海外移住したら年金はもらえない?国外在住者の年金制度について徹底解説!
日本の場合、原則として65歳から年金の受給が始まります。しかし、その時点で海外移住をしており国外にいない場合、果たして年金を受け取ることはできるのでしょうか。もし受け取ることができない場合、今まで払った分はどうなるのでしょう。この記事では、海外移住者のそんな疑問に答えていきます。
また、海外送金や外貨両替に便利なオンラインプロバイダー、Wiseについても合わせてご紹介していきます。海外移住時に役立つサービスとなっているので、知っておいて損はないでしょう。
本記事の目次📕:
- 海外移住をしたら年金はもらえる?
- 海外移住した場合の年金受給資格
- 【要注意】年金をもらえないケースとは?
- 受給資格を満たさない場合
- 今まで払った分はどうなるのか
- 年金が払い戻しされる例外的なケース
- 海外移住後の年金管理
- 海外移住の際の国民年金の継続手続きの方法は?
- 海外移住中に年金をもらうことは可能?
- 年金の受け取り方法
- 日本で受け取った年金を海外送金するならWiseがおすすめ!
日本の年金制度とは?
日本の公的年金には「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建てになっています。前者は20歳以上60歳未満のすべてに加入義務があり、後者は会社員及び公務員が加入します。そして受給資格期間が10年以上ある場合、原則として65歳から受給が始まります。受給資格期間とは保険料を納めていた期間と保険料が免除される期間を合算したものです。
ちなみに、自分の年金については「ねんきんネット」で簡単にチェックすることができます。ねんきんネットではこれまで支払った金額を確認したり、年金見込額の試算をしたりすることが可能です。もちろん、年金事務所や年金相談センターに行って直接聞くこともできます。
日本の年金制度は基本的に日本在住者を対象としているため、海外移住者は原則として国民年金の加入義務の対象外となります。ただし、日本国籍の人の場合は本人の希望があれば国民年金に任意加入することもできます。
海外移住をしたら年金はもらえる?
海外移住をした場合でも、受給要件を満たせば年金を受け取ることができます。以下で詳しく見ていきましょう。
海外移住した場合の年金受給資格
実は年金の受給に関して、「日本に住んでいるかどうか」は関係ありません。受給資格期間が10年間あり、受給開始年齢に達すれば自動的に受け取る権利(受給権)が発生します。ただし、実際に受け取るためには年金請求書の提出が必要です。受給に係る手続きについては後の段落で詳述します。
なお、一部の国の中には日本と社会保障協定を結んでいる国もあります。社会保障協定とは年金制度に関わる不利を防ぐための取り決めであり、主に下記の2点を目的に締結されています。
二重加入の防止
日本と滞在国の両方で年金を支払わなくて済むよう、加入制度を二国間で調整する。
保険期間の通算
年金受給資格を満たしやすくするため、日本と滞在国の両方の年金加入期間を通算する。
例えば筆者の住んでいるオーストラリアでは、駐在などで日本人が一時的に滞在する場合にはオーストラリアの退職年金保障制度の加入は免除となります。ただし、原則として渡豪前に申請手続きが必要です。
2025年5月現在、日本は23カ国と社会保障協定を結んでいます。協定の内容は国によって若干違うので、詳しくは日本年金機構のホームページで確認するようにしましょう。
【要注意】年金をもらえないケースとは?
海外在住でも受給資格を満たしていれば年金を受け取ることはできます。しかし、逆に言うと受給資格を満たしていないと年金はもらえません。下記、海外在住者が年金受給できない代表的なケースとその場合の年金の取り扱いについて解説していきます。
受給資格を満たさない場合
海外に住んでいる人の場合、下記のようなケースで年金受給ができないことがあります。
加入期間が10年未満
上述の通り、日本の公的年金は通算で10年以上の加入期間がないと受給ができません。この期間を満たさずに海外移住した場合には年金の受け取りは原則できません。移住先が社会保障協定国であればその国での年金の支払い期間を通算に含めることもできますが、協定国以外に移住した場合には年金受給は難しいと言わざるをえません。
社会保障協定のある国で手続きをしていない
社会保障協定国に住んでいるからといって、自動的に年金の支払い期間が合算されるわけではありません。年金事務所や年金相談センターへ行き、自分で申請書を出す必要があります。ただし、申請のプロセスは協定国によって異なるため、詳しくは日本年金機構のホームページで確認することをおすすめします。
「現況届」を提出していない
年金の受給開始には「年金請求書」の提出が必要です。これは国内在住、国外在住を問わず全員が提出しなければならない書類です。加えて、海外在住者の場合は年に1回「現況届」を出さなければなりません。これは平たく言えば生存確認届であり、年に1回誕生月の3カ月前に日本年金機構から国際郵便で届きます。それを誕生月の末日までに日本年金機構へ提出することで手続き完了となります。
今まで払った分はどうなるのか
仮に受給要件を満たさず、年金の受け取りができない場合にはそれまで払っていた分はどうなるのでしょうか。結論からいうと、原則として日本国籍の人の場合、年金の払い戻しはできません。「自分のお金なのになぜ?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、それは日本の公的年金制度は「賦課制度」であることが理由です。
賦課制度とは「世代と世代の支え合い」という考え方に応じた制度であり、自分が支払う保険料は今まさに年金を受け取っている人たちへの給付へと充てられるようになっています。つまり、自分が積み立てた保険料を将来受け取るわけではないのです。保険料は支払いをした時点で共通の年金財源としてプールされるため、それを返してもらうことはできません。
年金が払い戻しされる例外的なケース
上記では「原則として日本国籍の人の場合」と説明しましたが、外国籍の人に対しては「脱退一時金」という制度が設けられており、支払った保険料が戻ってくることがあります。ただし、次のすべての条件に当てはまらなければなりません。
外国籍であること
国民年金・厚生年金の加入期間が6カ月~10年未満
日本を出国しており、国内に住所を持たない
年金を一度も受け取っていない
上記すべてに当てはまる場合には、公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以内に申請をすることで保険料の一部が戻ってくる可能性があります。
海外移住後の年金管理
では、実際に海外にいながらにして年金を受け取るためにはどんな手続きが必要なのでしょうか。ここでは海外移住後の年金管理について、具体的な手順を説明していきます。
海外移住の際の国民年金の継続手続きの方法は?
すでに年金受給を開始している人が海外移住をする場合には「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」を提出しなければなりません。必要事項を入力し、年金支払い日の前々月末日までに近くの年金事務所もしくは年金相談センターに提出します。
海外移住中に年金をもらうことは可能?
海外移住後に年金受給年齢に達した場合でも、受給資格を満たしていれば年金を受け取ることができます。その場合の要件は国内在住者と変わらず、受給資格期間が10年以上あること、65歳に達していることです。なお、65歳を過ぎてから受給資格期間の10年を満たした場合には、その時点から年金の受け取りが可能になります。
年金の請求手続き
年金を受け取るためには、まずは年金請求書を提出しなければなりません。これは国内在住、海外在住のいずれの場合もです。請求書の提出の際には下記の書類も合わせて出す必要があります。
申請者の生年月日を明らかにできる書類(戸籍謄本、住民票など)
受取先金融機関の情報(通帳やキャッシュードなどのコピー)
年金請求書は日本年金機構のホームページでダウンロードできます。受給年齢に達した日以降に近くの年金事務所もしくは年金相談センターに提出します。ちなみに、特に相談事項がない場合には郵送も可能です。海外在住者が請求書を提出する際には、日本在住時に最後に住所を置いていたエリアを管轄する年金事務所もしくは年金相談センター宛に送ります。
そして、海外在住者の場合には年に1回「現況届」の提出も義務付けられています。毎年誕生月の3カ月ほど前に日本年金機構から郵送で届くので、必要事項を記入して日本年金機構へ返送します。その際には日本領事館などが発行する在留証明も添付しなければなりません。
なお、郵便事情が悪く、誕生月の中旬までに現況届が届かない場合には日本年金機構のホームページから現況届をダウンロードして提出することもできます。
年金の受け取り方法
海外在住者の場合、年金の受取口座には日本の金融機関の口座と海外の金融機関の口座とのいずれかが指定できます。ただし、2025年5月現在、イランと北朝鮮民主主義人民共和国の2カ国については日本の金融機関のみでの受け取りとなっています。また、国ごとに送金通貨が指定されているため、自分の希望の通貨で受け取れないこともあります。国によっては金融機関が指定されていることもあるため、事前に確認が必要です。
日本国内の金融機関を受取口座として指定する場合には、年金請求書の受取口座欄に口座情報を記入します。ゆうちょ銀行は受取口座として指定することができないことは留意しておきましょう。なお、国内で受取口座を変更する場合には「年金受給権者受機関変更届」を提出します。
海外の口座を指定する場合には「外国居住年金受給権者住所・受取金融機関登録(変更)届」を出さなければなりません。登録届には指定する金融機関のSWIFT(BIC)コード及び銀行の住所、自身の住所など記載する必要があります。また、提出の際には指定する金融機関や口座の情報確認のため、口座証明や通帳のコピーなどを一緒に提出します。
年金の海外送金に手数料は発生する?
通常、日本国内の金融機関から海外の金融機関へ送金をする場合には種々の手数料が発生します。それを送金人が負担するのか、それとも受取人が負担するのかは個々の取引によって変わります。
年金の海外送金の場合、国内で発生した「送金手数料」については受取人が支払うことはありません。日本の公的年金の年金支払い銀行手数料は日本銀行が負担することになっているためです。ただし、海外送金は複数の銀行を介して行われることがあり、受取人の国に着いてからいくつかの銀行を経由して自分の口座に届くことがあります。その際には中継銀行手数料がかかる可能性はあります。
また、海外送金の場合受け取る金額は為替レートの影響を強く受けます。日本円での受給額は同じでも、円高になれば受け取る金額は増え、円安になれば減ります。また、ほとんどの金融機関では為替レートの中に為替手数料を組み込んでいるため、実際の市場レート(ミッドマーケットレート)よりも不利なレートでの取引になるのが一般的です。これにより、表面上の手数料とは別に、為替レートの差によって実質的なコストが発生することがあります。
日本で受け取った年金を海外送金するならWiseがおすすめ!
年金受給にかかる手数料を極力減らしたいなら、Wiseでの受け取りがおすすめです。Wiseとはオンラインで海外送金や外貨両替といった取引ができるプロバイダーで、100万円を超える高額送金にも対応しています。銀行以外のプロバイダーでは数少ない第一種資金移動業のライセンスを取得しており、安全性も担保されています。
Wiseの最大の特徴は、為替レートに実際の市場レート(ミッドマーケットレート)を採用している点です。前述のように、一般的な金融機関では為替レートに手数料を上乗せしていますが、Wiseではそのような隠れた手数料がありません。そのため、知らず知らずのうちに為替レートで損することがありません。
Wiseでは 40以上の通貨を保有でき、 140カ国への送金ができます。対応国に住んでいるなら、日本円で受け取った年金を自分の住んでいる国へ送ることができるのです。その際の手数料は0.68%~と格安での取引ができます。
また、高額取引の場合には割引もあります。同月中に20,000GBP(または相当額)を送金したり両替したりした場合には金額に応じて手数料が安くなります。Wiseをうまく活用すれば、海外に住んでいても高すぎる手数料に悩まされずに年金受給が可能です。Wiseでの海外送金についてもっと詳しく知りたい方は「海外送金のWiseを徹底解説!使い方・評判・メリット・デメリットは?」「Wiseで海外から日本へ送金するには?使い方を徹底解説」の記事も参照してみてください。
まとめ
今回は海外移住後の年金の受け取りについて詳しく解説してきました。海外在住であっても、条件を満たし手続きを済ませれば年金の受給は可能です。年金の受け取りには日本の口座と海外の口座とどちらを選ぶことができますが、後者の場合には海外送金をしなければならないため手数料が発生することがあります。
海外在移住後に年金の受け取りを安く便利に済ませたいなら、外貨両替や海外送金がお得にできるWiseがおすすめです。海外移住を予定している方は、ぜひご検討ください。
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