中国本土での銀行口座開設方法をわかりやすく解説!

石井 大智
石井 美南海
Last updated
2023年11月28日

中国本土での銀行口座開設をお考えでしょうか?中国本土で快適な生活を送るには、中国で主流のQRコード決済であるAlipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)が欠かせませんが、そのためには中国の銀行口座が欠かせません。

しかし、中国本土にすでにいる方も、中国本土に行かずに中国本土で銀行口座を開設しようとしている方にとっても、中国本土での銀行口座開設は複雑なプロセスになる可能性があります。この記事では、様々な場合においてどのように口座を開設するのか、どんな書類が必要なのかなどをわかりやすく解説します。

どのような書類が中国本土の口座開設には必要?

中国本土の銀行口座開設に必要な書類は銀行や口座開設者の置かれた状況によって異なりますが、新たに中国に住み始めた外国人居住者の場合、必要書類は一般に以下のものになります。

  • パスポート(旅券)

  • 有効なビザ

  • 居留許可証

  • 外国人工作許可証など(就労ビザで入国した場合など)

中国本土では非居住者の銀行口座の開設がかなり難しくなっています。したがって、基本的には居住者であることを示す必要がありますが、その際に必要となるのが上記の「ビザ」や「居留許可証」になります。

少し複雑なのですが、中国においてビザと居留許可証は異なるものです。ビザは日本などの海外の在外公館やビザ申請センターで入国のために取得するものです。入国後30日以内に、居留許可手続きが義務付けられている外国人(就労または180日を超える長期滞在者)は、必要な書類を揃えて居住地の公安機関(公安局)で居留許可証を取得します。観光ビザ(Lビザ)では居留許可証を取得できないので、観光ビザでの入国での銀行口座開設はあまり現実的ではありません。

居留許可手続き中はパスポートが回収されるので、その間の銀行口座の開設はもちろんできません。したがって、入国後すぐ銀行口座を開設できるわけではなく、居留許可証を取得するまで銀行口座なしで滞在しなければならないという点にも注意が必要です。

銀行口座を開設しようとする時に日本の納税者番号としてマイナンバー(個人番号)の提出が求められることもあります。これは、OECDが策定した銀行等の口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際的な統一基準(いわゆる「共通報告基準」)に従って日本で課税対象となる日本居住者の口座情報が日本の税務当局などに通知されるためです。

在上海日本国総領事館のホームページには、マイナンバーを示すことができず、口座開設できなかったという情報も寄せられているとの記述もあります。厳密に言うとこの番号は、日本の税法上の居住者しか必要ないはずですし、そもそも居住者でなければマイナンバーやマイナンバーカードを持っていないはずです。しかし、それにも関わらずマイナンバーの提出が求められる事例があるようなので、その際にはマイナンバーは非居住者には発行されないことを銀行担当者に説明しましょう。

中国本土への海外送金はWiseが便利!

中国本土にいる友人などに送金したい場合、Wiseを使えば日本の銀行からSWIFTを利用して海外送金するよりも手数料を大幅に抑えることができるかもしれません。それは、Wiseでは「隠れた手数料」をなくしているからです。

日本の銀行から中国本土の銀行に送金する際には、一般的に送金手数料だけではなく為替手数料や中継銀行手数料がかかります。為替手数料は日本円から外貨に両替する時にレートに含まれている手数料で、この手数料に気づかず両替している人も少なくないはず。中継銀行手数料は送金時に中継する銀行などに支払う手数料ですが、こちらも多くの場合送金時にこの手数料が実際いくらかかるのか知ることは難しくなっています。

Wiseで送金シュミレーションする

Wiseでは、為替手数料や中継銀行手数料などの「隠れた手数料」はかかりません。送金時にわかる送金手数料だけを確認すればよく、送金コストが非常に見えやすくなっているのでおすすめです。なお、Wiseにおいて日本の個人は中国本土の身分証と紐づけられたUnionPay、Alipay(支付宝)、WeChat Pay(微信支付)のアカウントに対してのみ送金可能です。日本の個人が中国本土の法人にWiseで送金することはできません。

安全性や使い方など、Wiseについてもっと詳しく知りたい場合は、「海外送金のWiseは銀行よりも安全?」や「Wiseを徹底解説」をご覧ください。

非居住者として中国本土の銀行口座を開設する方法

中国本土に住んでいない外国人でも銀行口座の開設は可能なのでしょうか。居留許可証なしでの銀行口座開設はかなり難しいと言えます。

中国でも他国と同様に非居住者向けの銀行口座の開設を取り巻く規制は厳しくなっています。2017年5月に中国の国税局などが他の機関と連名で発表した「非居住者金融口座の税務関連情報デューデリジェンス管理弁法」の施行以後、新設口座に対する調査要求が厳しくなっており、現地の銀行側も法的リスクの高い非居住者への口座開設には一般に前向きではありません。

ソーシャルメディア上では居留許可証なしでの銀行口座開設に成功した事例もたまに見受けられますが、それでもいつどこでどういう状況でならば銀行口座開設できるのかはどこにも明確にされておらず、端的に言えば支店と担当者次第と言えます。

非居住者が銀行口座を開設できないのは中国に限った話ではありません。日本でも、個人の非居住者の口座開設を認めていないことを明記している金融機関が数多くあります。中国の銀行は非居住者の口座開設を全面的に認めていないわけではないので、支店や担当者によっては可能性は低いが開設できるかもしれないという点では日本よりはまだ非居住者の口座は作りやすいと言えるでしょう。

中国本土に行かずに銀行口座の開設は可能?

