WiseとPayoneerとPayPalを徹底比較。どれが一番おすすめ?
「Wise(ワイズ)やPayoneer(ペイオニア)、PayPal(ペイパル)はサービスが似ていて違いがよく分からない」「海外送金や決済サービスを使いたいけど、結局どれがいいの?」と迷ってしまう方は多いのではないでしょうか?今回はそのような方に向けて、Wise、Payoneer、PayPalの海外送金やアカウントの種類、デビットカードなどの機能をはじめ、費用体系、特徴を徹底比較します。どのプロバイダーにするか決めかねている方は、本記事を参考にご自身のニーズに合うものを選択してください。
WiseとPayoneerとPayPalの機能比較
まずは、Wise、Payoneer、PayPalのそれぞれの機能を表で比較していきます。
機能・サービス | Payoneer | Wise | PayPal |
---|---|---|---|
海外送金 | ✅ | ✅ | ✅ |
送金スピード | ✅ (1~2営業日程度) | ✅ | ✅ |
国内送金 | ❌ | ✅ | ✅ |
ユーザー間の送金 | ✅ | ✅ | ✅ |
マルチカレンシー(多通貨)口座 | ✅ | ✅ | ❌ |
現地口座情報の取得 | ✅ (7通貨) | ✅ (10通貨) | ❌ |
デビットカード | ✅ | ✅ | ❌ |
バーチャルカード | ❌ | ✅ | ❌ |
通貨の両替 | ✅ | ✅ | ❌ |
ATMからの現金引き出し | ✅ (日本国内のみ) | ✅ (海外ATMでも出金可能) | ✅ (日本国内のみ) |
個人アカウント | ❌ | ✅ | ✅ |
法人アカウント | ✅ | ✅ | ✅ |
銀行口座以外での送金受取方法 | ❌ | ❌ | ❌ |
言語サポート | ✅ | ✅ | ✅ |
3社とも外貨に対応したデジタル決済サービスや送金サービスを展開していますが、大きな違いは以下の通りです。
WiseとPayPalは個人・法人アカウントの両方があるが、Payoneerは事業目的のみで利用可能(個人利用不可)
PayoneerとWiseでは口座情報の取得、外貨受取りが可能
PayoneerとWiseではデビットカードの発行が可能
PayoneerとWiseではアカウント内での外貨両替が可能
質問 | 回答 |
---|---|
PayoneerはPayPalよりおすすめ? | 事業目的であれば、Payoneerでは外貨受取り専用口座で外貨のまま資金の受取りが可能です。PayPalでは海外送金の受取りには送金人・受取人の両方がアカウントを持っている必要がありますが、Payoneerではアカウントを持っていなくても、受取人の銀行口座へ直接送金することができます。 |
WiseはPayPalよりおすすめ? | Wiseの海外送金では手数料を上乗せしていない為替レート(ミッドマーケットレート)が適用され、受取人の銀行口座へ直接着金されます。PayPalの海外送金では送金人または受取人のいずれかが為替手数料を負担する必要があります。また、適用されるレートには手数料を上乗せしたPayPal独自レートが適用されます。 |
PayoneerはWiseよりおすすめ? | PayoneerもWiseも、海外の口座情報を取得し、外貨受取り口座として利用できます。Payoneerの口座情報は事業目的のみで利用できますが、Wiseの口座情報は個人アカウントを開設すれば、個人利用としても利用可能です。 |
WiseとPayoneerとPayPal の機能比較
Wise | Payoneer | PayPal | |
---|---|---|---|
