アメリカの所得税の仕組みとは?日本との税金の違いも解説

山口 友紀恵
ライター
石井 美南海
最終更新日
2025年6月20日

アメリカの居住者や駐在員、留学中にアルバイト収入を得ている方のなかには、アメリカの税金や所得税の仕組みについて知りたいという方も多いでしょう。そこで今回は、アメリカの個人所得税の仕組みや税率、日本との税制の違い、確定申告が必要となるかの判断などを解説します。

また、アメリカ移住の際に便利な海外送金をはじめ、日本円や40 以上外貨を一つのアカウントで管理できるWise(ワイズ)についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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本記事の目次:

アメリカの所得税とは?

アメリカの個人所得税には、主に次の2種類があります。本記事では、連邦個人所得税について解説します。

  • 連邦個人所得税 (Federal Income Tax): 国(連邦政府)によって課される税金です。2024年、単身の場合は所得や資産が多い人ほど税率が高くなる10~37%の累進課税となっています。

  • 州所得税 (State Income Tax): 連邦所得税のほか、州政府と地方自治体にも所得税を納付する義務があり、毎年4月15日を期限に前年分を確定申告しなければなりません。

 

課税対象となる所得の種類

アメリカの内国歳入庁(IRS)によると、アメリカ居住者の所得はアメリカ国民と同様に課税されます。収入は現金化したり使用したりしなくても、受け取った時点で課税対象となります。また、アメリカでは米国内外問わず、日本を含む世界中のあらゆる所得が課税対象となることに注意が必要です。

課税所得の種類

給与所得

自営業・副業所得

利子・配当

年金収入・社会保障給付(失業手当等)

不動産賃貸所得

仮想通貨

IRS Taxable incomeより引用

アメリカの課税年度と申告期限

アメリカの個人所得税の課税年度は、原則として暦年(1月1日~12月31日)です。個人所得税の確定申告の期限は、翌年の4月15日です。

  • 海外在住者の自動延長: 米国外に居住している納税者(米国市民や居住者)は、自動的に2ヶ月間の申告期限延長が認められ、6月15日までとなります。ただし、納税期限は延長されないため、4月15日までに予想税額を支払う必要があります。

  • 申告期限の延長: Form 4868を提出することにより、10月15日まで申告期限の延長が認められます。

誰が納税義務者になるのか? 

アメリカに外国人として滞在する場合、納税義務があるかどうかは「居住者」か「非居住者」かによって決まります。「居住者」か「非居住者」かどうかは、ビザの種類や滞在日数などによって判断されます。

居住者の場合は、アメリカ国内外を問わず、すべての所得を申告する義務があります。

非居住者の場合は、アメリカ国内のみの所得が課税対象となります。

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あなたはどの納税者区分?アメリカビザと税務上の居住者判定

ビザの種類(滞在資格)と税法上の「居住者」「非居住者」の区分は必ずしも一致しません。自分がどちらに該当するかを正しく判定することが、適切な税務処理の第一歩です。

ここからは、アメリカでの「居住者」「非居住者」の区分を明確にしていきましょう。

アメリカ税法上の「居住者・非居住者」とは?

以下のいずれかに該当する場合、その年の税法上の居住者となります。

居住者

アメリカ市民権所有者 および 永住権(グリーンカード)保持者

非居住者

  • Aビザ(外交官)*

  • Gビザ(国際機関職員)*

  • Fビザ(学生)

  • Jビザ(交流訪問者)

  • Mビザ(専門学校生)

  • Qビザ(文化交流訪問者)

アメリカ滞在日数によって判定

  • Bビザ(短期商用、観光)

  • Eビザ(貿易商・投資家)

  • Hビザ(一時的専門職就労者)

  • Iビザ(報道関係者)

  • Kビザ(婚約者)

  • Lビザ(管理職)

  • Oビザ(特殊技能者)

  • Pビザ(芸能人、芸術家、スポーツ選手)

  • Rビザ(宗教関係者)


以下、2つの条件を満たした場合には居住者として扱われます。


  1. 任意の年(1~12月)におけるアメリカ滞在日数が31日を超過

  2. 任意の年の滞在日数と前年の滞在日数の3分の1と前々年の滞在日数の6分の1の合計が183日を超過

* 勤務先からの給与以外の収入は課税(JETRO 米国 税制 2025年04月25日更新より引用)

免除対象となる学生とは?