では、中国本土に行かずに銀行口座を開設することは可能でしょうか。かつては中国本土で銀行口座の開設を代行するエージェントも存在しましたが、現在ではこの方法で口座開設するのは基本的には難しいと思った方がいいでしょう。

先述の通り、現地に行ったとしても居留許可証が発行されるまでの銀行口座開設は一般に困難なので、中国に行かずに口座開設するのはほとんど不可能だと思っておいた方がいいでしょう。

中国の銀行の中には中国銀行や交通銀行など在日支店がある銀行もありますが、残念ながらそれらの在日支店で中国本土と同じような口座を開設することはできませんし、中国本土の口座に関する手続きもできません。例えば、中国建設銀行の在日支店では人民元預金口座が開設できますが、この口座を通して人民元現金での入出金や人民元建てでの海外送金はできません。

中国本土で銀行口座を開設するメリットとデメリット

中国本土で銀行口座を開設するメリットとデメリットは以下の通りです。

中国本土で銀行口座を開設するメリット

  • 中国本土で給与・報酬の受け取りや家賃の支払いが可能

  • 中国本土で銀行口座があるとより便利な決済サービス(WeChatやAlipayなど)を利用できる

  • 中国本土ならではの金融商品に投資できる

  • 条件を満たせば、人民元建てで決済できるデビットカード(銀聯カード)やクレジットカードを作ることができる

中国本土で銀行口座を開設するデメリット

  • 中国本土に居住していなければ口座開設が難しい

  • 口座開設や口座維持のために言語力が必要

  • 全ての手続きがオンラインでできるわけではない

  • 日本の居住者でもある場合、税金や会計に関する処理が複雑になる

  • 中国本土と日本の間でお金を動かす場合に海外送金が必要となる

  • 中国本土には外国への送金規制があるので、一度中国の口座に入れたお金が多額の場合、中国本土の外に動かすための手続きが煩雑

 

中国本土の銀行口座を開設する際の注意点

日本の金融庁は「外国銀行代理銀行」として認可を受けていない事業者が日本に拠点のない外国銀行の預金口座の開設を代行するとして手数料を振り込ませたり、預金口座の開設資金を外国に送金させたりするのは違法であり、このようなサービスを提供する事業者は詐欺である可能性が極めて高いと警告しています。

三井住友銀行など日本の銀行もホームページで同様の注意喚起をしています。「外国に実在する銀行名が記載されたパンフレット等を用い、投資や高金利預金の口座開設を勧誘する事例」があったとしても、それは「手数料や預金口座開設資金をだまし取ろうとする犯罪である可能性が極めて高い」として警告しています。

詐欺にあわないために、利用しようとしている事業者(金融機関)が金融庁による「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」に含まれているか確認するというのが一つの方法です。

中国本土の口座開設にかかる費用は?

中国本土では一般に銀行の口座開設自体に費用がかかることはありません。ただし口座開設のための書類を揃えたり、現地の支店に行ったりするのに多くの費用がかかるかもしれません。また、口座開設時に一定の金額の預入が求められる場合があります。

中国本土と日本の間で送金するのにおすすめの方法は?

中国本土と日本の間で海外送金する際には、Wiseがおすすめです。Wiseでは為替手数料などの「隠れた手数料」を徹底的に排除しており、多くの銀行による海外送金よりも手数料を抑えることができます。また、送金時にどの程度の日数で送金できるか目安もわかるというのも便利な点です。

先述の通り、Wiseにおいて日本の個人は中国本土の身分証と紐づけられたUnionPay、Alipay(支付宝)、WeChat Pay(微信支付)のアカウントに対してのみ送金可能です。受け取りはそれぞれのプラットフォーム上のウォレットとそれらに紐づけられている銀行口座のどちらかを選択可能です。したがって、日本の個人が中国本土の自分自身の口座や法人口座にWiseで送金することはできません。

一方、中国からのWiseでの送金も他の国とは違った条件があるので気をつけましょう。Wiseで初めて銀行振込を利用して中国から人民元で送金する際は以下のような書類が必要です。

  • パスポート(旅券)

  • 居住許可証、労働許可証、ビザ(中国本土での永住権を有している場合は外国人永久居留身分証)

  • 雇用契約書、給与明細、銀行取引明細書、または雇用主による申告書

  • 個人所得税の納税記録(できるだけ長い期間がカバーされているもの)

書類の翻訳は不要で、Wise側で入金を確認完了した後に以下の書類を確認します。その後、およそ1~2営業日以内に本人確認が完了し、送金が実行されます。

Wiseで送金シュミレーションする

日本人を含む外国人・台湾人・香港人・マカオ人のみが自分自身の銀行口座・Wiseアカウントに対してのみ送金可能です。送金金額には以下に基づき計算されます。

  • お客様の1年間の収入

  • お客様が中国で支払った税額

  • ご提出いただいた納税記録により証明されたお客様の納税年数

設定された上限を超えて送金したい場合、新しい納税記録の提出を必要して、上限金額を引き上げる必要があります。 最初からできるだけ長い期間をカバーしている個人所得税の納税記録を提出すれば、より大きな送金が可能になるので、できるだけ長い期間の納税記録の提出がおすすめです。納税記録は中国の税務当局が運営する「个人所得税APP」からダウンロード可能で、電子ファイルのままWiseにアップロード可能です。

結論

この記事では、必要書類など中国本土の銀行口座を開設する上で知っておくべきことを解説しました。海外で銀行口座を開くのは簡単ではありません。その場所に住んでいない非居住者であればより困難です。日本から中国本土の銀行口座へ送金したいのであれば、様々な条件はありますがWiseの活用もぜひ検討してみましょう。

香港スイスオーストラリアなど、その他の国の銀行口座の開設方法を知りたい場合はガイド記事一覧をご覧ください。

出典

番号制度概要に関するFAQ|国税庁

外務省海外安全情報|中華人民共和国(中国)|安全対策基礎データ|滞在時の留意事項

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