為替レート | ミッドマーケットレート(為替仲値) | 独自レート(最大2%の為替手数料) | 基本為替レートに4%を上乗せしたレート |
海外送金手数料 | 0.33%~ | 取引金額に対して最大3%(受取人がPayoneerアカウントを持っていない場合・アカウント同士は無料) |
送金人負担:4% 受取人負担:3% |
送金日数 |
シミュレーターで着金予定日時確認可能 |
| 即時または数分以内(PayPalユーザー間) |
安全性 |
| 関東財務局長(第00045号)第二種資金移動業者として登録 | 関東財務局長(第00026号)第二種資金移動業者として登録
など |
レビュー・口コミ (Trustpilot) | 4.3/5点中(レビュー22万件以上) | 3.8/5点中(レビュー5万件以上) | 1.3/5点中(レビュー2万件以上) |
*(1) 送金する通貨と国、金額、入金時間、本人確認手続き状況などによって異なる
為替レート:Wiseは手数料が上乗せされていないミッドマーケットレートが適用されるが、PayoneerとPayPalには手数料が2~4%上乗せされた独自レートが適用される。
海外送金手数料:Wiseでは送金金額に対して0.33%~の比較的安い手数料が発生する。Payoneerは取引金額に対して最大3%、PayPalは送金ごとに499円の手数料に加え、送金人または受取人が3~4%の通貨換算手数料を負担する必要がある。
送金日数:3社どれもユーザー間の送金は即時または数時間以内に完了する。Wiseの場合は45%の海外送金は即時完了(銀行口座受取り)、シミュレーターで着金予定日時の確認が可能。Payoneerでの銀行送金は最大3営業日かかり、PayPalではアカウント内着金のみ(銀行口座受取り不可)。
安全性:3社とも、日本国内では金融庁が認可する「資金移動業者」として登録しており、日本法に準拠している。Wiseでは独自のセーフガーディングシステムにより、事業運営資金とユーザーの資金を分けて保有している。Payoneerはユーザーの資金を安全性の高い銀行で管理し、リスク評価によりリスクがあると判断された場合はより安全な銀行へ資金を移動する。PayPalは売り手・買い手を保護する保障制度を設けている。
それぞれのメリット・デメリット
Wise、Payoneer、PayPalそれぞれの機能はお分かりいただけたでしょうか?ここでは、3社それぞれのメリット・デメリットを整理していきます。
Wise | Payoneer | PayPal |
---|---|---|
✅格安な海外送金手数料 ✅手数料を上乗せしていないミッドマーケットレート ✅10種類の海外口座情報の取得が可能 ✅法人アカウント ✅デビットカード・バーチャルカードの発行 | ✅外貨建て受取り銀行口座の開設 ✅海外クライアントやマーケットプレイスから外貨で代金を受取り | ✅決済情報を売り手に伝える必要がない ✅デビット・クレジットカード決済では通常通りカードのポイントが貯まる |
❌入金方法は銀行振込みまたはデビットカード決済のみ ❌ 受け取り方法はWiseアカウントまたは銀行口座のみ | ❌受取り銀行口座は個人目的での利用不可 ❌日本の銀行口座へ送金する際、市場為替レートに最大3%の為替手数料が上乗せされる ❌条件を満たさなかった場合、年間アカウント手数料 *(1) | ❌海外送金には銀行口座登録・口座振替設定が必要 ❌為替レートには4%の手数料が上乗せされている |
*(1)過去12か月間にPayoneerアカウントまたはPayoneerカードで一度も取引を行わなかった場合
WiseとPayoneerとPayPal : 結局どれがおすすめ?
ここまでWise、Payoneer、PayPalの機能とメリット・デメリットを解説してきました。「結局どれがおすすめなの?」という質問への回答としては、これら3社それぞれに独自の強みや特徴があるため、ユーザーのニーズによって異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
Wise
Wiseはもともと、海外送金サービスを主として設立された金融テクノロジー企業です。そのため、海外送金にかかる高額な手数料を徹底的に省き、透明性のある料金体系が特徴です。海外送金において重要なのが、為替レート。これら3社のなかで、Wiseだけが唯一、手数料を上乗せしていないミッドマーケットレート(為替仲値)での外貨両替が可能です。そのため、他の2社の海外送金と比較して、受取人が受け取ることのできる資金が多く、手数料で損をすることがありません。海外送金はもちろん、外貨受取り口座が必要な方や、海外とのお金のやり取りが多く、送金から海外口座情報を利用した外貨受取り、それに紐づくデビットカードまでを網羅しているサービスを提供しているという点で、個人ベースでの利用から法人まで幅広い層にとって利用しやすいサービスです。
Payoneer
Wiseと同様に、Payoneerでは7種類の外貨受取り専用口座を持つことができます。
PayoneerはAmazonやeBay(イーベイ)といったマーケットプレイスや、Upwork(アップワーク)などのクラウドソーシングを利用する事業者に向けて使いやすく作られたプラットフォームです。例えば、Payoneerの外貨受取り口座があれば、Upworkで得た報酬やAmazonマーケットプレイスでの売上を米ドルのままオンライン口座で受け取るということが可能になります。Payoneerは事業者向けのサービスのため、フリーランスや事業者におすすめです。
PayPal
PayPalは世界3億人以上もの人が使う、オンライン決済サービスです。PayPalの大きな特徴は、Temu(テム)やSpotify(スポティファイ)、Google Playなど数多くのサービスの決済方法の一つとして採用されていることです。個人から法人まで幅広い人が利用でき、支払先に直接クレジットカード情報や口座情報を伝えることなく、PayPal経由で支払うことができるため、安全性の高さが好評です。PayPalアカウント間での国内送金や海外送金も利用でき、多通貨に対応しているため、海外とのお金のやり取りが多い人に適したサービスと言えます。
例えば、個人利用目的で海外送金をしたい、外貨決済をしたいという場合はWiseやPayPalが良いでしょう。デビットカードで海外でもカード決済がしたいという場合はWiseが選択肢になります。
フリーランスや事業者で海外顧客からの売上や報酬を受け取りたいという方にとっては、海外口座情報を作れるWiseやPayoneerが良いでしょう。そのなかでも、年間どのくらいの売上になるか分からない場合は、年会費や月額が一切かからないWiseがおすすめです。
Wise・Payoneer・PayPal の会社概要
Wiseとは、2011年に英国・ロンドンで設立した海外送金サービスです。送金対応国は70か国以上、アカウント内で保有できる通貨は40種類以上で、銀行よりも安く、早く送金できる点で人気があります。現在のユーザー数は1,600万人を突破し、月間の送金額は約90億ポンド(約1兆7,000億円)に達しています。当初は海外送金サービスをメインにサービス展開していましたが、現在ではマルチカレンシー(多通貨)口座や海外旅行に便利なデビットカード、法人アカウントなどのサービスも展開しています。
Payoneerは、2005年にアメリカで設立された外貨代金受取り・支払いサービスを提供するグローバル決済のスペシャリストです。AmazonやeBay(イーベイ)、Upwork(アップワーク)といったマーケットプレイスやクラウドソーシングのフローランサーや事業者向けに使いやすく設計されたプラットフォームで、現在では世界24か国以上に拠点を展開し、500万人以上のユーザーを抱えています。
PayPalとは、1998年に設立された世界で4億3人以上のユーザー数(2024年7月現在)を持つオンライン決済サービスです。世界200以上の市場で利用でき、日本では22通貨に対応しています。支払い取引をPayPalが仲介することにより、買い手は売り手側にクレジットカード情報や口座情報を直接伝えることなく、安全に決済できるほか、アカウント間の海外送金や中小企業や大企業向けのビジネスサービスも展開しています。
WiseとPayoneerとPayPal の料金体系
ユーザーとして最も気になるのが、各社の料金体系だと思います。ここではWise、Payoneer、PayPalの各社の料金体系を分かりやすく表で比較していきましょう。
Wise | Payoneer | PayPal | |
---|---|---|---|
海外送金手数料 |
|
|
|
銀行出金手数料 |
|
|
|
会員登録料 | 無料 | 無料 | 無料 |
年間アカウント維持料 | 無料 | 29.95米ドル*(1) | 無料 |
入金手数料 | 入金方法によって異なる(銀行振込またはデビットカード)*(3) | 受取り手数料と同じ | 残高への入金不可(銀行口座・クレジットカード登録での支払い) |
為替手数料 | 無料(ミッドマーケットレート) |
| 基本為替レートに4.00%を上乗せ |
受取り手数料 | 無料 |
|
|
カード送料 |
| 無料 | カード発行なし |
海外現地口座取得 |
| 無料 | 取得不可 |
(2024年7月19現在)(1) 過去12か月間にPayoneerアカウントまたはPayoneerプリペイドMasterCard®の利用が1度もなかった場合(2) 最低手数料が適用される場合あり(3) シミュレーターや計算ツールで確認可能(4) 別途、受取人の銀行によって中継銀行手数料や受取手数料が差し引かれる可能性あり*(5) 別の通貨で送金の場合、少額の手数料が発生
Wiseの料金体系はシンプルで、主な手数料は海外送金手数料と入金手数料、デビットカードの送料となっています。海外送金の受け取りは受取人の銀行口座へ直接着金し、銀行の電信送金(SWIFT)送金のように受取人の資金から受取り手数料が差し引かれてしまう心配がありません。適用される為替レートはミッドマーケットレートのため、為替レートに上乗せされる手数料はありません。
Payoneerでは、アカウント同士の送金や受け取りは手数料無料で利用できます。気をつけたい点としては、例えばサプライヤーへの支払いに必要な外貨がアカウント内になかった場合、送金金額に対して0.5%の両替手数料がかかることや、条件に満たなかった場合に年間アカウント維持料がかかってしまうことが挙げられます。その他、クライアントや取引先の支払い方法によっては資金を受け取る場合の受け取り手数料がかかり、受け取ることのできる金額が減ってしまう可能性があります。
また、Payoneerアカウントを持っていない受取人に対しては、銀行口座へ直接送金することも可能です。その場合、取引金額に対して最大3%の手数料がかかります。
PayPalの料金体系も比較的分かりやすい構成です。海外送金においては手数料は499円と格安ですが、適用される為替レートには、基本為替レートに4%の手数料が上乗せされています。また、受け取り手数料を送金人または受取人のいずれかが負担しなければならず、送金人負担の場合は4%、受取人負担の場合は3%の手数料がかかります。海外送金手数料の499円に加え、これらの為替手数料も踏まえて全部でいくらかかるのか計算しておく必要があるでしょう。
WiseとPayoneerとPayPal: 一番安い海外送金はどれ?
各社の特徴や手数料を解説してきましたが、結論、海外送金ではどれが最も安いのかを具体的な送金額を用いて比較していきましょう。
なお、PayoneerではPayoneerアカウントを持っていない受取人に対する銀行口座振込みと仮定してシミュレーションをしています。
金額・為替 | Wise手数料 | Wise受取額 | Payoneer手数料 | Payoneer受取額 | PayPal手数料 | PayPal受取額 | 一番安いのは? |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10万円→USD | 859円 | 644.38 USD | 3,000円 + 1,901円 =4,901円 *(1) | 617.28 USD | 4,786円 | 619 USD | Wise |
50万円→USD | 3,245円 | 3,230.61 USD | 15,000円 + 9,506円 = 24,506円 *(1) | 3,086.41 USD | 21,840円 | 3,109.82 USD | Wise |
10万円→EUR | 750円 | 594.35 EUR | 3,000円 + 1,900円 = 4,900円*(1) | 568.88 EUR | 4,813円 | 570.15 EUR | Wise |
50万円→EUR | 3,017円 | 2,975.77 EUR | 15,000円 + 9,500円 = 24,500円 | 2,844.40 EUR | 22,067円 | 2,861.83 EUR | Wise |
WiseとPayoneerとPayPal の為替レート
海外送金プロバイダーを選択する際に、手数料とともに最も気にかけるべきなのが、為替レートです。
海外送金プロバイダーはこれら3社以外にも多くのプロバイダーが存在しますが、それらプロバイダーは独自の為替レートを定めており、その為替レートのは為替手数料を上乗せしているケースがほとんどです。
為替レートを比較する際には、「仲値(TTM)」に注目しましょう。
仲値は、金融機関が外国為替取引をする際の基準となるレートのことで、毎日金融機関が発表する固定レートです。一般顧客はこのレートで取引はできず、通常は仲値に手数料が乗せられた「外貨販売価格(TTS)」として銀行や金融機関で取引されます。
そのため、海外送金プロバイダーを選択する際には、まずは最新の市場仲値をチェックし、できるだけ仲値に近いレートで両替できるところを探すことがポイントです。
料金体系でもお伝えしましたが、Payoneerはアカウント残高に送金通貨を保有していなかった場合、海外送金手数料とは別に両替手数料として送金金額の0.5%が発生します。PayPalでは基本為替レートに4.00%を上乗せされたレートで換算されます。3社のなかで唯一、為替手数料を上乗せしていないミッドマーケットレートで取引されるのが、Wiseです。
ミッドマーケットレートとは、固定レートである仲値とは異なり、リアルタイムに更新しているレートのため、Wiseでは公平なレートで両替することができます。
WiseとPayoneerとPayPal : どれが速い?
海外送金において欠かせないのが、送金スピードです。通常、海外送金プロバイダーでの送金は銀行で手続きした場合と比較して、送金スピードが速い傾向がありますが、この3社の中で最も送金スピードが速いのはどれなのでしょうか?
3社の中ではどれもアカウント間での即時送金が可能ですが、ここでは銀行口座宛の送金と仮定して比べていきます。なお、PayPalでは銀行口座へ直接送金することができないため、アカウントへの送金→銀行から出金までを送金スピードとしています。
Wise | Payoneer | PayPal | |
---|---|---|---|
着金までの時間・日数 |
|
|
|
Wiseでは受取人の銀行口座に直接送金することが可能ですが、Wiseでは早ければ当日中~3日程度で着金します。Payoneerではほとんどの場合、1~2営業日以内という結果になっています。PayPalはアカウントへの着金は即時であるものの、銀行で引き出せるまでに約3日かかるため、3社を比較するとあまり大差がないと言えるかもしれません。
送金金額や通貨によって前後しますので、Wiseではシミュレーターで具体的な着金予定日を確認するとよいでしょう。Payoneerでは支払い実行後に受取人への着金予定日を記載したメールが届き、確認することができます。
WiseとPayoneerとPayPal の法人アカウント
これら3社では全て、法人アカウントを提供しています。法人アカウントの機能を比較していきましょう。
Wise法人アカウント | Payoneer法人アカウント | PayPalビジネスアカウント |
---|---|---|
|
|
|
WiseとPayoneerとPayPal: 入金方法
現住所が日本で登録されているWiseの場合、残高への入金は銀行振込かデビットカードのみが可能です。この際、Wiseのアカウント名と振込み名義人の氏名が一致している必要があります。Wise法人アカウントの場合も同様に、振込みする銀行口座名義は法人名である必要があることに注意しましょう。
Payoneer残高へ入金するには、受取アカウントの銀行口座情報をを利用して銀行から振込みを行います。ただし、この入金は事業取引に使用されるものでなくてはいけません。入金の際には、銀行口座の名義人名とPayoneerプロフィールの会社名が一致することを確認してください。
現状、PayPal(日本)では残高への入金機能はありません。PayPalでは支払い方法として、銀行口座やクレジットカードを登録することによって、口座振替やクレジットカード決済が可能になります。
WiseとPayoneerとPayPal の仕組み
Wise、Payoneer、PayPalはどれも外貨に広く対応した機能があることが特徴ですが、海外送金においては、送金方法や必要日数、手数料などに違いがあります。それぞれの海外送金の仕組みについて見ていきましょう。
受取り方法
Wiseで海外送金を行う場合、次の3つの方法で受け取りが可能です。
マルチカレンシー(多通貨)口座を開設して受け取る:外貨を受け取りたい場合は、Wiseで10種類の現地口座情報を取得できるマルチカレンシー口座を作り、その口座情報に国内送金のように直接送金してもらうことが可能です。
SWIFT送金で資金を受け取る:Wiseのマルチカレンシー口座では、世界の多くの銀行が海外送金で使用する電信送金システムのSWIFT(スイフト)送金の利用が可能です。送金人にWiseで取得したSWIFTコードのある口座情報を共有して送金を依頼すれば、資金を受け取ることができます。
送金人にWiseを利用して、銀行口座へ直接送金してもらう :送金人にWiseを利用して送金してもらうことで、受取人の指定した銀行口座で直接資金を受け取ることができます。この場合、受取人が負担する手数料はなく、送金人にとっても少額の海外送金手数料のみの負担となるため、双方にとって使い勝手が良いと言えるでしょう。
Wiseの口座開設をしてお得に海外送金を受け取る💡
Payoneerでも、Wiseのような現地口座情報を取得することができます。外貨を外貨のまま受け取れることが大きなメリットと言えます。ただし、通貨の種類や最低金額に満たない場合などには手数料が別途かかることに注意が必要です。現地口座情報での受取り以外にも、支払リクエストを送信して、受取アカウント経由やクレジットカード払いなどで受け取ることも可能です。
PayPalでは、銀行口座への直接送金ができません。PayPalアカウントで海外送金を受け取り、その後、PayPalに登録している銀行口座から出金するという流れで受け取りができます。料金体系でも解説したように、PayPalの海外送金では送金側もしくは受取側のいずれかが通貨換算手数料として、受取人側負担なら3%を負担する必要があります。
送金(支払い)方法
Wiseでは、70か国以上への海外送金に対応しています。送金人と受取側の双方の国の国内送金を組み合わせた独自の仕組みを構築しています。送金人は銀行振込またはデビットカードにて、送金人が居住するWiseの国内口座へ送金額を支払います。Wiseが送金人からの入金を確認次第、受取人が居住する国のWise口座から受取人の受取口座へと振込みが開始されます。この2段階の国内送金によって、あたかも海外送金が完了したかのような仕組みを構築しているのです。送金資金は実際には国を跨いでいないため、Wiseでは従来の銀行が利用するSWIFT送金でかかっていた中継銀行手数料や受取り手数料はかからず、少額の送金手数料のみで、送金日数も大幅に短縮することができます。
PayoneerではPayoneerアカウント間の送金手数料は無料です。Payoneerアカウントを持っていない受取人に対しての銀行口座へ直接送金することも可能で、個人や事業者に簡単に支払うことができます。銀行口座への送金の場合には、費用体系でも触れた手数料や残高間で両替が必要な場合は、両替手数料などがかかることに注意しましょう。
PayPalでの海外送金では、前述したようにアカウント間のみで海外送金が可能です。送金側もしくは受取側のいずれかが通貨換算手数料を負担する必要があり、送金側負担なら4%と定められています。
WiseとPayoneerとPayPal 海外送金限度額
Wise、Payoneer、PayPalのいずれも日本国内では「資金移動業者」として登録されています。
PayoneerとPayPalは「第二種資金移動業者」として登録されているため、日本の規制上100万円相当額までが送金上限額となります。Wiseは「第一種資金移動業者」として登録されており、上限額は最大1億5,000万円相当額までの送金が可能になります。ただし、銀行やカードからの送金のみにおいて適用される上限額となり、Wiseアカウントで日本が居住国として登録されているユーザーにのみ適用されます。また、残高からの送金の場合は上限額は100万円相当額になります。
Wise | Payoneer | PayPal | |
---|---|---|---|
1回あたりの送金限度額 |
| 各通貨100万円/日まで(メイク・ア・ペイメントサービス) | 100万円まで/回 |
(2024年7月22日現在)
WiseとPayoneerとPayPal の対応通貨
Wise、Payoneer、PayPalでは以下の通貨にそれぞれ対応しています。
Wise | Payoneer | PayPal | |
---|---|---|---|
アカウント内で保有できる通貨 | 40種類以上 | 9種類 | 100通貨に対応 (但し、日本アカウントの場合は22通貨) |
送金できる通貨 | 70通貨以上 | 9種類 | 同上 |
現地口座情報の取得 | 可能
| 可能
| 不可 |
WiseとPayoneerとPayPal のカード
Wise、PayPalではアカウントに紐づいたカードが発行され、保有外貨を外貨のままカード決済することが可能です。PayPalでは海外ではデビットカードが発行されているようですが、日本では残念ながら対応していません。
Wiseデビットカード | Payoneerプリペイドカード | PayPal |
---|---|---|
|
| 取扱いなし(日本) |
WiseとPayoneerとPayPalのカード: どこで使える?
WiseおよびPayoneerでは、アカウントの通貨残高に紐付けることのできる物理的およびバーチャルカードの発行が可能です。PayPalでは日本ではカードの取扱いはありません。
WiseおよびPayoneerでは、国際ブランド(Mastercard)搭載のため、Mastercard加盟店であれば世界のほとんどの国で利用できます。ただし、Wiseでは以下の国においてカードの発行国を問わず、利用不可とされています。
<Wiseデビットカードが利用できない国>
アフガニスタン、ブルンジ、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ、コンゴ民主共和国、キューバ、エリトリア、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、ロシア、ソマリア、スーダン、南スーダン、シリア、ベネズエラ、イエメン
Wise・Payoneer・PayPalの法人向けカード比較
プロバイダー | 特徴 |
---|---|
Wise法人デビットカード | ・年会費無料 ・ATMで現金引き出し可能 ・発行手数料: 640円(法人アカウント) ・チームメンバー用カード: 640円/枚 ・バーチャルカードの発行可能 |
PayoneerプリペイドカードMastercard® | ・年会費(1枚目):29.95米ドル ・通貨換算を伴う取引:最大3.5% ・取引き業者の国とカード発行国が異なる取引 (国際取引手数料):最大1.8% ・ATM:出金 (キャッシング):3.15米ドル / 2.50ユーロ / 1.95英ポンド ・Googleウォレットへの追加可能 ・バーチャルカードの発行可能 |
PayPalカード | 日本では取り扱いなし |
使いやすさ
Wise、Payoneer、PayPalの使いやすさを比較していきましょう。
アカウント開設:Wise、Payoneer、PayPalのいずれもアカウント開設はオンラインで完結します。
送金方法:Wiseの日本アカウントでは、送金資金は銀行振込みまたはデビットカードでの入金に限定されています。Payoneerではアカウント残高への入金は銀行振込みのみで、PayPalではアカウント残高への入金ではなく、銀行口座やクレジットカードを登録することで送金が可能です。
送金先:Wiseでは受取人のWiseアカウントや銀行口座へ直接送金することができます。Payoneerでも同様にアカウント間の送金はもちろん、受取人の銀行口座へ直接送金が可能です。PayPalでは、銀行口座への送金はできず、アカウントへの送金のみとなります。
対応言語:Wise、Payoneer、PayPalのいずれも、ウェブサイトおよびカスタマーサポートは日本語を含む多言語に対応しています。
送金限度額:PayoneerとPayPalは、日本国内における送金限度額は1日当たり上限100万円相当額までと定められています。Wiseは「第一種資金移動業者」として登録されており、最大で1億5,000万円相当の送金が可能です。ただし、この上限額は銀行やカードからの送金にのみ適用され、日本に居住しているWiseユーザーに限定されます。また、残高からの送金の場合、上限額は100万円相当となります。
安全性
初めて銀行以外のオンラインサービスで海外へ資金を送金することに抵抗感を抱く方は少なくないかもしれません。
Wise・Payoneer・PayPalの3社は下記の通り、日本国内の関東財務局から資金移動業者として正式に登録、認定を受けています。
Wise(ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社):第一種・第二種資金移動業者(関東財務局長 第00040号)
Payoneer(ぺイオニア・ジャパン株式会社):第二種資金移動業者(関東財務局長第00045号)
PayPal(PayPal Pte. Ltd.):第二種資金移動業者(関東財務局長 第00026号)
利用者保護の観点から、資金移動業者は送金中の資金と同額以上の履行保証金を確保することが義務付けられています。万が一、資金移動業者が破産してしまった場合も、履行保証金を用いて利用者の資金が返還される手続きが行われます。ただし、返還手続きには受取証書やレシートなどの証明書が必要なため、送金完了までしっかりと保管することが重要です。
このように、資金移動業者での海外送金には銀行とほぼ同等の安全性が提供されるため、安心して利用できると言えるでしょう。
カスタマーサポート
Wise、Payoneer、PayPalのいずれも、日本語を含む多言語でのサポート体制が充実しています。
Wise:ウェブサイトのヘルプセンターや、よくある質問を見ても解決しない場合、問い合わせフォームで問い合わせオプション(メールまたは電話)および希望言語を選択した上で回答を得ることができます。メールの場合は通常、1日以内に返信されます。
Payoneer:Payoneerでは22言語と、幅広い言語でのオンラインサポートが充実しています。メッセージやチャットサポートで問い合わせすることができます。
PayPal:PayPalでは、日本語はもちろん、英語での電話での問い合わせが可能です。ビジネスに関する問い合わせ専門電話番号も常設しているほか、お問い合わせフォームからの問い合わせも可能です。
まとめ : WiseとPayoneerとPayPal の法人アカウント
今回はWise、Payoneer、PayPalの法人アカウントにフォーカスして解説をしてきました。いずれも世界的に利用者が多いサービスですが、どんな機能や料金体系を求めるかによって選ぶサービスが変わってくるでしょう。
Wiseはもともと海外送金サービスを主としたサービスを展開してきたため、海外送金をはじめ、マルチカレンシー口座やデビットカードなど外貨のやり取りにおいて、非常に使いやすい仕組みが構築されています。Payoneerは事業目的での利用に特化しており、マーケットプレイスなど世界中の顧客から受取り口座を利用した報酬や売上の受け取りに利用できます。ただし、Payoneerは年間の取引実績が基準額に満たない場合は、アカウント維持費がかかるため、その点を懸念に思う方がいらっしゃるかもしれません。PayPalは海外送金も可能ですが、アカウント間での着金のみになるため、どちらかというとオンラインでECサイトを運営していて決済サービスを導入したい方に使い勝手が良いサービスと言えるでしょう。
どのサービスを利用するか迷っている方は本記事を参考に、自分に合ったサービスがどれになるかよく検討してみてください。
よくある質問 - WiseとPayoneerとPayPalを徹底比較
海外送金においては、Wiseでは為替手数料を上乗せしていないミッドマーケットレートで送金が可能です。PayPalでは送金人または受取人のいずれかが為替手数料を負担する必要があり、適用される為替レートには4%の手数料が上乗せされており、PayPalの方が手数料負担が多くなります。
PayoneerもWiseも、海外の口座情報を取得し、外貨受取り口座として利用できます。Payoneerでは海外の口座情報は事業目的としてしか利用できませんが、Wiseでは個人アカウントと法人アカウントの両方があるため、個人利用目的としても利用できます。
海外送金においては、PayPalでは銀行口座への直接送金ができず、送金人および受取人の両方がアカウントを持っている必要があります。Payoneerでは、Payoneerユーザーへの送金はもちろん、Payoneerアカウントを持っていない人に対しては銀行口座への直接送金が可能です。
Wise、Payoneer、PayPalはいずれも外貨に対応した送金サービスおよび決済サービスですが、どれも機能や特徴に違いがあります。Wiseは海外送金サービスとしてサービスを開始したため、格安で透明性のある手数料と海外口座情報の取得が特徴です。Payoneerでも9種類の海外口座情報を取得でき、海外取引先やマーケットプレイスからの報酬や売上を外貨のまま受け取りができますが、事業目的としてのみ利用が可能です。PayPalは主に決済サービスに特徴があります。オンライン決済において店舗に直接カード情報や口座情報を伝えないため、決済の安全性が確保されています。アカウント間での海外送金にも対応していますが、銀行口座への直接送金は不可となっています。
送金日数は個人アカウントと法人アカウントで差はありません。Wiseでは受取人の銀行口座に直接送金することが可能で、早ければ当日中~3日程度で着金します。Payoneerではほとんどの場合、1~2営業日以内という結果になっています。PayPalはアカウントへの着金は即時であるものの、銀行で引き出せるまでに約3日かかります。