アメリカに以下のビザで滞在している学生や研修者は、アメリカの税法上「免税者(Exempt Individual)」として扱われ、アメリカの居住者か非居住者かを判断するために使用されるテスト「実質滞在テスト(Substantial presence test)」の滞在日数カウントから除外される期間があります。

ビザの種類

詳細

  • Fビザ(学生)

  • Jビザ(学術分野での交換訪問者)

  • Mビザ(各種学校留学生)

  • Qビザ(実務研修者)

通常、渡米後最初の5年間は、滞在日数が実質的滞在テストの滞在日数カウントには含まれません。(原則として非居住者扱い)

6年目以降は通常の実質的滞在テストが適用されます。

なお、免税対象者(Exempt Individual)に該当する場合、収入の有無を問わず、IRSへ「Form 8843」の税務署類の提出が必要です。これにより、アメリカの滞在日数を実質滞在テストの対象外に該当することを申告することができます。

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ここが違う!アメリカと日本の所得税制度の比較

アメリカと日本では、所得税制度に大きく違いがあります。まずは、両国の所得税制度の仕組みを理解していきましょう。

課税単位の違い

日本の個人所得課税の課税単位は、個人単位課税が採用されています。

一方、アメリカの課税単位は、年度末の婚姻状況に基づいて決定されます。具体的には、次の5つの単位に分類されます。

  1. 独身(Single):未婚、離婚、または法的に別居している場合

  2. 夫婦合算申告(Married Filing Jointly):既婚または配偶者が年内に亡くなった場合

  3. 既婚(Married filing separately):既婚で合算申告を希望しない場合

  4. 世帯主(Head of Household):独身で、自分と扶養家族の生計費の半分以上を負担している場合

  5. 適格寡婦(かふ)(Qualifying Widow(er)):配偶者が過去2年以内に逝去し、扶養する子がいる場合

控除の種類と仕組み 

控除とは、申告の際に所得から差し引く金額を意味します。日本とアメリカの所得控除にも違いがあります。

日本では扶養家族、保険料、障害、医療費など個人的事情を考慮したさまざまな種類の控除があります。一方、アメリカでは「定額控除(standard deduction)」「項目別控除(itemized deductions)」の選択制が採用されており、多くの人は定額控除を選択しています。

アメリカの定額控除 (Standard Deduction)

定額控除では、申告区分ごとに定められた一定額を所得から控除できます。

申告区分

標準控除額(2024年度)

独身(Single), 既婚(Married filing separately)

14,600ドル

夫婦合算(Married Filing Jointly),適格寡婦(Qualifying surviving spouse)

29,200ドル

世帯主(Head of Household)

21,900 ドル

項目別控除(Itemized Deductions)

控除対象となる経費や損失が上記の「定額控除額」を超える場合は、「項目別控除」を選択します。項目別控除を選択した場合は、以下の控除項目を控除できます。

  • 不良債権

  • 住宅ローンの債務免除

  • 資本損失

  • 慈善団体への寄付金

  • 住宅の売却益

  • ギャンブルの損失

  • 住宅ローン金利

  • 所得税、売上税、不動産税、動産税

  • 災害や盗難による損失

  • AGI(Adjusted Gross Income:調整総所得)の7.5%を超える医療費および歯科費

など

その他、定額控除および項目別控除共通で、以下の費用を控除できます。

  • 養育費

  • 自動車の業務使用

  • 自宅の事業利用

  • IRA(Individual Retirement Arrangements)への拠出(積立)金

  • HAS(Health Savings Account:医療費専用の貯金口座)への預金

  • 貯蓄の早期引出しに対するペナルティ

  • 学生ローンの利息

  • 教員の経費

  • 一部の軍人、政府職員、自営業者、障害者:業務関連の教育費

  • 軍人の転居費用

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税率構造

日本、アメリカともに所得税率は、所得が多くなるほど高い税率が適用される累進課税制度を採用しています。税率区分や税率は異なります。

日本の所得税率

日本の所得税率は、以下の通り、課税所得の額に応じて5%から45%の7段階に区分されています。

課税所得の額

税率

1,000円から1,949,000円まで

5%

1,950,000円から3,299,000円まで

10%

3,300,000円から6,949,000円まで

20%

6,950,000円から8,999,000円まで

23%

9,000,000円から17,999,000円まで

33%

18,000,000円から39,999,000円まで

40%

40,000,000円以上

45%

出典:国税庁 No.2260 所得税の税率

アメリカの税率

アメリカも、課税所得に応じた累進課税税率が適用されています。独身者の所得税率も、日本と同様に7段階に区分されています。

課税所得の額

税率

0ドル~11,600ドルまで

10%

11,601ドル~47,150ドルまで

12%

47,151ドル~100,525ドルまで

22%

100,526ドル~19万1950ドルまで

24%

19万1951ドル~243,725ドルまで

32%

24万3726ドル~609,350ドルまで

35%

60万9351ドル以上

37%

出典:IRS Federal income tax rates and brackets

社会保障税(社会保険料)制度の違い

アメリカと日本では、社会保障税(社会保険料)についても大きな違いがあります。

日本の社会保険料

日本では社会保障税という名称は用いられず、「社会保険料」として徴収されます。社会保険には以下の種類があり、確定申告では全額が所得控除の対象となります。

社会保険の種類

年金保険(国民年金・厚生年金)

医療保険(健康保険・国民健康保険)

介護保険(40歳以上)

雇用保険

アメリカの社会保障税

アメリカで従業員として給与報酬を受けている場合は、社会保障税 (Social Security Tax) と医療保障税 (Medicare Tax) を合わせたFICA税 (Federal Insurance Contributions Act Tax) が源泉徴収されます。FICA税は、雇用主と従業員が折半して負担します。

FICA税(Federal Insurance Contributions Act Tax)

税率(雇用主負担)

税率(従業員負担)

社会保障税 (Social Security Tax) 

6.2%

6.2%

医療保障税 (Medicare Tax) 

1.45%

1.45%

2025年6月11日現在

日米社会保障協定

2005年、日本とアメリカ間で日本の年金制度の加入期間とアメリカのソーシャルセキュリティ制度の加入期間を通算できる日米社会保障協定が締結されました。これにより、両国の年金制度における二重加入の防止や年金受給資格が満たせるようになり、両国の年金制度に加入した期間に応じた年金が受給できるようになりました。アメリカ駐在員の方などは特に確認が必要です。

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退職金・年金にかかる税金の考え方

日本とアメリカの退職金や年金制度は大きく異なります。日本の多くの企業では退職金制度がありますが、アメリカには日本のような退職金制度がない代わりに、年金制度が充実しています。

日本の退職金の課税

日本で退職金(退職所得)を受給する際は、通常、住民税と所得税が課せられます。これらは勤務先から源泉徴収されるため、基本的に確定申告は不要です。

また、退職金にかかる課税負担の軽減のため、「退職所得控除」を受けることができます。退職所得控除額は勤続年数によって異なり、以下の計算式で算出できます。

勤続年数</span>

退職所得控除額

20年以下

40万円×勤続年数

20年超

800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

出典:国税庁退職金と税 より引用

日本の年金の課税

日本の老齢年金は「雑所得」にあたり、所得税と復興特別所得税が課税されます。ただし、障害年金と遺族年金には課税されません。以下の金額の老齢年金を受け取る場合、所得税の課税対象となります。

対象者・年齢

金額

65歳未満

108万円以上

65歳以上

158万円以上

退職共済年金の受給者であって、老齢基礎年金が支給されている場合

退職共済年金の年金額が80万円以上

出典:日本年金機構 老齢年金から源泉徴収される所得税の控除を受けるとき より引用

アメリカのIRAの課税

アメリカでは、IRA(Individual Retirement Accounts:個人退職金積立口座)と呼ばれる退職後資金積立制度があります。IRAは、日本のiDeCo(イデコ)のように税制上の優遇措置を受けながら退職金を貯蓄する方法で、拠出(積み立て)金は収入や申告状況に応じて、全額または一部が税控除の対象となる場合があります。

多くの退職年金分配金には通常の所得として「所得税」が課税され、10%の税金が課されます。

ただし、59.5歳に達する前にIRAまたは退職金制度から引き出す場合は「early(早期)」分配と呼ばれ、ペナルティーとして10%の追加税が徴収されます。

アメリカの年金の課税

アメリカの公的年金(Social Security Benefits)の受給を開始した場合、申告単位の基本額を超える場合、給付金は課税対象となる場合があります。

申告区分

基本額

独身(Single)・世帯主(Head of Household)・適格寡婦(Qualifying surviving spouse)

25,000ドル

既婚(Married filing separately)および年間を通して配偶者と別居している場合

25,000ドル

夫婦合算(Married Filing Jointly)

32,000ドル

既婚(Married filing separately)および納税年度中に配偶者と同居していた場合

0ドル

【ケース別】こんな時どうなる?アメリカで所得税が課税されるケース

ケース1:アメリカで就労し、給与所得がある場合

  • 駐在員:給与所得各種手当などの課税

税法上のアメリカ居住者と判断された場合は、日本本社から支払われる給与や各種手当(住宅手当、子女教育手当、引越し費用など)、会社が提供する現物給付(社宅など)も原則として課税所得に含まれます。

ただし、非居住者と判断された場合は、アメリカ国内での役務提供に対する所得が課税対象です。


現地採用
**

現地で雇用されて得た給与所得は、居住者・非居住者を問わずアメリカ国内の源泉所得として課税対象となります。


アルバイトをする留学生
**

F-1ビザで5年未満滞在している留学生は、税務上の非居住者として扱われます。

ただし、卒業後にアメリカの企業で就労研修が許可されるOPT(Optional Practical Training)などによる所得はアメリカ国内源泉所得として課税対象となります。

ケース2:アメリカ居住者で、アメリカ国外にも所得がある場合

アメリカの居住者は、日本を含む世界中のあらゆる源泉からの所得が課税対象となることに注意が必要です。

ただし、非居住者の場合は、アメリカ国内の源泉所得のみが課税対象となります。

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全世界所得の申告(FBAR)

米国市民または居住外国人の場合、アメリカ国内外問わず、全世界の課税所得を申告し、内国歳入法(Internal Revenue Code)に従って納税する必要があります。

また、外国の金融口座を保有するアメリカの納税者は、たとえその口座が課税所得を生んでいなくとも、アメリカの財務省に年次報告書である外国銀行金融口座報告書(FBAR)の提出をもって、下記の事項を毎年、開示申告しなければなりません。

  • アメリカ国外にある少なくとも一つの金融口座に対する金融上の利害関係、または署名その他の権限がある場合

  • 報告された暦年中のいずれかの時点で、それらの外国金融口座の総額が10,000ドルを超えていた場合

外国税額控除(Foreign Tax Credit)の活用

外国税額控除(Foreign Tax Credit)とは、アメリカの居住者が日本などアメリカ国外で所得を得て、納税した場合、その税額をアメリカの課税から一定額の控除を申請できる仕組みです。これにより、二重課税(二国間で同じ所得に課税されること)を防ぐことができます。

ただし、控除額には上限が設けられており、次のうち少ない金額までに限られます。

2024年度の場合:

  • 126,500ドルまで

  • その課税年度の国外所得から外国居住費控除 (Foreign housing exclusion) を差し引いた金額

二重課税を避けるには?日米租税条約を理解しよう

日本とアメリカの間には「日米租税条約」が締結されています。これは、国際的な二重課税の排除や脱税の防止を目的としています。

日米租税条約の概要と目的

日本とアメリカの両国間で個人や法人が活動する際の課税権を調整し、一方の国で課税された所得に対して、もう一方の国で重複して課税されることを避けるための取り決めです。

日米租税条約ではどの所得が減免対象になる? 

日米租税条約により、免除・軽減対象となる主な所得は以下が挙げられます。

  • 配当(Dividends)

  • 利息(Interest)

  • ロイヤリティ(Royalties)

  • キャピタルゲイン(Capital Gains)

  • 給与所得(Income from Employment)

  • 年金・社会保障費(Pensions and Social Security)

二重身分になった場合の注意点

アメリカ赴任や日本帰任年度など、年の途中で居住者から非居住者へ、非居住者から居住者へとステータスが変更になった場合、その年は「二重身分(Dual-Status individuals)」という扱いになります。二重身分としての所得税申告の際には、注意点があります。

  • 年度末時点でアメリカ居住者である二重身分者

年度途中にアメリカの居住者となり、かつ年度末時点で米国居住者である二重身分者はForm 1040(個人所得税申告書)の提出が必要です。申告書の上部には、「Dual-Status Return(二重ステータス申告書)」と記入します。

  • 年度末時点でアメリカ非居住者である二重身分者

年度途中にアメリカの居住権を放棄し、かつ年度末時点でアメリカの居住者ではない二重身分者は、Form 1040-NR(非居住外国人所得税申告書)を提出する必要があります。また、居住者だった期間の所得を記載した明細書を申告書に添付します。

なお、アメリカ非居住者の期間中は、アメリカの源泉所得のみが課税対象となります。

留学生・教授・研究者などに関する特例条項 

日米租税条約には、留学生、教授、研究者に対する特別な免税条項が含まれています。

  • 学生・研修生(Students and Trainees): 条件に該当する場合、最長5年間、外国からの生活費・学費・研究費等の送金・年間2,000ドル以下の労働収入は非課税となります。

  • 教授・教師・研究者 (Teachers and Researchers):条件に該当する場合、大学等での教職・研究による所得は最長2年間免税となる規定があります。

関連する免税申請手続きについては、次の項目で詳しくご説明します。

租税条約の恩恵を受けるための手続き

租税条約による免税や減税の申請をするには、通常、以下のフォームをアメリカの所得の支払者やIRSに提出する必要があります。

給与・報酬・奨学金等の所得がある非居住者の場合

必要書類:Form 8233

対象:給与所得があるアメリカの非居住者

手続き方法:Form 8233の記入の完了後、雇用主に提出します。雇用主がFormを確認後、「PartIV」((源泉徴収義務者の承認および証明)部分に雇用主の情報と署名を記載してもらいます。記入したFormのコピー一部を雇用主から受け取ります。雇用主の承認後、5日以内に、IRSへ送付してもらいます。

利子・配当・ロイヤリティなどの所得

必要書類:Form W-8BEN(Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United     States Tax Withholding and Reporting (Individuals))

対象:アメリカに住所がない外国人(例:日本在住の個人)がアメリカ源泉の配当・利子・ロイヤリティなどを受け取る場合

手続き方法:Form W-8BENに記入し、源泉徴収義務者に提出します。(直接IRSに送付するのではなく、口座へ入金する企業や団体へ提出します。)

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押さえておきたい!アメリカでの確定申告の基礎知識

すでにご説明した通り、アメリカでは毎年1月1日〜12月31日までの個人所得税申告を翌年4月15日までに行います。これを、アメリカでは「Tax Return(タックスリターン)」と呼びます。ここでは、アメリカでのタックスリターンにおいて必要となる書式や必要情報、手続きの流れ、罰則などを解説します。

必要な申告書フォーム 

  • Form 1040 (U.S. Individual Income Tax Return)個人所得税申告書です。アメリカ市民および税法上の居住者が使用します。

  • Form 1040-NR (U.S. Nonresident Alien Income Tax Return)税法上のアメリカ非居住者や二重身分(Dual-Status individuals)の場合に使用する申告書です。

その他、所得の種類や控除の内容によって、収入や支出に関する書類など関連書類が必要になります。

申告に必要なID:SSNとITIN 

日本のマイナンバーのように、アメリカのタックスリターンには、納税者本人および扶養家族の各種IDを記載する必要があります。

  • SSN (Social Security Number)アメリカの社会保障番号です。アメリカ国籍及びアメリカの永住権保持者(グリーンカード保持者)、アメリカ国籍以外でアメリカ国内での労働許可保持者、あるいはアメリカ連邦年金受給のために社会保障番号が必要な場合のみ取得できます。

  • ITIN (Individual Taxpayer Identification Number):アメリカの個人用納税者番号です。納税申告用としてアメリカのIRS(内国歳入庁)により個人用納税者番号(ITIN)が発行されます。この納税者番号はIRS申請書W-7に記入して申請することができます。タックスリターンに合わせて取得申請を行いましょう。

申告の基本的な流れと提出方法 

アメリカのタックスリターンは、基本的に以下の流れで申告できます。

  1. 収入と控除対象となる支出額を証明する書類や領収書をまとめる

例:

  • 各雇用主からのW-2 form(源泉徴収票)

  • その他の所得および利子収入票(Form 1099および1099-INT)

  • 申告時に項目別控除を行う場合、慈善寄付の領収書、住宅ローン利息、州および地方税、医療費および事業費、その他の税控除対象となる費用

2.  IRS公式ウェブサイトより、課税単位(filing status)を選択する

  1. 以下のいずれか申告方法を決定する
  • IRS 電子申告:調整後総所得(AGI)が 84,000ドル以下の場合

  • IRS Direct File:該当する25州に居住している場合、IRSへ直接申告が可能な無料のオンライン申告

  • 郵送申告:ただし、IRSでの処理に4週間程度かかる場合あり

  1. 控除方法を次の2つから選択する
  • 定額控除(standard deduction)

  • 項目別控除(itemized deductions)

  1. 納税額がある場合は、オンライン納税や分割払い、小切手などの納付方法を確認する

  2. 期限までに申告を完了する

申告漏れや遅延があった場合のペナルティ

正当な理由なく申告や納税が遅れた場合、または所得を過少に申告した場合には、以下のような罰金(ペナルティ)や利息が課される可能性があります。

  • 申告遅延ペナルティ (Failure to File Penalty)

期限内に申告書の提出ができなかった場合にかかるペナルティです。納税額(期限内に納付した税額と控除額を差し引いた額)の5%/月(最大25%)がペナルティとして毎月課せられます。

  • 遅延納付ペナルティ (Failure to Pay Penalty)

納税すべき金額の支払いが滞納した場合、未納税額に対して0.5%/月(最大25%)遅延納付ペナルティが課されます。

  • 正確性関連のペナルティ (Accuracy-Related Penalty)

申告書に記載すべき税金を過少申告した場合や、所得の全額を申告しなかった場合などにもペナルティが課されます。個人申告の場合は、申告義務額に対して10%または5,000ドルのいずれか大きい方を超えて税額を過少申告すると、20%の罰金がかかります。

  • 利息 (Interest)

ペナルティには利息が課されます。納税額の全額の支払いが完了するまで適用されるため、注意しましょう。

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まとめ

アメリカでの生活を送るうえで、アメリカの所得税について解説しました。特にアメリカでは、所得の申告漏れや過少申告などによるペナルティも課されるため、留学やアメリカ赴任者などは税の基礎知識としてしっかり身につけておきたいところです。

今後、アメリカや海外での留学や赴任を控えている方は、海外送金や現地口座情報の開設、お得な両替などがオールインワンにそろったWiseの開設を検討してみてはいかがでしょうか?

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免責事項:本記事は一般的な情報や基礎知識の提供を目的としており、個別の税務アドバイスを目的としたものではありません。具体的な税務手続きや納税義務については、最新の法令や個別の状況に基づき、米国の公認会計士等にご相談ください。また、本記事の情報は記事作成時点でのものであり、その正確性や完全性を保証するものではありません。最新情報については、米国 内国歳入庁(IRS)の公式情報等をご確認ください。

出典: