PaypalとWiseの海外送金を比較!手数料や為替レートがお得なのは?
海外送金というと、PayPalを思い浮かべる人は多いでしょう。オンラインでお金を送ったり、ECサイトでの買い物に使えたり、何かと便利です。しかし、オンラインで海外送金ができるサービスはPayPalだけではありません。近年さまざまなサービスが登場しており、Wiseもそのひとつです。
PayPalとWise、どちらもオンラインでサービスが利用できる点は同じですが、それぞれ特徴があり違いがあります。そこで今回の記事では両者の違いについてさまざまな角度から比較していきます。各サービスでできることと、自分のニーズを照らし合わせ、最適なサービスを検討してみてください。
WiseとPayPalの比較:概要
特徴 | PayPal | Wise |
---|---|---|
対応通貨・国 | 100通貨以上、200以上の国と地域(※1) | 40通貨、160ヶ国 |
デビットカード | × | ○ |
オンライン決済 | ○ | × |
ビジネスアカウント | ○ | ○ |
(※1)決済に対応している通貨と国。銀行口座への入金は56通貨、支払いの受け取りは25通貨で対応。なお、日本のアカウントでは22通貨の受取が可能。
両者を比べてみると、PayPalの方が対応通貨が多くよりグローバルに展開していることがわかります。ただし、日本のアカウントの場合には受取に対応している通貨は22種類のみです。一方、Wiseは40種類の通貨で送金や支払い、受取ができます。また、PayPalの場合送金の際には他のPayPalアカウントに送ることしかできないのに対し、WiseならWiseアカウントから銀行口座への振り込みができるので、その点は大きな違いです。
Wiseではデビットカードの発行が可能で、支払いや現金の引き出しができます。一方、PayPalにもカードはありますが、日本では残念ながら発行できません。自分の手持ちのクレジットカードやデビットカードを登録して利用します。
PayPalの大きな特徴としては、ECサイトなどの決済手段のひとつとして採用されている点です。もし、自分でオンラインショップなどを経営する場合も、PayPalのビジネスアカウントを持っていれば決済手段として導入できます。Wiseにもビジネスアカウントはありますが、こちらは給与の振り込みなどお金の管理に特化したサービス内容になっています。
WiseとPayPalの比較:海外送金時の重要ポイント
PayPal | Wise | |
---|---|---|
為替手数料 | 3~4% | ミッドマーケットレートを採用し、為替手数料は無料。 |
送金手数料 | 499円 | 0.43%~(通貨によって異なる) |
送金日数 | 即時~ | 0~2営業日 |
レビュー (TrustPilot) | ★1.3 27,653件の口コミ | ★4.2 200,628件の口コミ |
為替手数料:PayPalの為替手数料は、送金人が負担するのか受取人が負担するのかによって変わります。前者の場合は4%、後者の場合は3%です。対して、Wiseはミッドマーケットレートを採用しているため為替手数料はかかりません。
送金手数料:PayPalでは海外送金1回につき499円の送金手数料がかかります。1回の取引につき100万円まで送金可能、金額の大小に関わらず送金手数料は変わりません。Wiseの場合は送金方法や通貨によって変わります。
送金日数:PayPalの場合、アカウントへの送金はほぼ即時に行われます。しかし、アカウントから銀行口座へ移す際には3~5営業日必要です。対してWiseは送り先に関わらず、即日~2営業日以内で送金が完了します。
レビュー:レビューサイトで4.2の評価を得ているWiseに対し、PayPalは1.3に留まっています。口コミ数もWiseの方が10倍近くあり、より広くユーザーから高評価を獲得していることがわかります。
それぞれの長所と短所
PayPal | Wise |
---|---|
✅ 対応通貨、国が多い ✅ 送金は即時完了 | ✅海外送金時に、実際の為替レートで取引できる ✅ 銀行口座への振り込みが可能 ✅ 現地の口座情報が取得可能 ✅ Wise以外のアカウントからもお金を受け取れる |
❌ 手数料がやや高め ❌ アカウントからお金を出すのに時間がかかる | ❌ 通貨や送金方法によって手数料が変動する |
WiseとPayPal、どちらがよい?
