、海外での利用で1.3倍のボーナスマイル ・国内外の空港ラウンジの無料利用 ・ショッピング・プロテクション® ・優先チェックイン ・手荷物無料宅配サービス など |
ゴールド | アメリカン・エキスプレス®・ゴールド・プリファード・カード | 39,600円 | 申し込みから約1週間程度 | ・国内旅行傷害保険(利用付帯):最高5,000万円 ・海外旅行傷害保険(利用付帯):最高1億円 | 1%(対象加盟店で3倍) | ・メタル製カード ・国内外の空港ラウンジの無料利用 ・ショッピング・プロテクション® ・海外旅行時の航空便遅延補償 |
アメックスカードは、年会費無料のものはなく、月会費や年会費がかかります。しかしながら、上記3枚のクレジットカードはどれも、国内・海外旅行保険や提携空港ラウンジの利用、国内外問わずカードで購入した商品の破損・盗難などの損害を補償してくれるショッピング・プロテクション®サービスなど、充実した特典を受けることができます。
ANAアメリカン・エキスプレス®・カードは年会費が最も安いアメックスプロパーカードで、日常的な買い物でANAマイルを貯めることができます。
デルタスカイマイルを貯めたいなら、デルタ スカイマイルアメリカン・エキスプレス®・カードがおすすめです。入会特典として、通常デルタ航空を頻繁に利用される人のみが獲得できる「シルバーメダリオン」を無条件で1年間無料で利用できます。
ゴールドクラスのアメリカン・エキスプレス®・ゴールド・プリファード・カードは、海外旅行保険が最高1億円まで補償。さらに、ほかの2枚にはないメタル製のカードや海外旅行時の航空便遅延補償で、さらなる旅の安心や特典を享受できます。
各カードの詳細は、アメリカン・エキスプレス®の公式サイトをご覧ください。
旅行保険は、利用条件に注意
旅のお守り代わりにもなるアメックスカードですが、保険や特典はしっかり利用条件を理解しておくことが重要です。なかでも、旅行保険には特に注意しましょう。
アメックスカードの旅行傷害保険は、「利用付帯」です。つまり、航空券や空港までのリムジンバス、特急列車、旅行代理店のパッケージツアー代金などをアメックスカードで支払うことで旅行傷害保険が付帯されます。
カードのクラスや国内旅行または海外旅行なのかによっても条件が異なるため、必ず旅行前にカード発行会社の公式情報で条件を確認しておきましょう。
アメックスカードの問い合わせ先
海外旅行にトラブルは付き物です。以下のアメックスカードのホットラインは、カード付帯の海外旅行傷害保険の問い合わせのほか、医療機関の紹介など緊急時の支援などに日本語で24時間問い合わせすることができます。
グローバル・ホットライン(海外からの問い合わせ先/24時間日本語で対応)
対象カード (会員および家族カード会員) |
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アメリカン・エキスプレス®・グリーン・カード アメリカン・エキスプレス®・スカイ・トラベラー・カード ヒルトン・オナーズ・アメリカン・エキスプレス®・カード Marriott Bonvoy® アメリカン・エキスプレス®・カード ANA アメリカン・エキスプレス®・カード デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス®・カード ペルソナSTACIA アメリカン・エキスプレス®・カード |
国名 | 電話番号 |
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アメリカ合衆国(ハワイ、アラスカを含む) | 1-800-766-0106 |
カナダ | 1-800-766-0106 |
中南米・カリブ諸島 | *1-804-673-1670 (コレクトコール利用) |
フランス | 0800-90-83-91 |
ドイツ | 0800-181-0778 |
イギリス | 0800-866-668 |
スペイン | 900-99-4447 |
イタリア | 800-871-981 |
スイス | 0800-55-47-03 |
上記以外のヨーロッパ(旧ソ連邦・アフリカ・中近東) | *44-20-8840-6461(イギリスセンター) (コレクトコール利用) |
韓国 | 00798-651-7032 |
香港 | 800-96-3013 |
台湾 | 00801-65-1169 |
シンガポール | 1800-535-2209 |
オーストラリア | 1800-553-155 |
ニュージーランド | 0800-44-9348 |
上記以外のアジア、オセアニア | *65-6535-2209(シンガポールセンター) (コレクトコール利用) |
2025年7月19日現在
クレジットカードを海外利用する際の手数料の注意点
日本発行のクレジットカードを海外で利用する際には、海外事務手数料のほか、レートにも注目する必要があります。次の2点に特に注意することで、手数料で損することを避けることができます。
カードを使った日とレート換算日は異なる
海外でクレジットカードを使った場合、適用される為替レートは、使ったその日のレートではなく、店舗やサイトでの決済データがカード決済センターで処理された日の各国際ブランドの基準レートが適用されます。
レートが良い日に払いたい場合や、引き落とし金額をすぐに確認したい場合は、Wiseデビットカードのようなデビットカードも選択肢の一つとしておすすめです。
支払い通貨は常に現地通貨を選ぼう!
海外滞在中に店舗や、海外ATMで引き出しをする際、「日本円建て」か「現地通貨建て」かの選択を求められた経験はありませんか?これは、DCC (Dynamic Currency Conversion) 決済と呼ばれ、「自国通貨支払いサービス」を意味します。
DCC決済では、店舗やATM事業者が独自に設定した為替レートが設定されています。日本円建てでの支払いを選んだ場合、利用者にとっては、いくら日本円で引き落とされるかを予め把握できる一方、実際の為替レートよりも手数料が上乗せされたレートで支払うため、手数料で損してしまう結果となります。
そのため、DCC決済を求められた場合は、「現地通貨建て」を選ぶことで不利なレートでの決済を避けることができます。
まとめ
海外旅行者にとって海外旅行保険やショッピング・プロテクション®などの安心や、空港ラウンジの利用などの豪華な体験を提供してくれるアメックスカード。魅力的な特典が満載である一方、近年のコスト増の影響もあり、海外事務手数料は値上がりされています。
手数料の節約には、Wiseデビットカードがおすすめです。外貨を外貨のまま支払うことができるほか、格安な両替手数料での外貨両替や、海外ATMでお得に現地通貨の引き出しも可能です。次の海外旅行では、アメックスカードの他にもう一枚、Wiseデビットカードを追加してみませんか?
出典: