海外のフリーランスへの支払い、最もおすすめの方法は?

石井 大智
石井 美南海
Last updated
2024年3月14日

海外のフリーランスに仕事をお願いした時に皆さんはどのように報酬を送金していますか?サービスによって送金手数料がかなり異なることをご存知でしょうか。この記事では、WiseRevolutなどの海外送金に便利なサービス、銀行での電信送金を利用した海外送金などをわかりやすく比較します。

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海外送金サービスを選ぶポイントは?

海外のフリーランスへの送金手段を選ぶポイントとして以下のような点が挙げられます。

  • 多通貨(マルチカレンシー)で支払い管理が可能なサービスがおすすめ: 複数の通貨でフリーランスに支払いをする場合やグローバルなビジネスを運営している場合は、多通貨口座(マルチカレンシー口座)が便利な選択肢になるかもしれません。

  • 一般的な方法だからとベストな方法とは限らない:SWIFTを利用した銀行での電信送金は最も思いつきやすい国際送金の選択肢かもしれませんが、複雑で高い手数料がかかることがあります。

  • 人気のサービスでも見えないコストがかかることも:PayPalは海外フリーランスの間でも人気があるサービスですが、コストが高く、送金前に前もってはっきりしないコストも少なくありません。

  • 送金先にとって資金の受け取りは簡単で多くの選択肢が用意されている?: 送金先である海外フリーランスにとって報酬を受け取るのが簡単で多くの選択肢が用意されているかどうかも重要なポイントです。

Wiseで海外のフリーランスへの支払いはどう?

Wiseは、一般的な銀行が海外送金で使っているSWIFTとは全く違う仕組みを利用しています。結果としてWiseは一般的な銀行よりもはるかに安く、そして分かりやすい海外送金サービスを提供しています。様々な国に対応しているので、海外のフリーランスへの支払いにも適していると言えるでしょう。

Wiseでは国を跨いで実際に資金が移動しているわけではありません。送金人が自国にあるWiseの口座にお金を振り込むと、その金額をWiseが受取人の国の口座へと振り込むという仕組みになっています。国を跨いでお金が移動していないとなると国内送金とやっていることはあまり変わらないので、手数料やかかる時間を大幅に抑えることができます。

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銀行では送金完了まで送金にかかる日数と手数料が分からないのに対し、Wiseでは送金時にそれらを明示しています。Wiseでは銀行での海外送金にかかる中継銀行手数料やリフティングチャージが発生しません。

銀行では事前登録や店舗への訪問が必要なこともありすぐに送金できないことがあります。一方、Wiseではオンラインでアカウント開設から送金まで全て完了でき、より早く送金申し込みが可能です。日本にお住まいの方が必要な本人確認書類はマイナンバーカードだけです(マイナンバーカードがない場合は運転免許証・在留カードなどの他の本人確認書類と過去6か月以内に発行された住民票の写しやマイナンバー通知カードを代わりに提出することも可能です)。本人確認の完了まで大体約2〜3営業日かかると考えておくといいでしょう。より詳しく銀行とWiseの違いについて知りたい場合は、「Wiseは銀行での海外送金に比べてどう?徹底比較してみた」もあわせてご覧ください。

また、Wiseは2段階認証を導入しており、不正アクセスを受けにくいサービスと言えます。2段階認証を設定しておけば、万が一第三者にパスワードを知られた際にアカウントへの不正アクセス防ぐことができます。

2段階認証の方法にはテキストメッセージ(SMS)、電話、モバイルアプリ、認証アプリ(Google Authenticator、Microsoft Authenticator、1 Password、Authyなど)と多様な方法が用意されており、自分に合った方法が利用可能です。2段階認証には海外にいたり、SIMを交換したりして登録した番号でSMSが受け取れなかったりする場合でも機能するWiseのアプリまたは認証アプリの利用がおすすめです。

Wiseはセキュリティやコンプライアンスに対して多くの労力を割いており、この点もWiseをさらに安全なサービスにしていると言えるでしょう。

関連記事を読む:Wiseの安全性について解説

Revolutで海外のフリーランスへの支払いはどう?

Wiseと同様にRevolutを使って海外のフリーランスに送金するのもおすすめです。Revolutは英国発の海外送金・外貨両替などがスマートフォンで完結するサービスです。RevolutはWiseと同様に各国で金融サービス提供に必要なライセンスを取得しており、世界中で利用可能です。日本ではRevolutは資金決済法に基づく資金移動業者として登録されています。

Revolutでは他のRevolutユーザーへの送金の他、銀行口座への送金も可能です。Revolut側の送金手数料は無料ですが、送金する際に中継する銀行や受取銀行による手数料が発生する場合があります。また、他の銀行を経由するため、着金までに時間がかかってしまうこともあります。

Revolutにはいくつかのプランが用意されていますが、無料プランでも有料プランでも海外の銀行口座への送金手数料は無料です。両替手数料は無料の「スタンダード」プランの場合でも為替市場営業時間内かつ月750,000円までなら無料です・有料プランである「プレミアム」や「メタル」の場合為替市場営業時間内なら限度額なしで無料となります。

ここでいう為替市場営業時間とは、ニューヨーク時間金曜日17:00から日曜日の18:00までの時間を除く時間のこと。また、月に750,000円以上の両替取引を行うスタンダード会員の場合、超過分には0.5%の手数料が上乗せされるので注意が必要です。

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関連記事を読む:WiseとRevolutを徹底比較!

PayPalで海外のフリーランスへの支払いはどう?

PayPal(ペイパル)は1998年設立の海外送金・オンライン決済プラットフォームです。現在では日本を含めて世界中に4億人以上の利用者がおり、ビジネスでも多く使われていて、海外のフリーランスに支払う際にも割と一般的な方法と言えるでしょう。

しかし、Paypalの両替レートには高額な通貨換算手数料が含まれています。Paypalの取引為替レートは基本為替レートに4.00%を上乗せしたレートとなっています。その他、決済手数料、引き出し手数料など様々な手数料がかかります。また、銀行口座あての海外送金はできないので、相手がPaypalのアカウントを持っている必要があります。

銀行で海外のフリーランスへの支払いはどう?

海外送金といえば銀行の窓口やオンラインバンキングでの送金を思いつきがちですが、かかる時間やコストの面で言えばあまりおすすめできる方法ではありません。これは日本の銀行がSWIFTというかなり古い仕組みを使って海外送金をしているからです。

SWIFTを利用した海外送金では実際に送金が完了するまで送金に何日かかるか分かりません。SWIFTでの海外送金は1 件ごとの個別の資金決済を行っており、国や地域だけではなくタイミングによっても送金に必要な日数が異なることがあります。実際に送金に何日かかるは、日本の祝日だけでなく、受取銀行や中継銀行がある国・地域の祝日などにも影響されます。

また、銀行による海外送金はオンラインで完結しない場合もよくあります。例えば、みずほ銀行のみずほダイレクトアプリで海外送金するには、みずほ銀行で同一内容の外国送金を手続きしたことがなければなりません。つまり店舗で海外送金したことがなければ原則アプリでの送金もできないことになります。取扱通貨も限られていて、みずほダイレクトアプリでは香港ドルでの送金はできません。

三井住友銀行では自社のオンラインバンキングであるSMBCダイレクトで外国送金を提供していますが、事前にインターネット・郵送・店頭でのサービス申込手続が必要です。翌営業日中に銀行側が登録確認を完了し、サービス利用が可能になりますが、その後送金先口座の事前登録が必要です。送金先口座の事前登録が完了してから送金を申し込むことができます。したがって送金したいと思った時にすぐ送金できるわけではなく、早めの準備が必要です。

また、日本の一般的な銀行では為替レートに隠された手数料やSWIFT利用に起因する分かりにくい手数料、そしてリフティングチャージが存在します。以下でその3つの手数料について詳しく解説します。

為替レートに隠された手数料

銀行の海外送金で適用される為替レートは、ミッドマーケットレートに為替手数料が上乗せされた、銀行独自のレートとなっています。このような金融機関が顧客へ外貨を販売する時のための手数料込みのレートを一般にTTS(対顧客電信売相場)と呼びます。一方で手数料が含まれていない「実際のレート」をTTM(電信仲値相場)と呼びます。

実際のレートと銀行が提示する為替レートを自分で比較しないと、実際にどれだけの為替手数料が上乗せされているのかははっきり分かりません。そのため、気が付かぬところで思わぬコストがかかってしまう場合もあります。銀行で海外送金する前には、必ず実際のレートと銀行の為替レートを比較するようにしてみましょう。

例えば、みずほ銀行では、米ドルの場合、TTMに1ドルあたり1円加えた金額をTTSとしています。これは、日本の他の大手銀行と同様です。例えば、TTMが1ドル=150円の日にはTTSは1ドル=151円となっています。この1円の差が為替手数料なのです。

みずほ銀行でTTMが1ドル=150円の日にアメリカの受取人に1,000ドル送りたい場合を考えてみましょう。TTMのレートのまま送金できれば150,000円の準備で済みます。しかし、銀行での海外送金時には為替手数料が上乗せされたTTSレートが適用されるので、実際には151,000円必要になります。この差額1,000円が「隠れた為替手数料」となります。

一見少額なコストに見えますが、送金金額が大きいほど為替コストも目立ってくるので要注意です。特に米ドル以外で送金する場合は、このTTMとTTSの差がより開いていくのが一般的なので、為替コストによる手数料増加もますます無視できなくなります。例えば、ユーロの場合、TTMとTTSの差は1ユーロあたり1.5円となります。

ちなみにみずほ銀行でアプリを利用して海外送金する場合、送金取扱日は最短でも送金受付日の翌営業日となります。つまり送金申し込みしたタイミングで表示される為替レートはあくまで参考レートであり、実際の取引時に用いる為替レートとは異なるわけです。実際どのレートで取引されたかについてはなんと後日交付の計算書を見なければわからないのです。これはみずほ銀行に限らず、日本の様々な銀行で同様で、このような実態は海外送金を非常に不便にさせています。

Wiseはミッドマーケットレートで両替が実行されるのでこのような心配は一切不要で、「隠れた手数料」を徹底的に排除しています。

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SWIFTを利用するコスト:中継銀行手数料

一般的な銀行では日本国内での送金と異なり、SWIFTという仕組みを使って海外送金をしています。SWIFTとは国際銀行間の送金や決済に利用される安全なネットワークのことで、世界中の銀行がこのネットワークを使って毎日大量の海外送金情報をやりとりしています。

日本のA銀行がアメリカのB銀行に送金を実行する場合を考えてみましょう。A銀行はB銀行にSWIFTを使って「今からこれだけの金額を送金しますよ」と伝える必要があります。しかし、A銀行とB銀行の間には直接的なつながりがあるとは限りません。A銀行とB銀行の間には直接的なつながりがない場合、間に仲介となるコルレス銀行(中継銀行)をはさみ、リレーのような形でSWIFTで送金情報を伝達します。

そうなると多くの銀行が関わることになるので、送金相手先の銀行からだけではなく中継銀行からも手数料が請求され、その手数料分が減額されて相手の口座に送金が届くこともあります。

このような手数料について送金元銀行によっては「依頼人負担」(送金者負担)にすることが可能です。みずほ銀行の場合、この「依頼人負担」が可能です。しかし、その場合はコルレス先支払手数料として2,500円を送金者が支払う必要があります。しかも、コルレス先支払手数料を支払って「依頼人負担」を選択したとしても、必ずしも支払銀行手数料等が差し引かれないというわけではなく、送金額全額が受取人の口座に入らないということもあり得るのです。

Wiseでは先述のようにSWIFTではなく独自の仕組みを使って安くて速い海外送金を実現させています。そのためこのようなSWIFTに起因する手数料がかかることはありません。

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リフティングチャージ

海外送金を取り扱う銀行の中には「リフティングチャージ」という手数料を設けているところもあります。これは海外送金の際に、通貨の両替を伴わない場合に発生する手数料です。入金した通貨と同じ通貨で送金されてしまうと、銀行は先述した両替で発生する「隠れた為替手数料」で稼ぐことができないので、その分を他の手数料として徴収しようとするものです。例えば、日本円で送金し、海外の相手先が日本円のままで受け取る場合、リフティングチャージが発生することがあります。

例えば、三井住友銀行では「円建送金を円預金で受け取る場合」や「外貨建送金を外貨預金で受け取る場合」(例えば米ドルを米ドル口座で受け取る場合)にはリフティングチャージとして円預外貨受払手数料やリフティングチャージが必要で、これは受取額の0.05%と設定されています。なんと最低金額もあり、最低2,500円または25USDとなるので、少額を受け取る場合はかなりインパクトある手数料です。

個人が米国から4,000円の円建て送金を三井住友銀行で受け取る場合を考えてみましょう。被仕向送金手数料の1,500円に加えて、2,500円のリフティングチャージが発生します。たった4,000円の送金を受け取るのに、それと同じ金額の受取手数料(1,500円+2,500円=4,000円)を払わなければならないので、受け取れる金額は実質0円になってしまうのです。

また、日本から海外に送金する場合でも、送金先銀行側でリフティングチャージが発生することもあります。例えば、銀行から米ドルでアメリカの銀行の相手先口座に米ドルで送金する場合、銀行側では手数料がかからなくとも、受け取るアメリカの銀行が両替手数料を得られないという理由で米ドルでの受け取り金額に対しリフティングチャージを課すことがあります。

ちなみにWiseにはこのリフティングチャージがありません。受取人がいくら受け取ることができるのか送金時点で分かります。また、Wiseのマルチカレンシーアカウントを使えば、外貨を外貨で受け取り可能で、しかも好きなタイミングで一般的な銀行よりもいいレートで両替可能です。

Wiseのマルチカレンシー口座を解説

マルチカレンシー口座

海外のフリーランスへの支払いをはじめ、頻繁に国際送金する方にはマルチカレンシー口座がおすすめです。マルチカレンシー口座は、直訳すると「多通貨口座」という意味です。複数の通貨を同時に1つのアカウントで管理できるサービスです。日本の銀行では「マルチカレンシー口座」という表現を使うことは比較的珍しく、みずほ銀行のみずほグローバル口座など一部の銀行にとどまっています。「外貨預金」などの名称で提供されていることが一般的です。

世界各地のフリーランスと取引がある場合はマルチカレンシー口座がおすすめです。というのは複数の通貨を一つのアカウントで管理できるので、為替レートのいい時に両替しておいて、あとで送金するということが可能になるからです。

銀行のマルチカレンシー口座の開設方法

SMBC信託銀行(プレスティア)ソニー銀行など外貨預金に力を入れている銀行ではすでに日本円の口座を持っていればオンラインで口座開設できることが一般的ですが、銀行によって開設方法は異なります。

その銀行で日本円の口座を持っていなければ、まずはその銀行の口座を開設することが必要です。日本の銀行は非居住者に対する口座開設を厳しく制限しているので、日本の居住者でなければ外貨預金はもちろん、そもそも日本の銀行の口座開設は難しいと考えておく必要があるでしょう。

Wiseのマルチカレンシー口座の開設方法

Wiseもマルチカレンシー口座を提供しています。Wiseでは日本円や米ドルなど50以上の通貨によるマルチカレンシー口座に対応しており、もちろん日本居住者も利用可能です。

すでに日本の住所と紐づいているWiseアカウントを持っていればすぐにマルチカレンシー口座が開設可能です。Wiseでアカウント開設後に本人確認が終了したら、Wise上で好きな通貨のマルチカレンシーアカウントと口座情報を取得しましょう。「通貨を有効にする」ボタンからこの操作が可能です。

また、Wiseのマルチカレンシー口座を使えば、現地に住まなくとも各国の銀行口座情報を取得できます。例えば、米ドルの場合は自身のルーティング番号(ABA) と口座情報を取得可能です。米ドル以外にも様々な通貨に対応しており、例えばユーロの場合、自分自身のWiseアカウントと紐づいたSWIFT/BICコードとIBAN情報を取得可能です。これらの口座情報を送金元に伝えれば、送金元がWiseのユーザーでなくとも送金者は銀行口座と同じような感覚で自身に対しての送金が可能です。Wiseで海外の口座情報を取得すれば、海外現地での銀行口座がなくとも資金の受け取りができるわけです。

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なお、Wiseで取得できる海外の口座情報は以下の通りです。

さらに、ダイレクトデビット(口座自動振替)の設定にも対応しており、口座情報を支払先に共有することで、定期的な資金の引き落としを行う設定が可能です。例えば、毎月支払うフリーランスへの報酬を現地口座なしに自動引き落としにすることができるのです。現在Wiseのダイレクトデビット機能はAUD、CAD、GBP、EUR、USD残高からの引き落としに対応しています。

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結論

海外のフリーランスに仕事をお願いした時に支払う方法には様々なものがありますが、手段によってコストや利便性が大きく変わることに注意が必要です。WiseやRevolutは従来の銀行による海外送金よりも手数料が安くなることがあり、かつ送金にかかる日数も短く非常に便利です。皆さんも海外送金の際にはぜひWiseやRevolutの利用を検討してみてください。

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