このように、WiseとPayPalはそれぞれ特徴があり使用目的や使用環境によってどちらがいいかは変わってきます。例えば友人や家族がすでにPayPalユーザーなら、アカウント情報を知っていればすぐにお金のやりとりができて便利です。一方、不特定多数の人と取引の予定があるなら、銀行口座への振り込みが可能なWiseの方が使いやすいでしょう。
また、PayPalの方が決済に対応している通貨が多いため、海外のオンラインショッピングサイトを利用する機会が多い人にはPayPalの方が向いているかもしれません。しかし、Wiseも40の通貨で支払いができます。かつ実際の為替レートで取引できるので必要最低限の手数料で済むのもWiseの特長です。自分の使用予定の通貨がWiseで取り扱いがあるなら、Wiseの方がリーズナブルに使えて便利といえるでしょう。
WiseとPayPalの比較:会社概要
PayPalは1998年、世界中の誰もが金融サービスにアクセスできる機会を作るという信念の下に設立されました。2023年3月時点では世界中に4億3,000万を超えるアクティブアカウントがあり、加盟店は3,500万まで増えています。日本では2021年にアクティブアカウント数が840万となり、徐々にその存在感を増しています。
一方、Wiseの設立は2011年です。海外送金をより安く、かつ公正に行うことを目指して設立されました。設立当初は海外送金に特化していましたが、会社が成長するにつれマルチカレンシー口座やデビットカードなど、さまざまなサービスを追加していきました。現在では世界中に1,600万人の利用者がいます。
WiseとPayPalの比較:海外送金の手順
WiseとPayPalはどちらもオンライン上で海外送金の手続きができます。ここでは、アプリで送金する場合のそれぞれの方法についてご紹介します。なお、どちらもすでにアカウントを持っている場合の手順です。アカウントを持っていない場合には、まずはアカウント登録が必要です。
PayPalの場合
アプリにログインし、「支払い」を選択
送金先のメールアドレスを入力
送金金額を入力
「個人間の支払い」を選択
確認画面で「友達・家族への支払い」を選択していること、送金金額を確認し手続き完了
Wiseの場合
アプリにログインし、ホーム画面の「送金」をタップ
送金元を選択
送金の種類(海外送金または同通貨)を選択
送金金額を入力
受取人情報を入力
送金内容を確認
入金方法を選択し手続き完了
WiseとPayPalの比較:海外送金時の手数料
WiseもPayPalも、利用するサービスによって手数料が発生します。ここからはそれぞれの手数料について詳しく見ていきます。
海外送金にかかる手数料
WiseとPayPalの手数料について比べる前に、まずは海外送金にかかる手数料について知っておきましょう。一般的に、海外送金には下記の手数料が発生することがあります。
・送金手数料
お金を送ることに対して課せられる手数料です。通常、「1件○円」もしくは「送金金額の○%」と決められていることが多いです。
・中継銀行手数料
海外送金の場合、銀行はSWIFTと呼ばれる銀行同士のネットワークを使って銀行同士を繋ぎます。このとき、送金元の銀行と受取先の銀行の間に入って仲介役を果たす銀行のことを中継銀行と言います。この中継銀行から徴収される手数料のことを中継銀行手数料といいます。
・受取手数料
海外送金を受け取る際にかかる手数料です。金融機関によって、「1件○円」、「受取金額の○%」と決められています。
・為替手数料
送金通貨と受取通貨が異なるときに発生する手数料です。通常、各金融機関は独自に為替レートを設定しており、実際の為替レートより高いレートで取引をすることが一般的です。この実際の為替レートと取引レートの差額分は各金融機関の利ざやであり、為替手数料といえます。
・リフティングチャージ
海外送金の際に、通貨の両替を行わないときに発生する手数料です。例えば日本円をアメリカに送り、相手が日本円でそのまま受け取るときに発生します。
それぞれの手数料について
PayPalではアカウントの開設及び維持にはお金がかかりません。また、日本のアカウント間で日本円のやりとりをする分には手数料はかかりません。海外送金を受け取る場合には、為替手数料を受取人負担に設定している場合には手数料の支払いがあります。
Wiseもアカウントの開設と維持は無料です。アカウントにお金を入れる際に手数料が発生しますが、入金方法(銀行口座、クレジットカード、デビットカード)によって手数料は異なります。なお、PayPalではアカウントに自分で入金することはできません。他者から送金してもらった残高を使用するか、口座振替もしくは紐づけされているカードからの支払いや送金となります。Wiseで海外送金を受け取る場合、下記の通貨を口座で受け取るのであれば手数料はかかりません。※
AUD、CAD、EUR、GBP、HUF、NZD、RON、SGD、TRY、USD
※電信送金やSWIFTでの受取の場合は除く
PayPal | Wise | |
---|---|---|
アカウント開設手数料 | 無料 | 個人アカウントは無料 |
月額利用料金 | 無料 | 無料 |
アカウントチャージ手数料 | 利用不可(※1) | 入金方法によって異なる |
送金手数料 | 国内送金の場合は無料 海外送金の場合は1回499円 | 0.43%~(通貨によって異なる) |
為替手数料 | 3~4% | 無料(ミッドマーケットレートを採用) |
受取手数料 | 無料(※2) | 受け取り方法、通貨によって異なる |
(※1)アカウントに入金するのではなく、アカウントに紐づけられた銀行口座やカードから送金を行う
(※2)外貨を受け取る際、為替手数料を受取人負担にする場合には為替手数料4%の負担が発生
WiseとPayPalの比較:為替レート
PayPalでは独自の為替レートを設定しており、実際の為替レートとは異なります。取引銀行から得た為替レートの見積書に、手数料を追加して為替レートを決めているからです。ちなみに、アカウント登録している場合には「ウォレット」の「通貨換算ツール」から為替レートの確認ができます。
それに対し、Wiseの場合は為替レートにミッドマーケットレートを採用しています。ミッドマーケットレートとは売り相場と買い相場の中間点のレートのことで、手数料などが上乗せされていない実際の為替レートのことです。Wiseでは海外送金をより安く、の信念の下為替レートには手数料を上乗せせずサービスを提供しています。
WiseとPayPalの比較:どちらが安い?
ここでは実際に、WiseとPayPalのどちらが安いのかを比べていきます。下記は10万円、50万円をそれぞれアメリカドルとユーロで送金した場合に、受取人が受け取る金額を表にしたものです。
金額及び通貨 | Wise | PayPal | 受取金額が多いのは |
---|---|---|---|
10万円→アメリカドル | 689.77 | 669.15 | Wise |
50万円→アメリカドル | 3,451.43 | 3,345.75 | Wise |
10万円→ユーロ | 629.02 | 611.72 | Wise |
50万円→ユーロ | 3,146.86 | 3,058.62 | Wise |
いずれの金額、通貨でもWiseの方がより多くの受取金額になることがわかりました。やはり為替レートの違いが大きく響いているのでしょう。
WiseとPayPalの比較:どちらが速い?
上述の通り、PayPalの海外送金は着金まで通常3~5営業日、Wiseは0~2営業日かかります。送金する国や通貨によって若干の違いはあるものの、平均的にはWiseの方が速いようです。
WiseとPayPalの比較:海外送金の上限額
PayPal | Wise |
---|---|
1回につき100万円まで | 1回につき100万円まで |
どちらも1回あたりの送金金額の上限は100万円まで、回数制限はありません。
WiseとPayPalの比較:入金方法
上述の通り、PayPalはアカウントに自分でチャージすることはできません、代わりに、銀行口座もしくはカードの情報を紐づけて利用します。
Wiseの場合は、デビットカードもしくは銀行口座を使って入金が可能です。また、送金するときにはWise残高からでなく銀行口座もしくはデビットカードを使った送金方法を選ぶこともできます。
WiseとPayPalの比較:カード利用
PayPalとWiseは両方ともカードの取り扱いがありますが、残念ながら日本ではPayPalカードの発行はできません。対して、Wiseの場合はデビットカードの発行が可能です。年会費が無料でATMを使った現金の引き出しが可能です。
Wiseカードの場合、マルチカレンシー口座と紐づいているため外貨での取引がしやすくなっています。海外で買い物する際、現地の通貨が口座に入っていればそこから引き落としされるため、為替レートを心配する必要がありません。
プロバイダー | 特徴 |
---|---|
PayPalカード | ・日本では取り扱いなし |
Wiseカード | ・デビットカードの発行可能 ・ATMで現金引き出し可能 ・年会費無料 ・海外での支払いに便利 ・発行に1,200円 |
Wiseのカードが利用できる国、地域
Wiseカードはデビットカードが使える国であればほとんどの場所で使えます。支払いだけでなくATMでの引き出しにも対応しているので、急に現金が必要になったときも安心です。日本国内であればイオン、ファミリーマート、デイリーヤマザキのATMで現金が下ろせます。
ただし、アフガニスタンやベラルーシ、キューバなど一部の国では使えません。そのため、海外に行く前には渡航先の国でWiseデビットカードが使えるかどうか念のため確認することをおすすめします。
WiseとPayPalの比較:ビジネスアカウント
WiseもPayPalもビジネス用のアカウントがあり、それぞれ特徴が異なります。Wiseはひとつのアカウントで管理できる通貨が多かったり、一括で支払いができたりと、国際送金に特化した内容になっています。また、無料アカウントから有料アカウントへアップグレードすると10通貨の現地口座情報が取得できたり、海外銀行やAmazon、Stripe経由での送金受取が可能になります。
対して、PayPalの特徴は決済サービスがある点です。ECサイトなどでオンライン決済を導入できるので、小売店などの運営に役立つでしょう。
PayPal | Wise |
---|---|
・アカウント作成は無料 ・初期設定費用、月額料金無料 ・決済サービスが使用可能 | ・アカウント作成は無料 ・アップグレードすると使えるサービスが増える ・一括で1,000人まで支払い可能 ・最大54種類の通貨を管理可能 ・デビットカードの発行可能 |
使いやすさ
・アカウント開設
どちらもオンライン、もしくはアプリ上で手続き可能です。
・送金方法
PayPalの場合は銀行口座振替もしくはクレジットカード支払いです。また、他者から受け取った送金を残高として利用することもできます。対して、Wiseでは銀行口座、デビットカード、そしてアカウント残高からの送金を選ぶことができます。
・送金先
PayPalで送金できるのはPayPalアカウントに対してのみです。一方、Wiseはアカウント間の送金だけでなく、銀行口座への送金にも対応しています。
・対応言語
PayPalもWiseも日本語を含む複数の言語に対応しています。
・送金上限金額
どちらも1回あたり100万円まで送金可能です。
使用可能な通貨
PayPalは200以上の国と地域で利用可能、100以上の通貨に対応しています。ただし、日本のアカウントで受け取れる通貨はそのうち22の通貨のみです。
対してWiseは160ヶ国40通貨に対応しています。そのうち10の通貨に関しては現地銀行の口座情報が取得可能です。
安全性
Wise、PayPalともに関東財務局の登録を受けています。財務局とは金融庁の指示を受けて民間金融機関などの検査及び監督を行う機関のことです。
WiseとPayPalの比較:カスタマーサービス
どちらもオンライン上でよくある質問に関してまとめたページがあります。
PayPalヘルプページ: https://www.paypal.com/jp/smarthelp/contact-us
Wiseヘルプページ: https://wise.com/ja/help/
加えて、PayPalではオンラインチャット、電話で問い合わせが可能です。また、アカウント上の「問題解決センター」で問題の報告をすることもできます。
Wiseの場合もオンラインチャット、メール、電話での問い合わせができます。
WiseとPayPalの比較:まとめ
これまで見てきたように、PayPalとWiseではそれぞれサービスの内容が異なります。Wiseは海外送金に特化したサービスであり、送金にかかる手数料をなるべく安く抑え、また手数料の透明性にもこだわっています。銀行口座へ直接振り込みができるのもPayPalとは大きく異なる点です。加えて多通貨の保有や両替もできるので、海外旅行などで頻繁に外貨を使う人におすすめといえます。
PayPalの場合、送金したお金は相手のPayPalアカウントに入ります。現金が必要な場合にはそこから銀行口座へ移す手続きが必要です。一方、決済サービスが利用できるのはPayPalの大きな特徴です。ECサイトなど、PayPalで決済のできるサイトは多くありますので、オンラインショッピングをよく使う人なら持っていて損はないでしょう。
ソース
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Article: アクティブアカウント4億3千万突破のペイパルが越境ECで日本商品を世界へ BNPLのPaidyとの連携強化し、サービス力の充実で国内市場を深掘り
よくある質問
Wiseは海外送金に特化したサービスであり、アカウント間の送金だけでなく銀行振込にも対応しています。一方、PayPalは銀行振込はできませんが、アカウント間のお金のやりとりは可能です。また、オンライン決済サービスが使えます。
使用目的によって変わります。海外送金のみが目的であればWiseの方がリーズナブルに使いやすいですが、オンライン決済サービスの利用を考えているならPayPalの方が使いやすいかもしれません。
海外送金だけで比べると、Wiseの方が安く済みます。為替レートにミッドマーケットレートを採用しているのがその大きな理由として挙げられます。
送金完了のスピードはどちらもあまり変わりません。しかし、PayPalの場合はアカウントから銀行口座へ移すのに3~5営業日かかるのに対し、Wiseは直接銀行口座へ送れるためその時間がかかりません。
PayPalは100以上の通貨で決済可能、56通貨で銀行口座への入金、25の通貨で支払いの受け取りに対応しています。ただし、日本のアカウントの場合は支払いの受け取りができるのは22の通貨のみです。Wiseは40の通貨で支払い、送金、受取ができます。